表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/13

ミシュリーヌとクリストファー

「この度はありがとうございました! これからは聖女様の教えを胸に刻んで生きていきたいと思います!」


「あら? 私の教えって何かしら?」


「はい! 奪われたら取り返せってことですよね! 確かにクタナツでは弱者に居場所なんかありませんもんね! 私、強くなります!」


ああ、なんてお酒がおいしいのっ! 止まらないぐーびっ。


「違うわよ?」


「はへ? 違うって?」


「当然だわ。泥棒猫ごときが奪ったゴミを取り返してどうするの? 私が言いたかったのは、貴方ほどのいい女を捨てる男なんか殺せばいいってことよ? さっきのように全力でね。」


「あ、あー……」


この人なに言ってるの……引くわー……ぐびっ。あぁーだから皆殺しの魔女って言われるんだなぁ……ごくり。


「じゃ、それは返してもらうわね。アランに貰った大事なネックレスなの。」


「えええぇぇぇーー!?」


そ、そんな大事なものを!? き、傷なんか付いてたら……


「大丈夫よ。金剛石は傷付かないの。さ、お代官様がお待ちよ。賞品を貰ってきたら?」


また私の心が読まれてるぅぅ……


「は、はいぃ!」


忘れてた! お代官様を待たせちゃってたぁー! よし……最後の一杯、ごくり。ぷはぁー美味しーい! この味、どこかで飲んだよね……どこだったかな……あ、おじさんのとこだ。


「ミシュリーヌ・ウネフォレト。貴殿の激闘に敬意を表してこれを授ける。また、魔女殿に臆せず攻撃を仕掛けた勇気にも感服した。今後ともその調子で子供達を導いてやって欲しい。」


「あ、ありがとうございます! がんばります!」


中身は何かな。どう見てもお酒じゃないよね。




はぁー緊張したぁ。あ、あっちのテーブルまだお酒が残ってる。もったいないよね。よし、私が飲んであげよう。ぐびりぐびり。おいしー。


「ミシュリーヌ先生、おめでとうございます。」


むっ、さっきは呼び捨てだったのに……


「もうミシュリーヌとは呼んでくれないんですか?」


「さっきは、その、勢いで……ミ、ミシュリーヌ……」


「なんですかクリス?」


あ、私も自然とクリスって呼べてる!


「本心を言います。一目惚れでした。満身創痍でも立ち上がり、一人でも毅然と歩くあなたの姿はとても美しかった。きっとそれこそがクタナツ女性のあるべき姿。私の心を捉えて離さないのです。」


「クリス……」


「それを貸してください。」


え、これ?


私の手から箱を取り、開けるクリス。


あっ! 金剛石のネックレス!? 小粒だけど私ではとても買えないやつだ!


「動かないで……」


きゃっ、こ、こんな人前で……首に……


「やはりあなたには金剛石がよく似合う。強く可憐なあなたに相応しい。ですが……いつかきっと、それより大きいのを手に入れてみせます。その日まで……そしてその日からも、ずっと一緒にいてくれますか?」


「いりません。必要なものはもう手に入りました。あなたこそ、浮気をしたら殺します。それでも私と一緒にいてくれますか?」


「ミシュリーヌになら殺されてもいい。もう、離さない!」


きゃっ! も、もう……こんなパーティー会場で抱きしめられたら……恥ずかしいよぉ。

はぁ……でも、なんだか安心するなぁ。




あっ、音楽が始まった! 今度こそ楽しく踊れるかな。


「クリス、踊ろう?」


「ああ、踊ろう!」


あぁ……楽しい。これが青春なのかなぁ……

今はただ、音楽とクリスに身を任せて……この夜が終わるまで。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
本編はこちらです↓
i00000

シリーズはこちらから↓
i00000
― 新着の感想 ―
[良い点] きゃ!!(≧▽≦) 酒臭くても無問題! クリス、漢ですね!
[一言] やっぱカースの母ちゃんは破格ですなあ。 まあ、今回はむすびの女神ということで。
[一言] リア充が生まれてしまった( ˘ω˘ ) 滅殺しなきゃ(使命感)。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ