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おっさん、心、重ねて

 部屋に戻った俺たちはマナから事情を聴く事にした。なんでも夜中に抜け出して酒場でヒャッハーしていたらしい。

 酒場ではモテモテだった話が長くなりそうだったので強制的に中断させて先を急がせる。

 見れば彼女は手に入った資金をほとんど使い果たしていた。だがまぁそれは良い。彼女が稼いだ金だ。しかし問題は…


「お~~~~ま~~~~~え~~~~~は~~~~~!」

「い、いひゃいひゃいひゃい!」


 俺はマナの頬っぺたを掴んで両側にぐいっと広げた。

 その時俺のほっぺたに電流走る----!!


「いてぇっ!?」


 ……心臓をタラりと冷たい汗が落ちた気がした。

 

「お前…まさか…」


 マナの頬っぺたをぐいっとつねる。

 痛い! ……俺が


「そ、そんな…どうしてこんな事を…」


 余りの衝撃に言葉が出ない。

 俺はよろよろと後ろに後退して壁に背をつけるとマナは人形みたいに顔を下に向けたまま笑い出した。


「ふふ。ふっふっふ…

 だぁって、ご主人様なんだか私とおねぇちゃんとで態度違うじゃないですか… 私ね。酒場でレベルアップしたんですよ… 知ってます? 私の権能、愛と喜びなんですよ。みんなから、そして何よりマスターから愛されて喜びを感じるのが力になるんです。気持ちよかったな~。みんなから可愛い可愛いって言ってもらえて。私、マスターからもあんな風に言ってもらいたいです。ふふ。だから私スキルを覚えたんですよ。マスターに私の事いつも気にしてて欲しくて、マスターとず~っと繋がって何もかも分け合いたくて。うふ。うふふふふふふふふふふふふ。だからもう、これからはず~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っと一緒 ダ・ヨ」



「アイェェェェェェエエエエ!?」


 ナンデ!? この子ナンデ!?

 なんで光の精霊なんて言うロウとカオスで言うと思いっきりロウ側の存在がこんな病んでんの!?

 

 パニックに陥る俺に心の中からヘルメスが叫ぶ!


「落ち着いてください。マスター! あれはパッシブスキルじゃなくて発動から一定時間受けたダメージの半分を契約主に肩代わりさせるためのものです。

 飲み過ぎて気持ち悪くなっていたけどまだ飲み足りなかったのでマスターに負担を肩代わりしてもらったのでしょう。

 怒られるのがこわかったのでヤンデレのフリをして乗り切っているだけに過ぎません!」


「なん……だと…?」


 俺は突然絵柄が変わったオサレな顔でマナの方を向いた。


「……てへっ?」


 彼女は片目を瞑って舌を出し、右手でコツンと頭を叩いた。

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