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獣達の騎士道  作者: 春野隠者
第五次十字軍
104/116

南方での募兵

 都市国家シャロンを脱出したロズヴェータ率いる三頭獣ドライアドベスティエは、進路を北に向けた。先のシャロンでの反乱分子との戦いで、傷つきもはや戦いに身を投じられなくなった者達を、辺境伯領に届ける必要があったためだ。

 歩けない者達の速度に合わせて、都市国家シャロンから獅子の紋と王冠の(リオングラウス)王国へと戻った頃には、依頼を受けてから移動を含めて一か月以上が掛かっていた。

 物資を運ぶ往路では十日程度で都市国家シャロンに到着したのだから、帰りはかなり時間をかけてしまった計算になる。天候などの悪化等運も悪かったとはいえ、倍以上の日数がかかったのは、予想外であった。

 王都で騎士隊の為に受けられる依頼も、そろそろ更新されているはずだ。

 それを思えば真っ直ぐ王都に帰るべきなのだが、王都に寄ってから辺境伯領に戻ると、それだけで時間がかかる。医学的な知識がなくとも、経験則で傷を負った者達が長旅で命を落としやすいのは、知られていることだった。

「隊長、提案があるのですが」

 筆頭分隊長のガッチェが、リオングラウス王国南部の都市ヒェーヨに入った頃に提案をした。

 久しぶりに屋根のある場所で休めるとの連絡に、三頭獣ドライアルドベスティエの隊員達が騒ぐのを尻目に、難しい表情をしたガッチェは、ロズヴェータに騎士隊を分けることを提案する。

「なに、辺境伯領への経路なら、私が良く知っています」

 分隊長以上で構成される三頭獣ドライアルドベスティエの意思決定会議。その席でなされたガッチェからの提案に、ラスタッツァからも賛成の声が上がる。

 道化化粧の女商人は、口元を三日月に歪めリオングラウス王国の情報を開示する。

「戦争がはじまりそうだよ」

「うん? どういうことだ?」

 ラスタッツァ以外の全員の疑問の声を代表して、ロズヴェータがラスタッツァを見つめる。奇抜な化粧の割に性格は手堅い手腕を発揮する彼女の口から語られたのは、リオングラウス王国が三日月帝国(エルフィナス)への攻勢をかけるために動員を開始したことを報せるものだった。

「……随分早いな」

「理由は知らないけれどね、確かに王都の方で騎士隊の募集が始まっているよ。しかも大規模に、ね」

「大規模ってどれくらいのことを言ってるんだい?」

 興味をそそられたヴィヴィの疑問にラスタッツァが、笑みを崩さず答える。

「さぁて、張り出されている依頼はそれぞれの派閥からのだけど、そのどれもがエルフィナスへの攻勢に参加って内容だからねぇ」

 その言葉に、ロズヴェータが目を見開く。

 珍しいこともあるものだ。いつもならいがみ合うはずの各派閥が、協力体制を取って隣国への攻勢を強めようとしている。

「これに乗り遅れるのは得策じゃないと思うけれどね。何せ、速い方が報酬が確実だ」

 にやりと笑うラスタッツァの顔には商人特有の計算が浮かんでいた。

 戦争と聞いて、目を輝かせる分隊長バリュード。

「報酬は高めなのかい?」

「ああ、随分高いね。まるで正規兵を動員するかのような高ささ」

 報酬の高さに、がぜんやる気を見せる分隊長ヴィヴィと分隊長ルル。

 ロズヴェータが視線を向かわせたのは、会計を任せているメッシーとメルヴ。

「運営資金に不足はありません」

 二人を代表して答えたのは、エルギスト村の村長の娘メッシー。平然としている彼女の横で、メルヴの視線が気になる。メッシーの様子を伺っているようなメルヴの視線が、隠し事をしているような挙動の不振さを感じたのだ。

「わかった。少なくとも一日ここで休息をとる。結論は明日にでも出す」

 そう言ってロズヴェータは会議を解散させる。

「後で、メルヴを部屋に」

 全員が席を立ったのを確認して美貌の副官ユーグに小声で告げて、ロズヴェータも立ち上がる。

 夜も遅くになってロズヴェータの部屋を訪ねて来たメルヴを扉で出迎えたのは、副官ユーグであった。中性的な美貌に、驚くほどの冷たさを浮かべてメルヴを中に招き入れる。

 何かおかしな真似をすれば容赦なく斬り捨てるような殺気をまき散らすユーグを後ろに置いて、メルヴはロズヴェータの前に座らせられた。

 目の前には、テーブルを挟んで腕を組むロズヴェータ。カミュー辺境伯領エルギスト村の領主であり、小さなその村の中では王にも匹敵する権力を持っている少年である。

 それがじっと自身を見つめているのは、メルヴにしてみれば非常に心臓に悪かった。

「呼ばれた理由は、分かるかね?」

 後ろからかけられるユーグの冷たい声。

 まるで厳しくて有名な王都の衛士の取り調べ室での調書を取られるのかと疑ってしまうほどだった。

「いいえ、その……なんでしょう?」

 恐る恐る後ろからかけられる声に振り返るメルヴ。

「昼間にメッシーを見る顔色が悪かったからね。それで、心配になったんだよ」

 落ち着いた声音。優しい声で丁寧に語られるロズヴェータが語った理由に、メルヴは思わず俯いた。自分の顔色を読まれていたのだと、内心を隠すように顔を伏せたのだ。

「……言い辛いことかい?」

 メルヴ越しに視線を交わすロズヴェータとユーグ。二人の間では、まさか不正でも起きたのかと、疑念と不安が交差していた。もし、不正をしているのなら、彼女達には死ぬよりも辛い目に合ってもらわねばならない。

 エルギスト村の税率も引き上げざるを得ない。

 思わず顔が強張るロズヴェータに対して、ユーグはその彫刻の如き美貌を一片たりとも変えることはなかった。彼からすれば、女は裏切るもの、だ。

 それよりもどうやって失った損失を取り戻すかに考えの焦点が移っていた。 

 だが、とりあえずは証拠の確保だ、と意識を切り替え、腰に佩いた細剣の柄に手を乗せる。

「……実は、エルギスト村のことなんですが」

「うん?」

 言葉を絞り出すように俯きながら、肩を震わせるメルヴ。

 どうやら思っていた事態ではないのではないか、と一瞬だけ視線を交わす二人。

「今年は、不作になりそうなんです」

「……どれほどの?」

 顔見知りを処分するのは、きついなと考えていたロズヴェータにとって思わず安堵のため息が漏れそうになるメルヴの言葉。しかし同時に、飢饉と言う単語が脳裏をかすめる。

「麦は冷害にやられて、例年の7割程度。唯一無事なのは、ご領主様が導入してくださったジャガイモと言う作物ぐらいです」

 7割、という数字にロズヴェータは頭を抱えたくなった。

 エルギスト村は開拓村である。

 通常、開拓したての村落では税は取れない。開拓がはじまった当初の村は自分達が生き残るのにギリギリの分量しか食料を生産できないのが通常だった。それは、開拓と言う事業が多大な労力を必要とするからだ。日々の余力の少しずつを蓄積し、その余力を徐々に大きくして行った結果が、自分達が生きる分以上の食料として生産される。

 そもそも開拓と言う事業自体が、それを実現するための強力なリーダーシップをもった人物が存在し、開拓した場所が幸運にも魔獣の襲撃や、天候不順それに疫病など、様々な要因が折り重ならなかった一種の奇跡なのだ。

 世代をまたぐような大規模事業又は一種の奇跡。

 それが天候不順を原因に7割の生産。そこから税を取るとなれば、絶望的な数字に思える。栄養失調で亡くなる者も出始めるかもしれない。

「……よく話してくれた」

「いいえ、とんでもない。ご領主様には村民一同感謝しております」

 メッシーは村長の娘であるから、そのことをロズヴェータには言えなかったのだろう。その事実を知っていたメルヴだけが、領主のロズヴェータの慈悲にすがるしかないと判断した。

「原因が天候なのは間違いないのか?」

 ロズヴェータの脳裏に解決策が浮かばない。何せ、天候など操れないのだ。魔獣が原因であるのなら、討伐をすればよいだけとも言えるが天候相手では、そうもいかない。

 頷くメルヴの話によれば、今年の寒さは全くやわらぐ気配がないそうで、麦の生育が遅いらしい。

 麦は税の中心であり、現物で毎年ロズヴェータに納入される予定の品であった。

 それができないとなれば、村長は罰を受ける可能性すらある。

「……メッシーの口が重くなるのも仕方ないか」

「彼女は責任感が強い子です。自分で何とかしようとしているんじゃないかと」

「……早めに聞けて良かった。領主として、感謝する。税については、安心せよ。村人が飢えることがないよう取り計らう」

 ロズヴェータとしては、騎士隊の除隊希望者をエルギスト村に既に何人も入植させているのだ。その村が飢饉になどなってしまえば、騎士隊の運営自体にさえ支障をきたす。

 ましてや暮らしていけないところに、どうして自分の為に戦った者達を入植などさせられようか。

「……メッシーにそのまま伝えても、あまり効果はないか」

 ロズヴェータの言葉は確認に過ぎない。半ば確信しつつ、メルヴの返答を待つ。

「……はい」

「領主の使いとしてガッチェを派遣する。村長に直接話をつけさせるから、メッシーにはそう伝えて無茶なことはするなと念を押してくれ。以上だ」

 そう言ってメルヴとの会談を終えたロズヴェータは、少しの間考え込む。

 今年のエルギスト村からの収入は絶望的だ。むしろ、こちらから少しでも支援してやらなければ立ちいかない可能性がある。

 今の所騎士隊の運営基盤は健全ではあるものの、離脱者が6名も出た状況では次の依頼に差しさわりがある。大きな依頼を受けるには、矛盾するようだが危険で報酬の高い依頼を引き受けながらも、部隊の実力を落とさないことが必要だった。

 つまり戦死者や落伍者を出してはいけない。

 その相反するような両立を、どうするかロズヴェータは悩まなければならなかった。

「ユーグ」

「はい」

 メルヴは出ていき、既に二人だけの空間だ。

 いつもの沈着冷静なユーグの声を聞きロズヴェータは決断する。

「隊を分けて、ここから負傷者を連れてガッチェには辺境伯領へ向かってもらう。併せて、ここで募兵をしてみようと思う」

「……募兵ですか」

 ロズヴェータの考えは、南部で不足する戦力を補充して、リオングラウス王国とエルフィナスとの戦争に参加すること。

 ユーグが募兵と聞いて戸惑ったのは、ここが王都ではないために集められる兵士の質が懸念されるためだった。毎年何百人かの騎士が誕生する王都は、それこそ兵士を希望する者達には垂涎の的であった。ほぼいつの時期でも兵士の募集があるのだ。

 だからこそ、競争率は高く王都の兵士の質は高い。それに比較して、各貴族領主の治める地域での募兵は質の面で劣るというのが当然の結論だった。

「何も分隊を一つ増やすということではない。今回都市国家シャロンで失った分を補填するだけだ」

「そういうことでしたら、分隊長達も納得するのではないかでしょうか」

 少し考えるそぶりをしたユーグは、募兵する場所の提案をする。

「やはり、南部と言えば、南部最大のレジノール家の本拠地でしょうか」

「レジノール家か、真っ先に竜殺しの槍(ヘルギウス)騎士団が思い浮かぶな……」

 レジノール伯爵家お抱えの騎士団であり、いくつもの騎士隊を傘下に置く巨大な騎士団である。いつぞやの因縁もある。彼らと真っ向から対立するのは避けたいと思うのは、未だ小さい騎士隊を率いるロズヴェータの偽らざる本音であった。

「まぁ、当然ですね。以前関わり合いになった頃から更に勢力を増しているということですので、目ぼしい優秀な人材はほぼそちらに吸い上げられるでしょう」

 没だなと、独り言ちしてロズヴェータは続きを促す。

「人が集まると言えば、隣国と接している都市などいかがです?」

「なるほど、悪くない」

 外国からの流入が期待できる地域での募兵なら、人材が払底することもないだろう。

「つまり、ここヒェーヨです」

「うん、速くていいことだ」

「そうでしょう?」

 クスリと笑った美貌のユーグの笑顔に、女だったらこの笑顔だけで転んだだろうなとどこか他人事のように考えて、ロズヴェータは笑った。


◇◆◇


「募兵? いきなりこの街で?」

 翌日分隊長達に説明をすれば当然のごとく返ってくる疑問の声。

「負傷者達をガッチェに任せて、辺境伯領に送り届ける。同時に、募兵が完了したら、リオングラウス王国とエルフィナスとの戦争に参加する」

 おおぉ、とどよめきが起きる三頭獣ドライアルドベスティエの面々。ロズヴェータの決断に小さな拍手すら起こった。

「つまり、不足する戦力をここで即席で集めてしまおうってことなんだね?」

 ヴィヴィの指摘に、ロズヴェータは素早く頷く。

「その通り」

「良いんじゃないかい?」

 賛成の声が多数上がるのを確認し、ロズヴェータは募兵を開始する。合わせて、負傷して部隊を離脱する者達をガッチェに率いさせて辺境伯領に送り出す。

「頼むぞ」

 力強く握手をするロズヴェータとガッチェ。

「お任せください。無事、エルギスト村に送り届けてみせます。それに村のことも」

 ガッチェには、エルギスト村に関する懸念も伝えてある。ロズヴェータの意に添うように対処してくれるだろう。

 総勢で6人程になる部隊を離脱する者達、一時金としてこれからの生活資金を渡すと、ガッチェの分隊に守らせてカミュー辺境伯領へ出発させる。

 どの顔も、不安と安堵に揺れながらそれでも命があることを喜んでいるようだった。

 彼らを送り出し、ロズヴェータは早速一般公募を開始する。

 今回募兵するのは、抜けた6人分の兵士。

 どれも前衛を担当する者達で、可能であれば得意な武器もばらけていた方がありがたい。

 一般的な兵士を募集するやり方としては、街の公用掲示板に募集を張り出すとともに、公衆広場として設置されている場所で、募集を呼びかけるのが一般的だった。

 ロズヴェータ率いる三頭獣ドライアルドベスティエも、それに倣って公募をしてみるが、さっぱりと人が集まってこない。

 王都であれば、1日と待たずに集まるはずの6人と言う数が、全く集まらない事態にロズヴェータは頭を抱える。今日募兵に応じようとしてきたのは、浮浪者が食い物に釣られて2名だけ。しかも病気持ちとなれば、お引き取り願うしかなかった。

「何が、問題なんだ?」

 初日の夜、幹部級の者達を集めて相談するロズヴェータ達は、思いのほか苦戦する募兵に誰もが眉を顰めていた。

「ちょっと情報収集が必要だね」

 そう提案したのは分隊長バリュード。彼が横目で合図すると、にやりと笑うのは分隊長ヴィヴィ、ルル。

「ついては、隊長、ちょっと支援をお願いしたいんだけどね?」

「情報収集とは具体的に?」

「そりゃ勿論、酒場よ」

 その言葉を聞いた途端、副官ユーグがジト目で睨む。

「……酒が飲みたいだけでは?」

「否定はしないけれど、これはちょっと異常だからね」

 この街を募兵に選んだ理由として、外からの流入の多さがあげられる。昼間見た限り、人の出入りが少ないわけではない。諸外国から商人が頻繁に街に出入りしている。

 荷運びの労働力として訪れた者、賦役を終えた農民、人生を変えようと田舎から出て来た者達など多数の者達が訪れていた。

「いや、やってもらおうか」

 しばらく考えてロズヴェータは許可を出す。自分には欠けている視点、裏事情などがあるのかもしれないと思ったからだ。

 自分の考えだけに拘泥しないのは、ロズヴェータの美点であった。

 募兵を継続しつつ、情報を集めると意外な原因が判明する。

「ヘルギウスか……」

 南部最大の騎士団ヘルギウス。彼らが三頭獣ドライアルドベスティエが募兵をしても人が集まらない原因であった。

 南部最大の騎士団ヘルギウスは、彼等の影響力を行使して、有能な人材を囲い込みに入っているのだ。町に出入りする商人、街を仕切る組合などに声をかけ、ありとあらゆる人員をヘルギウス騎士団に囲い込もうとしている。

 そのために、南部で言えばあまり有名でない三頭獣ドライアルドベスティエなどには見向きもされないということだった。

 予想していたよりも、ヘルギウス騎士団の影響力が大きい。

 その事実にロズヴェータは自身の予想の甘さを悔いるしかなかった。

 酒場で聞き込んで来た情報では、この街ヒェーヨにおいても、ヘルギウス騎士団の支部があり、1個小隊3個分隊程度の戦力が日々兵士の獲得で動いているとのことだった。

「……それじゃヘルギウス騎士団以外の騎士隊は南部で募兵はできない、ということか?」

「いや、それがどうやら少し事情が違うらしくて、ヘルギウス騎士団の傘下と認められれば、募兵もやりやすくなるんだとか」

「騎士隊の旗の横にヘルギウス騎士団の紋章旗も併せて立てるだけって話だけどねぇ」

 彼らの影響力を認め、何かあった場合はヘルギウス騎士団に伺いを立てる。

「治安維持としては、良いだろうけどね」

 それはどうなんだと、話を聞いた分隊長達はお互いに顔を見合わせる。

「王都で活動する騎士隊とは異質な感じがしますね」

 良いとも悪いとも評価できるその在り方に、副官としてユーグはまとめに入る。その在り方自体をどうこう言う必要はない。それを知って、どうするかが問題であった。

 そのユーグの考えはしっかりとロズヴェータにも伝わる。

「さて、では我らはどうするかと言う問題だ」

「やっぱり移動かね? わざわざ南部貴族のレジノール家の領都まで出向いてご挨拶って柄でもないしねぇ」

 ヴィヴィは赤い髪をガシガシと掻きながら悔しそうに口を開く。

「ちょっと、いい?」

 行き詰った会議の席で発言を求めたのは、それまで黙っていた分隊長ルル。帝国出身の元傭兵は平素と変わらぬ表情で、募兵の宛てがあると発言する。

「ただし、あまり強くはない」

 事情を聞けば、昨日久しぶりに街に繰り出した時に声をかけられた。小さな傭兵隊を立ち上げたばかりの男だったらしく、大胆にもルルを勧誘してきたのだとか。

「つまり、その彼らを?」

 ロズヴェータの言葉のその先を、ルルは頷くことで言葉にする。

「そう。叩き潰して三頭獣うちに引き込む」

「頭を張っているのはどんな奴?」

 バリュードが剣呑な雰囲気を纏わせてルルに聞く。条件さえ合えば自分で乗り込んで剣で脅しそうだった。

「猿顔の小男」

「何人ぐらいの集団だったんだ?」

「数は7人程度。どこかの大きな騎士隊を抜けたばかりとか言ってた」

 条件としては悪くない。

 内心でそう思えるだけ、今のロズヴェータは手詰まりを感じていた。

「問題は彼らが三頭獣われわれに馴染むかどうかでは?」

 ユーグからの疑問も、ルルが首を振る。

「問題ない」

 その最大の武器である拳を握り締めて、作って見せた二の腕の力こぶは、どんな雄弁よりも如実に力で黙らせると語っていた。

「……では、物は試しだ。やってみようか」

 ロズヴェータは、半ば押し切られるように頷いた。



ロズヴェータ:駆け出し騎士(銀の獅子)


称号:同期で二番目にやべー奴、三頭獣ドライアルドベスティエ隊長、銀の獅子、七つ砦の陥陣営


特技:毒耐性(弱)、火耐性(中)、薬草知識(低)、異種族友邦、悪名萌芽、山歩き、辺境伯の息子、兵站(初歩)、駆け出し領主、変装(初級)


同期で二番目にやべー奴:同期の友好上昇

三頭獣ドライアルドベスティエ隊長:騎士隊として社会的信用上昇

銀の獅子:国への貢献度から社会的信用度の上昇

毒耐性(弱):毒からの生還確率が上昇。

火耐性(中):火事の中でも動きが鈍らない。火攻めに知見在り。

薬草知識(低):いくつかの健康に良い薬草がわかる。簡単な毒物を調合することができる。

異種族友邦:異種族の友好度上昇

悪名萌芽:行動に裏があるのではないかと疑われる。

山歩き:山地において行動が鈍らない。

辺境伯の息子:辺境伯での依頼で影響度上昇

陥陣営:連続で落とし続けている限り、味方の能力に強化効果。(連続8回)

兵站(初歩):兵站の用語が理解できる。

駆け出し領主:周囲から様々な助言を得ることが出来る。

変装(初級):周囲からのフォローを受ければ早々ばれることはない。


信頼:武官(+25)、文官(+31)、王家(+17)、辺境伯家(+50)


信頼度判定:

王家派閥:少しは王家の為に働ける人材かな。無断で不法侵入はいかがなものかと思うが、まぁ大事に至らなくてよかった。

文官:若いのに国のことを考えてよくやっている騎士じゃないか。領主として? 勉強不足だよね。派閥に入れてあげても……良いよ? けれど、招待状の貸しは大きいわよ。

武官:以前は悪い噂も聞こえたが……我慢も効くし。命令にはしっかり従っているし戦力にはなるな。待ち伏せが得意とは知らなかった。 最近何かしたのか?

辺境伯家:このままいけば将来この人が辺境伯家の次代の軍事の中心では? 元気があって大変よろしい! 領主としてもしっかりやっているしね。


副題:ロズヴェータちゃん、募兵で悩む。

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