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77話 美唯菜と水着


 「しゃっしゃっせー!」


 店内は明るくカードショップとは思えないほど色とりどりの物がおいてあった。

 カードも勿論大々的に売っているんだけど、その他に洋服が並んでいたり、お菓子みたいな物も売っていた。カードショップとは。


 「わぁー! 結構広いねー!」

 「うん」

 「空間操作してるものね」

 「……え」


 外から見たよりずっと大きくて広い。

 真紀ちゃんが絶句してトリアを見るけど、トリアは知らぬ顔で下を通る小人を眺めていた。


 「小さいとそれだけで可愛く見えるものね」


 エッサホイサとお店の手伝いをする身長約30cmくらいの小人族。

 実際なんていう名前なのかは知らないけど、ちっちゃくて可愛い。


 「ちいさいの……かわい、ね」

 「そうね。いつだってミーナは世界一可愛いわね」

 「むぅ」


 それは私が小さいとでも言いたいのかな?

 確かにトリアや真紀ちゃんと比べると、その……小さいかもしれないけど!

 それに胸だってちょっとは成長してるもん! ……たぶん。


 「トリアさん。この小人のことじゃないかなっ?」

 「え? あっ! そうね、可愛いわよねホビットは」


 ジトーっ。

 取り繕っても無駄だからね、私ちゃんと聞いていたからね。私が可愛いってそんな……。


 「水着の試着会をするのよね? は、早く行くわよ?」

 「うん」


 仕方ないなぁ……ここは乗せられてあげよう。

 頭のこねこを撫でると、先行するトリアに付いていく。

 小さなクリーチャーを少しなら呼び出しても大丈夫だと知った真紀ちゃんは、隣でミニコウモリを呼び出していた。吸血鬼の真紀ちゃんにコウモリは似合うねー、改めて見るとミニコウモリもデフォルメされてて可愛いなー。


 --にゃー

 「ん。こねこも」


 おでこをポンポンと叩くこねこを撫でると満足したように丸まった。

 分かってるよー、こねこも飛びっきり可愛いから。そんなに嫉妬しなくても大丈夫。


 店内を進んでお着替えルームって書いているドアを開く。

 ドアノブにはセンサーがついていて、首につけてあるコネッキングがコネクトを開始した。性別わけでお着替えルームがあるからこうやって性別を確認しないといけないんだって。


 「思っていたより広いんだね」

 「せまく、ない」


 お着替えルームは真紀も言った通り広々としていて、簡易的な囲いが並んでいた。

 お着替えルームにいるのは私達だけじゃなく、ほかの人もいる。中にはコスプレしてるみたいな格好で囲いのカーテンから出てくる人も。

 魔女っ子みたいな服だったり、全身黒ローブもいれば巫女服を着ている人もいる……夏要素どこにあるんだろう。


 「あっちが空いているわね。行くわよ」

 「りょ」


 奥側の方に行くほど空いてるところが増えていって、すぐに三つ隣合わせで空いてるとこを見つける。

 色んな水着カードの準備よし。


 「それじゃまずは自分で決めた水着を選ぼう」

 「うん」


 真紀ちゃんはもう自分幾つか候補があるのかな?

 といっても私も決めている水着があるんだけど。


 「トリアさんはどんな水着か決めたのかな?」

 「そうね……さっき真紀とミーナが言っていたワンピースにしようかしら」

 「それは大トリです」


 決まってないトリアにはこの水着を進呈しよう。


 「とりあ、これ。ぜった、い……にあう」

 「えあっ、ミーナ。わ、わかったわ」


 トリアはこくりと頷いて、水着カードを受け取った。

 ワンピースと麦わら帽子は私達の中で最高の組み合わせだから、先に違うやつをしてもらわないとね。真紀ちゃんとアイコンタクトをして意思を確認しあう。


 「……あとでミーナと真紀にも私が選んだものを着けてもらおうかしらね」


 まさかトリア気づいてた?

 思わぬ反撃をくらってしまったかも。


 「こう見えて一度おか……美蓮さんと服選びに行ったことがあるのよね。楽しみだわ」


 不敵な笑みで私達に笑いかけるとそのままカーテンの向こうへ行ってしまった。

 残った私と真紀ちゃんは顔を見合わせる。真紀ちゃんからみた私はきっと冷や汗が出ているはず。


 「……ちなみに服選びに行ったっていうのは」


 私はそっとコネッキングからママの写真を真紀ちゃんに見せた。

 凄く似合ってはいるんだけど、これはママだからであって私達にもこんな服を指名されたら。


 「が、頑張ろう美唯菜ちゃん」

 「……うん」


 過激な水着にならないように願って私たちもカーテンの中へと入った。


 四角で囲まれた狭めの空間。

 正面には大きな鏡があって、私の全身を余すことなく映し出していた。


 とりあえずホルダーからカードを取り出して水着を召喚する。

 今回着る水着は露出が少ないオーバーオールみたいな形のやつ、ビキニとかはトリア達に任せることにするよ。

 服を脱いで装着っと!


 「みんな準備はいいかな?」

 「いいわよ」

 「ん」


 着替え終わったところで真紀ちゃんが声をかける。

 返事が揃ったところでいざお披露目タイム!

 カーテンを開けて外に出る。


 「おおー」


 二人とも可愛いー!

 真紀ちゃんは緑色のビキニで水色パレオを巻き付けている。下半身を隠しながら腰より上を強調している……ごちそうさまです。


 対するトリアは私が選んだ水着……猫ちゃんマークの水着だ!

 黒色の水着に所狭しと敷き詰められた猫ちゃん達、スタイル抜群で綺麗なトリアにとってもキュートな猫ちゃん……やはり私の判断は間違えてはいなかった! ……写真撮っておこう。


 「いいわ、良いわよミーナ! そのままピースしてちょうだい?」

 「こう?」

 「そう! とても可愛いわよ、ミーナ!」


 私もトリアを撮ったからおあいこ。といっても凄い速さで何枚も撮ってるけど。

 どうせなら色んなポーズしてよっかな?


 「まきちゃ」

 「えっ、私も!?」


 旅は道連れっていうし……ね?

 真紀ちゃんと腕を絡ませて密着する。着るものが無くなれば逆に大胆になれるものだ、って偉い人もいってた!


 「ほ、ほら周りも見だしているし、そろそろっ」

 「仕方ないわね、ここらで止めておこうかしら」


 どんどん顔を赤くする真紀ちゃんにイタズラ心が芽生えてしまう私とは逆で、トリアはヤレヤレといった具合に写真をやめた。

 トリアがやめてしまっては仕方ない、私も腕を引いて次の準備を……。


 「まきちゃ?」

 「い、一枚なら」


 …………素直じゃないんだからー!!

 腕を離さない真紀ちゃんが恥ずかしそうに俯く。この場に男が居なくて良かった、この姿は見せられないね。いや、それを言うなら私達もだけど!


 「トリアさんも一緒に」

 「うんうん」

 「私は遠慮しておくわ、二人をとる役で充分よ」

 「まあまあそう言わずに〜」


 真紀ちゃん、開き直ってトリアも巻き込もうとしてる。

 よしそれじゃ……私もカメラをインにしたあと、真紀ちゃんと顔を合わせる。頷き合って一斉にトリア飛び込んだ。


 両腕を掴まれたトリアに私たちは掴んだ片手でピース!

 コネッキングが思考を読み取ってシャッターが切られると、小気味のいい音と共に3人の水着写真が完成したのだった。




 「……ミーナと真紀はよっぽど過激な水着を着たいようね」


 満更でもない顔で言っても説得力ないよ。


 「ん、こねこ。だめ、きがえちう」

 --にゃー

 「そこっ、だめ」

 --にゃー


 ★幻惑


 効果

 半径1メートルに5秒間自分の想像した幻を作る。


 紹介文

 いやらしい映像も見れちゃうぜ!


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