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騎士クリストファー

こいつ何マヌケな顔してるんだろう? お酒に何か薬を入れてることぐらいバレバレなのに。かすかに匂ってるよ。これは痺れ薬だね。

おじさんの話を聞いてなかったのかな? 私は『クタナツ』の教師なんだから。


「なぜ……分かった?」


あら、いきなり真顔になった。


「ここはクタナツだよ? 毒ぐらい見抜けないと生きていけない土地だって知らないの? しかも私はここの教師。つまり、大抵の魔法は使えるし別に魔法が使えなくても……」


目の前の男の顎をかち上げ、その勢いのまま後頭部を床に叩きつける。この程度のことができなくてクタナツで教師なんてやってられない。


「さーて、騎士団に突き出すよ。あなた別に私の身体で遊びたかったわけじゃないよね? 私の身体で稼ぎたかったんだよね。」


「ひょー? イキのいい女だぜぇ!」

「あーあ、オテネのやつ気絶してんな! だっせ!」

「どうする? 遊んでやっか?」

「せっかく来てくれんだしよ? 遊んでやろうぜ?」


ちっ、他にもいたのね。やっぱり酔ってると索敵が疎かになっちゃうね。逃ーげよっと。


風球(かざたま)


窓をぶち破って外に飛び……あれ? ま、魔法が出ない!?


「ぎゃははははぁー!」

「かざたまぁーだってよ! 魔法使えねーでやんの! だっせ!」

「おっとぉ! 逃がさねぇぜ? まあここは四階だけどよ?」

「ぎゃっはぁ! 飛び降りてみっかぁ? 魔法なしでよぉ?」


おかしい……魔力は体を廻っているのに、体外に出ると霧散してしまう……まさかこれは!?


「おっとお! そこまでにしときなぁ!」

「うらぁ! 効くだろ? 顔にぁ怪我させる気ぁねぇけどよぉ? 顔以外なら気にしないんだぜぇ?」


ちっ、棍棒で殴られた……今ので肋が数本折れたか……この程度の奴らを相手に……


「今日のところは負けておいてあげる……」


あーあ、四階かぁ……嫌だなぁ……痛そう……


「て、てめっ!?」

「窓を蹴り破って!?」

「飛びやがった……」

「バカ! ぼさっとしてんな! 下だぁ! 逃すんじゃねぇ!」




はぁ……痛いなぁもう……あ、腕も折れてる。学校サボって昼から飲んだ罰かな……

魔法が使えてればあの程度の四人なんかちょちょいのちょいなのに……なんでだろ……

まあいいや、早く逃げないと……足の骨が折れてなくてよかった。


「いたぜぇ! こっちだぁ!」

「舐めた真似しやがってよぉ! ちっときれーな顔してるからって調子ん乗りやがって!」


もう来た……わざわざ窓から飛んだ意味がなくなっちゃった……


「おらぁ! こっち来いや! 激しくかわいがってやんからよお!」

「バカ! 売りもんに手ぇ出すんじゃねぇよ!」

「そーそー兄貴に殺されるぜ?」


参ったなぁ……私売られちゃうの? 少し油断しすぎたかな……


「そこまでだ! 神妙にしろ!」


「あぁ? 騎士かテメー?」

「けっ! たった一人で何ができるってんだぁ?」

「俺らぁ闇ギルド『魔蠍(まかつ)の針』だぜ? 騎士なんざ怖くねーんだよ!」

「ほらほら帰った帰った。それとも死ぬか? お?」


助かった……それにしてもこいつら、闇ギルドのくせにクタナツのことを何も知らないんだね……新人かな?


「ほう? 闇ギルドか。それは都合がいい。」


「あぁ? あんま調子にっがぁっ!?」

「ま、待てっ! た、助っ!?」

「いでぇぇえーーー!」

「や、やめっでぇっが!」


クタナツ騎士団は王国最強。闇ギルド程度じゃあ相手にもならないよね。そしてクタナツで犯罪者は問答無用で斬られるか奴隷落ちとなる。はぁ……私なんかのために手間をかけさせてしまったな……恥ずかしすぎる……


「お嬢さん。酷い目に遭われたようだ。ひとまず治療院へお連れしましょう。」


「ありがとうございました。ですが、それには及びません。私だってクタナツの女です。このような無様な真似を晒した上に任務の邪魔をすることなどできません。どうぞ捨て置きください。」


「ふむ、任務とおっしゃいましたか。実は私、先ほど勤務が終わりましてな。こんな服装ですが飲みに行こうとしていたのです。よって私がどこへ行こうが私の勝手。そうは思いませんか?」


「そうですね。ここらで飲むなら黒ひげおじさんの店がいいですよ。では私はこれで。」


治療院は高いんだよね。そりゃあ骨折でもすぐ治してくれるけどさ。


「そっちは治療院じゃありませんよ? おっと、申し遅れました。私はクタナツ騎士団三番隊副長クリストファー・レインフォレイト。お嬢さんの名を教えてもらえますかな?」


その若さで副長? そりゃあ闇ギルドごときじゃ相手にならないよね。


「ミシュリーヌ・ウネフォレトです。初等学校で教師をしていま、痛っ……」


「あぁもう、腕どころかきれいなお顔まで傷だらけじゃないですか。治療院に行きますよ。これは命令です。それともクタナツで騎士に逆らってみますか?」


「くっ……お、お金がないんです……」


月給のほとんどをお酒に使ってるだらしない女で悪かったね! だから結婚できないって思ったでしょ! あーもー恥ずかしい……


「ぷ、ぷぷ……ぷぷぷ……くく、クタナツで教師と言えばギルド職員に次ぐ高給取りじゃないですか。なのに、お金がない? あははは! 一体何にお金を注ぎ込んでるんですか!? あーおかしい。」


ほらやっぱり! だから行きたくなかったんだよ! もー! はぁ……腕と心が痛い……

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― 新着の感想 ―
[一言] ほら、高い獺祭ばっかり飲んでるからですよ。
[一言] クタナツの女カッケエエエエエエ!!!!
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