第2日:誇りある種族
創世魔法のうちの付与魔法を生黎魔法へと変更しました
・アイリス=ディ=ヴァリオレイン視点
一月前
「アイリス様。今日は、何を致しますか?」
「そうねぇ……書庫の整理でもしましょうか」
「分かりました。それでは、皆の者にも伝えて参ります」
「ええ、お願いね」
はぁ、竜神殿の長の職に就いてから、毎日毎日、やることが全くなくて暇で仕方ないわね。
はぁ、今日は書庫の整理か。骨が折れそうだわ……。
ここの書物は無駄に多いんだから、減らしてくれたらいいのに。整理するこっちの身にもなってくれないかしらねぇ。
「じゃあ、皆。書庫の整理を頼むわね」
「「「了解」」」
気が遠くなりそうな程の書物の量だわ。
あ、この本は面白そうね。後で読んでみるとしましょう。
「疲れるわね、ジーナ」
「ですね。これだけ書物が多いと気が滅入りますからね。あ、アイリス様、お茶をどうぞ」
「ありがとう」
────ふぅ、整理に半日も使ってしまったわ。やっぱりキツいわねー。だけど、これで書庫は数年は持ちそうね。これで持たなかったら、私達がしんどいんだけど。
書庫の整理も終わりだから、私は薬草類の材料を集めて来るとしましょう。久々に体も動かしたいから、丁度いい運動ね。
…………今回も大量ね。ここは自然の魔力が豊富だから。質のいい薬草がたくさん取れるわ。
……しかし、何かしら? 朝から体がだるくて仕方ないわね。病気にでもかかったのかしら?
ドゴンッ! 「グルァァァァァァ!!」
やはり、ここは魔物がよく出るわね。クリスタルベアか。まあ、致し方ないわね。なにせここは深淵大魔境の真ん前なんだから。しかも、全ての魔物が高レベルで勝てる相手ではないわ。浅瀬に出てくる魔物は私でも倒せると思うけど、奥の魔物には全く勝てそうにないわね。
しかし、まずはこの魔物を倒さないとね。確か、炎属性魔法が弱点だったかしら?
ーー炎槍
ズガァァァァァン!
「グギャァァァァァァ!!」
「────がっ、……はぁっ!」
ぐっ、あ゛あ゛っ!? 何っ!? 身体が熱い!
急いで神殿に戻らないと!
バンッ!
「ジーナッ!!」
「アイリス様っ!? どうかされましたか!?」
「はぁ……はぁ、ごめんなさい、ジーナ。至急、私の身体を見て欲しいの。魔法を使ってから体の痛みが治まらなくて」
「っ!? まさか……いや、でも……。分かりました。では、診察室まで来てください」
これで、安心ね。ジーナは優秀だから、私も一目置いているのよ。
「では、診察を始めていきます。まず、体で違和感を持つところはありますか?」
「違和感はないけど、今日の朝から妙に体がだるいわね」
「まさか……本当に?」
「何? 何か分かったかしら?」
「…………アイリス様。いいですか? 心して聞いてくださいね」
「……ええ」
「アイリス様から聞いた症状からして、魔力病だと思われます」
「魔力病? 何かしら、それは?」
「……一般的には、月輝病と呼ばれる病です。新月の日とともに身体を魔力が浸食し、満月の日の夜に……息を引き取ります」
「……」
「……申し訳ありません。月輝病に対する対処法はまだ解明されておりません。」
「そう……」
「アイリス様。これからは、ご自身のお部屋で安静にしておいて下さい。仕事の方は私がやっておきますので」
「……ごめんね、迷惑をかけて」
「……いえ、これが私の仕事ですから」
……………………何で、何でなの!? 何で私が……。私はまだ死にたくない。まだ、生きていたいのにっ!
そして、その日の夜は枕を濡らして過ごした。
あれから1週間が経った。
私はもうほとんど寝たきりになり、症状もますます悪化していった。
「ごほっ、ごほっ……」
「大丈夫ですか? アイリス様、無理なさらないでくださいね」
「はぁ……はぁ、ぐっ。ありがとうジーナ。あなたのお陰でとても助かってるわ」
実際、ジーナのお陰で症状が本来よりも軽いから。
でも、私も分かってる。もう、自分の命が残りわずかなことぐらいは。……人生、呆気ないものね。
「ジーナ。私がいなくなった後は任せたわね」
「アイリス様、嫌です! 私はあなたがいたから頑張れたんです! あなたがあの時、私を救ってくれたから!」
「ふふっ、ジーナ。嬉しい限りだけど、そろそろ独り立ちしないとね? それにジーナも気付いるでしょう?」
「……」
ジーナはこんな私をずっと慕ってくれたから。泣く姿を見るのは心が痛いわね。悲しむジーナを見たら心が折れそう。
だから…………どうせ死ぬなら、誰の目も届かない深淵大魔境の奥に入ってみるのもいいかもしれないわね。最後に未知の魔物と相見えるというのもいいかもね。
~~~~~
ジーナには黙って出て来たけど、その方がよかったからね。あの子は絶対、私のことを止めるから。まあ、手紙を置いて来てるから大丈夫でしょう。きっと立派にやってくれるわ。
これからは、深淵大魔境での未知なる探索ね!
────はぁっ、はぁっ! くっ、戦闘で魔力を使い過ぎたわね。……これで病の進行が早まったわ。身体は熱いし、息も荒くなって来た。このままだとやばいわね。
……何? すぐ近くに何かが突然現れた? 人? でも、こんなところに人がいるはずがないんだけど……。見に行ってみようかしら。
…………見つけた。しかし、妙な格好をしているわね。しかも、顔立ちがあのクソ勇者どもに似ているわ。……もしかして、異世界人?
────いやいや、あの男、バンバン魔法使い過ぎでしょう!! 私の知らない使い方や全く知らない魔法を使うなんて。本当に何者?
がっ、……はっ! ぐっ、もう、限界……ね。倒れる前に、あの人達のことを知りたいわね。
「何者……なの、あなた……達は」
あっ、もうダメ────────。
アキ視点
「おう、起きたか」
「体は大丈夫?」
「あなた達は……」
敵意はなさそうだし、警戒はしなくて大丈夫だな。
「ああ。自己紹介でもするか。俺はアキだ。アキって呼んでくれ。よろしくな」
「私はアカリ。アカリって呼んでね。よろしく」
「私はアイリス=ディ=ヴァリオレインよ。アイリスって呼んでくれると嬉しいわ。そして、聞きたいことがあるんだけど……」
「何だ?」
「……私は魔力病というものに冒されていたと思うんだけど……」
「ああ、あれな。俺が治しといたぞ」
いやー、正直、倒れた時は焦ったわー。だって、熱はめっちゃ高いし、息も荒いしで。俺が再生魔法使えててよかったわ。
「え? ……そんなこと……でも、あの未知の魔法なら…………」
何かぶつぶつ言い始めたな。大丈夫か? まあ、まだ目が覚めたばかりだしな。
「おーい、アイリス。大丈夫か?」
「え、ええ、大丈夫よ。病気を治してくれてありがとう」
「ああ、丁度治せる魔法があったからな。だから治したまでだ」
「でも、私の病は不治の病のはずだったんだけど、どうやって治したの?」
「あー……まあ、それはおいおい話すよ」
「分かったわ。……それより、アキ」
「ん? どうした?」
「いや、大したことはないんだけど、寝たままの状態で話してごめんなさいね」
「ははっ、そんなことか。別にいいさ。アイリスは病み上がりだろ。それに……不治の病って言われて内心は不安で怖かっただろ? 俺達が付いててやるから安心しろ。身体が本調子に戻るまで安静にして休めよ?」
そう言って、アイリスの頭を優しく撫でる。
そのままアイリスは嗚咽を漏らしながら泣き出した。
ま、そりゃ仕方ないよな。生きる方法がないって言われてるんだから。
「あかり、ここは任せた」
「分かった、任せて」
あかりがそっとアイリスを抱きしめた。……羨まし。
そして、アイリスはそのまま数十分泣き続け、疲れて寝てしまった。
「情報は聞き出せなかったけど、まあ、これからメンタルケアをしていって、アイリスが落ち着いたらでいっか」
「そうね、その方がいいと思う」
「じゃあ、あかり。俺は動物でも狩って来るわ。そろそろ腹が減っただろ?」
「ありがと」
よーし、頑張って美味いもん集めますか! 食用か食用じゃないかは鑑定で分かるからな。
アイリスは、病み上がりだから重たいものは食べれないだろうし、果物があれば取って来るか。
「ガアァァァァァァァァ!!」
おおっ! これはまた、強そうなのが出て来たな。さてさて、鑑定っと。
=====
グランドベア
能力:雷属性魔法・咆哮
備考:とても強いがその分味は美味であり、肉厚もある。
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俺とあかりのご飯はこいつで決まりだな。鑑定に美味いって書いてるし楽しみだなぁ。
スパッ────
でっかい熊さんは叫び声をあげる間もなく死んだ。
え? 何が起こったかって? そら、簡単さ。俺が風属性魔法でグランドベアの首をこうスパッて斬ったんだよ。でも、魔法も便利だが、やっぱ戦いには、刀と銃が欲しいなぁ。
ま、刀ならともかく、銃なら錬成魔法で作れるだろ。いやー、やっぱ魔法って生活とかに便利だなー。
さて、俺達の食料はこいつで決まりだから、後はアイリスの為に果物を探さないとな。ま、探せば何かあるだろ。
お! あの赤い実なんか良さそうだな。
えーと、なになに?
=====
ルビーアプル
備考:レジェンドフルーツと呼ばれる果物の一つであり、蕩けるほど美味しい。
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……ルビーアプルって言うのか。これは良いな。成っている実、全部採って帰るか。
「帰ったぞー」
「お帰り、どうだった?」
「おう、今日の食料は大丈夫だ。それより、アイリス、目が覚めたんだな」
「ええ、さっきは取り乱したりしてごめんなさい。もう大丈夫よ」
「そっか、それはなによりだ。じゃあ、朝ご飯を食べるとするか」
じゃ、チャチャッと準備しますかね。
ジュワァァァ──
うわぁ、グランドベアの肉、肉汁すごすぎ。めっちゃ美味そう。はよ食べてぇ。
「よし、出来たぞー」
「わぁ! 美味しそう!」
「ちょ、ちょっとこれ、ルビーアプルじゃない!」
「ああ、そうだが?」
「そうだが? って、これ、幻の果物よ!?」
「へー、そうなのか。まあ、いいじゃないか、食べられるんだから」
「はぁ、ま、いいわ。ありがたく食べさせて貰うわ」
ふぅ、グランドベアの肉美味かったぁ。
「美味しかったぁ〜」
「ああ、また狩って来ないとな」
よし、じゃあ、情報を集めて行くとしますか!
「じゃあ、色々聞いていきたいんだがいいか?」
「ええ、いいわよ。でも何で?」
「……ああ、それはな。俺達はこの世界の人間じゃないからな」
「……やっぱりね。あなた達を見つけた時からそうかな? とは思ってたのよ」
「そうなのか」
「ええ。あなた達にはこの世界のことを詳しく教えてあげないとね」
「ああ、よろしく頼む。まずは、この世界は何て名前なんだ?」
「この世界の名前は"ランディス"よ」
「なら次は、この世界に人族以外の種族はいるのか?」
「ええ、いるわよ。人族、獣人族、森人族、土人族、人魚族、吸血鬼族、鬼族、妖族、魔族、竜族、龍族、妖精族の12種族がいるわ。中には、種族の中で派生が存在するものもあるわ」
へぇ、12種族か。この世界にはそんなにも存在するのか。いいねぇ。これぞファンタジーって感じだよな。
これから、この世界の歴史とか国や大陸の存在を調べて行かないとな。……楽しみだな。
「なるほどな」
「アイリスは何の種族なんだ?」
「私は誇りある種族の竜族よ。その中でも神竜種と呼ばれる種よ」
「へー、アイリスってすごいね!」
「なあ、アイリスのステータス見せてくれないか?」
「いいわよ。その代わり、あなた達のステータスも見せてもらうわよ?」
「ああ、当然だな」
=====
名前:アイリス=ディ=ヴァリオレイン
種族:竜族-神竜種
年齢:1476
性別:女
能力:咆哮・人化・火属性魔法・雷属性魔法・光魔法
称号:光を司る神竜・巫女の後継者
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ほぉー、なかなか強そうだな。これが、この世界でどれくらいの基準なのか知りたいな。まあ、神竜っつーくらいだから、世界最高峰なのかねー。
ま、俺は反則的な存在ってことだな。
「ねぇ、私のステータス見て微妙な顔してるけど、アキのステータスがおかしいだけであって、私、この世界で最強の一角に連なる存在だからね?」
「ま、まあ、俺は地球にいる頃から自分が反則的な存在だなぁって思ってたけど。まあ、あかりもアイリスも俺が強くしてやるよ」
課題が増えたな。あかりとアイリスを強くするのと、後は、魔法の研究に科学との融合とかも研究していこうかなー。面白そうだし。いやー、この歳になって、こんな楽しいことが出来るなんてな。人生捨てたもんじゃねーなぁ。
さて、まだまだアイリスにこの世界のことを聞いていかねーとな。国の存在や位置に大陸の名前やいくつあるのかとかな。いやー、楽しい旅が出来そうだ。
あー、課題多すぎて小説書く暇が中々ない〜。
課題に忙殺されて、小説の書く内容が浮かんで来ない。
誰かいいリラックス方法知ってたら教えてください!!
では、また来週!
レジェンドシリーズをレジェンドフルーツへと変更致しました