表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/114

5話


 この戦闘で4回目となる魔力付与15をする。

 すでにHPはMAXまで回復して万全の状態だ。HPが最大でも油断すれば一撃で死に戻りだけど、そこは気にしてはいけない。


 狼のHPは残り8割ほど、こっちのMPはあと20弱だ。初心者用MPポーションは残り10っ個あるから回復分合わせて80ちょい。

 魔力付与の恩恵は少ないが無くなると避けきれない攻撃も出てくるだろう、微々たる強化だけどある時とない時の差は実感できる。今でギリギリ身体が着いてきているくらいだし。

 魔力付与のMPは15で統一するとして、MPの自然回復分も計算してあと5回しか使えない。あと25分で決着を付けないと死に戻りは確実だろう。


魔力剣 MP4230


 魔力剣のMPはいい感じに溜まってきている。このまま威力を上げていけば削り切る事だって夢じゃない。時間との勝負だ。


 あせらずに狼のタックルを躱し、迫る光の玉を切っていく。

 狼はこっちに向きすぐに飛び掛ってくるが、跳んで回避し剣を振り3倍化。

 狼に当たるとすぐに元に戻す。その後すぐに横に跳んで光線を回避し、向かってくる光の玉を切る。


 狼が回転して尻尾で攻撃してくる時は、振り上げるように剣を払い尻尾が少し浮いた所をしゃがんでやり過ごす。そのまま狼へと走り尻尾の後を追う落雷を回避すると、2,3回攻撃をしてそそくさと逃げるようにその場から退散する。

 さっきまでいた場所に狼が足を振り下ろすが、その場に僕はいない。離れた所で光の玉を切っていた。

 MP大事、ちょー大事。


 辺りに紫電がはしる。これには安全地帯なんてものがないから自力で切り抜けるしかない。


 狼が来るタイミングを予測し、振り下ろされる前足を先回りして、狼が足に力を入れきる前に剣を振りかぶる。

 激突する巨大な足と魔力で出来た小さなな剣。だけど内包するMPは4310。狼に力が入っていたら結果が変わっていただろうけど……目論もくろみどおりり勝った。


 両足を大きく上げてよろめく狼、この隙を見逃す訳がない。懐に入り腹に2回、剣の大きさを倍にし首に目掛けて1回。懐から離れた瞬間に回りながら狼に向かって跳び剣を5倍化、ドスンッという音と共に地面に足をつけた狼目掛けて剣を振るう。遠心力は大事。


 顔に大きな切り傷が出来た狼は大きく仰け反り、その間に3回切りつけ退散する。


 狼の目が充血するように赤くなりこっちを睨みつけてた。……なんだか天気が怪しくなってきたな。

 魔力付与をかけ直して剣を構える。


 ──咄嗟に右に跳んだ。


 一瞬遅れて狼が後ろを通り抜け、通った場所に雷が落ちる。

 やばい、目で追えなかった。紫電みたいな合図もないし、これはやばい。


 急に降っていた光の玉が無くなった。これが無くなればさっきのもまだ回避出来るけど、MPの供給源がなくなってしまう。

 ……心配はいらなかったみたいだな。


 狼が雄叫びを上げると、紫電を纏う光の玉が空を埋めていく。


 今まで通り向かってくる光の玉を切る。

 捌ききれない分は躱すが、躱した光の玉は地面に当たらずに曲がってこっちに向かってきた。


 「なっ!」


 咄嗟に切りつけ他の光の玉から離れる、するとその光の玉も曲がってこっちに来る。ホーミングとか止めて欲しい。割とマジで。


 全てを切るつもりで切っていくしかないな。

 手が足りない? ……ならば増やせばいい。


 「魔力剣」


 両手に剣を持ち高速で迫る光の玉を切っていく。

 1歩引いて光線を躱すとすぐに横に跳ぶ。

 狼がすぐ近くを横切り、雷が落ちる。ほぼ直感だな。


 そのまま光の玉を切り続ける、1度避けるだけで迫ってくる光の玉は一瞬だけ2倍になるのだ。……ほんとに新しく剣を作っといてよかった。


 狼を正面に光の玉を切っていくと、狼の目がまた充血するように赤くなるのが見えた。これは……。


 予想通りその場から離れた瞬間に後ろを狼が通り過ぎた。

 光の玉をMPに変えて捌いていき、魔力付与をかけ直す。魔力剣を使ったからこれであと3回だ。ついでに初心者用MPポーションを10っ個緊急使用する。


 狼のHPは6割半ほどだ。

 これでも削れた方だと思うけど、このままじゃ僕のMP切れの方が早い。


 辺りに紫電がはしり雨が降り始める。そしてどんどん狼の目が赤く染まっていく。

 直感に従ってただ走る。辺りの至るところに雷が落ちていく、さっきいた場所にも雷が落ちていた。まさに雷雨。


 そのなかで気付くと狼は姿を消していた。


 ……ヤバいな。

 飛び交う轟音の中で同じ場所には留まれない。走りながら全方位に注意を向ける。


 ──来たのは正面。

 振り下ろされる巨大な左足。ギリギリで回避する中で見たのは狼の瞳の先。

 2撃目が来る、左足をバネにして右足が襲う。


 狼の狙いは僕の持っている剣だ。宙に舞い砕ける魔力剣、予想していても防げない。体勢が悪く剣を離さないとこっちまでダメージをくらう所だった。

 縮小化? そんなことしたら直撃コースだ。

 新しい方の剣で助かったのか。


 いや3撃目がくる!


 左足が向かう先は僕の持っている魔力剣。吸い込まれるように向かってくるソレは確実に剣に当たるだろう。ここで魔力剣がなくなるのは敗北を意味する。

 持ちながら逃げる事が出来ないなら投げ捨てるまで。そんなに欲しけりゃくれてやる。


 狙うは一点。

 足の隙間を縫うように放つ!


 ──グオォォォ!


 足が僕に当たる寸前で大きく仰け反り事なきを得る。


 狼の右目は深々と剣が刺さった。

 血が溢れ出しHPが目に見えて減少する。


 少し離れると、まだ苦しむ狼の右目に刺さっている剣に意識を集中させる。……右目を潰させてもらう。


 剣を拡大させていく。雷雨は止み、光の玉は闇に溶けていく。

 暗い空のなか藻掻もがく狼、剣が狼の目を塞いだ。


 その瞬間、巨大な狼を飲み込むように落雷が包み込んだ。

 砂塵が狼を隠し、辺りが……雨に濡れた地面が全て光を放っていた。次第に電気が見え隠れしていく。


 頭に浮かんだのは『空を飛ぶ』ということ、懸念事項はこのゲームでは1度も空を飛んでいないということ。

 そうこうしている内に地面の電気が勢いを増していく。……悩んでいる暇はない。


 空へ飛んだ瞬間、地面に電が走り始める。

 継続ダメージだろうか、どっちにしても下はもう危険だ。


 姿を現した狼は毛が逆立って全身が発光していた。

 右目に大きな切り傷が出来ているが、魔力剣は無くなっていた。

 狼のHPは3割ほど、今のでだいぶ削れたけど、魔力剣は無くなったし慣れない空だ。状況は変わらない。

 気を引き締めていこう。


 その前にとりあえず魔力付与をする。


 「魔力剣」


 剣も一つ作ってもまだ魔力付与3回分。いや空も飛んでるからその分のMPも計算すると2回くらいだな。


 狼は宙に浮いてる僕を睨みながら佇んでいる。

 この間に翼の確認をする、感覚通り翼は全く動いていなかった。

 だが前も後ろも歩く速さでしか進めない。……翼を動かしながら走るスピードをイメージする。うん、これならいけそうだ。


 翼の動きにも関係がありそうだが、検証はまた今度だ。痺れを切らした狼が光の玉を向けてくる。

 ある程度は掴めた空で光の玉を切る、前より速くなって量も多い。

 避けないといけない時は前より多く、空を逃げるように飛ぶ。ホーミング付きの弾幕ゲームのようだ、前から後ろから光の玉が追ってくる。

 光の玉が速く、このままじゃ後ろからの攻撃に当たってしまう。


 ちょっとした願いを込めて翼に魔力付与をする。どっちみちこれが出来ないと死に戻りだ、賭けに出るしかない。


 そしてグンッと飛ぶ速さが変わる、おかげで前からの光の玉に当たりそうになってしまった。

 だかこれで追いつかれる前に切ってしまえる、そしてこのまま狼に向かって空から初めて攻撃を仕掛ける。

 急降下するように狼目掛けて一閃。尻尾の払いを避けて光の玉を切る。光線を躱し降ってきた雷も躱す。そしてまた狼に目掛けて一閃。狙うは左目、時間がないのだ。浅く傷を付けて戻る、まだ剣のMPが足りない。


 向かってきた狼を空高く飛んで回避する。

 付いてくる光の玉を切り続けながら、光線を回避する。光の玉はグレードアップされているからかMPの実入りがいい。これなら前の剣のMPに近づけることが出来る。


 また向かってきた狼を空高く飛び回避しようとしたが、狼はその場でジャンプしてこっちまで届かせてきた。


 ──好都合。

 相手は空中で踏ん張りがきかない身体だ、無理やり前足で攻撃してきたのを前に進む事により回避。

 そのまま一直線に狼に目掛けて飛ぶ。


 刺すように剣を構えながら目指す先は左目、直撃コースだ。

 刺したまま狼と共に地面へ落下していく。落下しながら剣を動かし目を縦横無尽に駆け巡る。

 最後に拡大化をして地面に当たる前に剣を抜きその場から離れる。


 比較的遅くなった光の玉を切りながら狼をみる。

 狼のHPは残り1割もない、これは結構削れたのではないか。

 狼の両目はきっと機能していないだろう。

 今の間に魔力付与をする、これで最後の魔力付与だ。


 再び狼を見ると、狼を中心に電の膜が覆い始めた。膜と狼の間には雷が絶え間なく発生してとても近づくことは出来なさそう。


 ……これは詰んだ。

 地面は電がはしり、膜によって狼には近づけない。

 剣で攻撃できないならHPは削れない、他の攻撃手段なんてないのだ。


 それでも近づいてくる光の玉を切り続ける、せめてこの剣のMPを使えたら……。


 ……使えるか?


 ものは試しだ。時間は無いがこれ以外に打開策はないだろう。


 メニュー画面を出し魔法製作ページへ、ボタンを押す。


 魔法は製作を決意した時に決めた。


 「魔法名、ジャッジメント」


 いかにも天族にピッタリな魔法だ。


 「効果、対象に裁きのいかずちを振り下ろす。発動条件は既存の魔力剣のMPを使うこと。空から対象に目掛けて落ちるため、屋内では効果が発揮されない場合あり。威力は無し、ダメージが固定化される。ダメージはMPにより変動する」


 魔力剣が効果内に入っている時点で既存の魔法ではない。


 【確認しました。消費MPと威力を設定してください】


 「消費MPは魔力剣MP100以上、上限は無し」


 【確認しました。威力を設定してください】


 「威力は無し、消費MP×5の固定ダメージ」


 【確認しました。

  必要SPは70です、製作しますか Yes/no】


 もちろんYesを選択。

 もともと固まっていた内容だっただけに飛びながらでもペラペラと言えた。


 狼は電の膜から動く気がないみたいだ。目がやられて動けないんだろうけど。

 膜で身を守って、地面の継続ダメージと光線に光の玉。完全に安全なところから攻撃をしているという訳だな。


 そんな狼に一泡吹かせてやろう。……もっともその前に光に消える予定だけど。


 僕は光の玉を捌きながら狼の上、雷の膜よりもっと上にいく。


魔力剣 MP5100


 魔力剣から淡い光が漏れだし、空高く舞い上がっていく。魔力剣に魔法陣が通り、空に大きな……それはもう大きな魔法陣が浮かび上がる。


 雷を纏う狼に雷を落とす。ただこの雷は裁きの雷だ、何人なんぴとたりとも防ぐこと叶わず。



 「ジャッジメント!」


 魔法陣が眩いくらいに輝く。

 雷は暗雲を払い、轟音と共に辺りを白く染めた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ