76話 美唯菜と休憩
「なかよく、あそんで、ね」
--にゃー!
ガチャを一通り引き終わった私達は、一旦ログアウトして近くのベンチで休憩中だ。ずっと休憩してる? そういうこともあるよ。
この休憩中に猫ちゃん達や新しい子達を呼ぶと遊具で遊びに行ってる。新しい子達も馴染んでくれるといいなぁ。
「バンちゃん達も楽しんできてね!」
--うにゃー!
真紀ちゃんもカードから呼び出してバンちゃん達を遊ばせる。
猫ちゃん達と遊ぶバンちゃんやミニ吸血鬼は見ていて穏やかな気持ちになるなー。
「ほかの子達とも仲良く遊んでるみたいね」
「うん」
猫ちゃん達が走り回ったり丸まってたり……とても和む。
こうしてベンチに座っているだけだけど、これだけで結構楽しいな。たくさんの人たちのクリーチャーも見ていて飽きないね、白い雲と黒い雲のクリーチャーに男の子が乗って遊んでいたり。
「黒いのは雨雲なのかな?」
「すずし、そう」
ふわふわで冷たかったら夏はずっと引っ付いていそう。
雷とか降らないのかな?
「雨は降らすことが出来るけれど、雷は雷雲っていうのがあるわ」
そっかー。
猫ちゃんだって冷たい猫ちゃんも……。
「いるわよ。気になるなら頑張って当てることね」
それは気になるかなー。
「……み、美唯菜ちゃん?」
「ん?」
「真紀……しっー」
「……あっ!」
トリアが口許に人差し指を添えて小さく息を吐くと、真紀ちゃんは何か気付いたのか声を上げる。
なんだろう、何かあったのかな?
「とりあ?」
「なんでもないわ、それより猫ちゃん達がミーナと遊びたがっているわよ?」
「えっ?」
見ると猫ちゃん達が私の近くまで来ていて、私をジッと見つめていた。尻尾がゆらゆら揺れていてまるで私を待っているみたい。
もーしょうがないにゃー! すぐ行くのにゃー!
☆
美唯菜ちゃんが猫達と遊びに行ったあと、私は聞きたかったことをトリアさんに聞こうとした。
この1週間ずっと聞こうとして言い出せなかったこと、私が聞くなんておこがましいかもしれないけれど。
だけど私が口を開こうとする前に、トリアさんが美唯菜ちゃんを眺めながら私に喋りかけた。
「ミーナね。前よりも少し元気になっているのよ」
それは猫ちゃんと遊んでいる美唯菜ちゃんを見ていると凄く感じてくる。
こんなに笑顔の美唯菜ちゃんはあまり見たことがない、特に相馬くんがいない時と……。
「きっと真紀がいることも要因の一つなのよね」
「私が……?」
そんなこと考えもしなかった。
私が美唯菜ちゃんの枷になることはあっても、プラスになることなんてないと思っていた。
「ミーナ凄く喜んでいたわ、学校で友達が出来たって」
「それは私じゃなくてもたくさん」
「いるのかしら? この場所まで一緒に来てくれる友達が」
それは……きっといない。
美唯菜ちゃんから誘えば断られることはないかもしれないけど、自ら付いていくなんてことはきっと無い。
今でもなお遠慮や気負いが付きまとっているのだ。それは私にだって言えることだけど。
「あの……一つ聞きたいことがあって」
「ミーナのこと?」
気付いていたんだね、やっぱり。
私が話を切り出す前にトリアさんはそれを止めた。
「それは私からじゃなくてミーナ本人が言うことよ? 私も人のことは言えないけど」
「トリアさん?」
「……聞かなくても大よその検討は付いているのでしょ?」
現実世界よりもVR世界の方がミーナちゃんは上手く言葉を交わせる。確証なんてないけど、今まで一緒にVRに潜ったときはとてもハキハキとしていて……きっとそれが美唯菜ちゃんの本当の姿なんだ。
「最近はそれも改善に向かってるわ。……聞いていたわよね」
「うん」
美唯菜ちゃんは気付いていなかったかもだけど、こっちの世界で美唯菜ちゃんは喋っていた。
それは一瞬のことかもしれないけど、確かにこの耳で聞き取れた。
「とりあ。まき、ちゃん」
美唯菜ちゃんの声が聞こえたと思うと、いつの間にかやって来ていた美唯菜ちゃんが私達の手を掴んだ。
「み、美唯菜ちゃん??」
「ふたり、も……あそぼ?」
美唯菜ちゃんは私達の手を引っ張って小さなクリーチャーの集う遊具へと連れて行く。
引っ張る美唯菜ちゃんはとても笑顔で、トリアさんと顔を見合わせると自然と笑みが零れたのだった。
☆
ふうー!
遊んだー!
「たのし……ね?」
--にゃー!
真紀ちゃんとトリアが何か話していたから、途中でほぼ無理やり引っ張っちゃった。
そのあと二人も混ざって皆でひたすら遊びまくった。楽しかったー!
「ふふっ、ミーナ満足そうね」
「うん」
満足も満足、大満足だよ!
時間も忘れて色んな子達と戯れちゃったよ。
こうして他の人の子達とも遊ぶと戦わせたくないなって改めて思うな。イベントで猫ちゃん達にずっと頑張ってもらっていた私が言うのは変かもしれないけど。
「私も凄く楽しかったかな、吸血コウモリやバンちゃん達とスキンシップすることもあまり無かったから」
「それはいけないわ。仲良くなればなるほどクリーチャーは応えてくれるようになるのよ?」
「……仲良くなればなるほど危ないことはさせなくないジレンマが」
真紀ちゃんも満足していたみたいでなによりだよ。
トリアは全身から楽しいオーラが滲み出てるから聞かなくても分かる。
「じゃ、いこ?」
お次は待ちに待った水着の試着だ。
猫ちゃん達をカードに戻ってもらって、いざ出発!
なお『こねこ』は頭の上でくつろいでいる様子。私の首力が試されるね。
場所はここと同じデパートの屋上にあるお店で、色んなクリーチャー達が着れたりするお洋服や、カードの売り買いもやっている。
ってあれ? こっちの世界でカードの交換って出来たっけ?
「とれーど、って」
VRに入って交換するのかな?
でもそれだと店員さんの持ち物になる気がする。
「こっちだとトレードは使えないけれど、カードの所有権破棄は出来るのよ。もちろんその逆もね?」
「なる」
そういうことかー。
それならカードの売り買いも余裕だね。
「え、でもそれなら他のソフトの人達も私達のカードを使えちゃうってことかな?」
た、確かに……。
なんかもうソフト関係なくなってきたかも。
どうせなら三つの世界を纏めちゃえばいいのに。
「そんなわけないじゃない。CREATUREのカードはCREATUREの人以外だと所有権を認められないもの」
「だ、だよねー。びっくりした」
私もびっくりしたー。
「ほらもうすぐ着くわよ」
「うん」
『カードショップWORLD』。
最近色んなところで開店したカードショップ。ここもその一つで、このデパート屋上と一緒に建設したらしい。
トリア曰く、運営と同じ会社が経営しているから安全なんだって。安全ってどういうことだろ?
まあそれよりも、このカードショップはカードショップとは名ばかりの色んな楽しみがある。
猫ちゃん達のお洋服だけじゃなくて、私達の服もカード可して売っていたり、なんでも出来るみたいだから楽しみだ。
もちろん今日の目玉である水着試着会も出来るし! トリアの水着姿楽しみだなー、ガチャで見ちゃったけどやっぱり生で見ないと!
★夜の目
効果
暗い場所でも見えるようになる。特定条件下で命中率、回避率アップ。
紹介文
見える……見えるぞぉお!




