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39話 みいなとトリアその6


 トリアと近くのベンチに座ると、猫ちゃん達も膝や肩に集まってくる。ベンチや足下でニャーと鳴く猫ちゃん最高ですっ。


 そだ、先にプレゼント欄から報酬を受けとっておかないと。

 ネズミのカードを手に入れたけどトリアは平気かな?


 「トリア、ネズミ大丈夫?」

 「だ、大丈夫よ。猫ちゃんが襲わないか心配なくらいだわ」


 --にゃ

 --にゃにゃ

 --にゃにゃにゃ


 猫ちゃんは大丈夫だって。

 それじゃあネズミちゃんとご対面ー!


 「おいで。ねずみ」


 ネズミのカードが光って、手のひらにネズミが召喚される。

 周りの猫ちゃん達がつぶらな瞳で眺める中、ネズミは首を大きく振ったあと猫ちゃんから逃げようとする。だがしかし、猫ちゃんはネズミを囲んでいるから逃げられない! 大人しくお腹を見せるネズミ。……いやいや誰も襲わないから。


 「い、今がチャンス……ね」

 「と、トリアだめー!」


 両手をワキワキしてネズミを狙ってるトリアを片手で抱きついて止める。


 「え? ど、どうしたのミーナ」

 「ネズミ襲ったらだめだよトリアっ」


 トリアを力いっぱい抱きしめる。怖くても潰したらだめだよっ。


 「お、襲わないわよっ。これなら私でも触れるかと思っただけ……で」


 ……思わずにやけてしまったよ。

 私はそっとお腹を見せてるネズミをトリアの前に持っていく。


 「はい、トリア。触ってあげて」


 ネズミはトリアの視線に気づいてビクッとするけど、猫ちゃん達の存在が逃げる選択をなくしている。

 トリアは顔を赤らめながらもゆっくり頷いた。


 「い、いくわよ」


 ゴクリと唾を飲み込んで、そっと。そぉっと。トリアの指がネズミのお腹をさする。


 「……暖かい」


 トリアの言葉に不思議と空気が暖かくなった気がする。

 猫ちゃんが目を細め、私はトリアと微笑み合う。

 ネズミも気持ちいいのかトリアの指を掴んで幸せそうだ。


 暫くほっこりしていると頭から軽い衝撃が。

 どうしたのかと見てみると、こねこが頭をポンポンしているのだった。気になっていると、こねこがピョンと私の前にある画面をタッチしようとする。


 「あ、ガチャかっ!」

 「……すっかり忘れていたわね」

 「だねー。こねこもありがとっ」

 --にゃー


 これは少し退屈になってガチャして欲しかっただけだな。他の猫ちゃん達も完全に見る体制だ。

 ネズミはトリアの肩に乗って懐いている。もうすっかり仲が良くなったね。


 よし、それじゃあガチャを回しちゃうぞー!

 ノーマルガチャのページから[10回連続]ボタンをタッチ!


 画面の中で弓道着を通して弓を構えるトリア、狙うは10枚のまと。肩出し! 肩出しだよ! キャーセクシィー!

 第一射、第二射と続いて矢を放っていき、その全てが的の中央を射抜いた。そして最後の11本目、的はないのに弓を構え矢を放つ。

 11本目の矢は正面の的……の後ろに隠れていた新しい的の中心を見事射抜いたのだった。合計11枚の的が割れ、そこから光るカードが11枚。



 ☆幻視

 ☆そうめん (3)

 ☆そうめん (2)

 ☆猫の舞

 ☆そうめん (2)

 ☆そうめん (2)

 ☆ねこ

 ☆そよ風

 ☆そうめん

 ☆そうめん (2)

 ☆そうめん (3)



 え、ちょっとそうめん出過ぎじゃないかな。

 確率どうなってるの? 明らかにそうめん率高くない?

 咄嗟にトリアを見ると、トリアは画面をジッと見つめて動かない。


 「どうしたの? トリア?」

 「……そうめんって美味しいのかしら」


 そこかぁ!

 そうめん14束当たるっていう意味の分からない確率よりも美味しいかどうかなんだね。

 まぁ当たったものは仕方ないもんね、出来たら一緒に美味しいつゆも当たってくれたら良かったんだけどね!


 「美味しいよっ。後で作るから一緒に食べようね!」

 「本当! 嬉しいわ」


 けどこっちで手に入れた食べ物は現実でも食べれるのかな? まぁやってみたらいいか。


 あとはそうめん以外の当たったカードを見ようかな。

 ガチャをすると付いてくる☆ねこ はもうお馴染みだね。同じ種類の猫ちゃんを合成して集めておく、これで猫ちゃんトリオの完成だっ。


 「ミーナは本当に猫ちゃんに好かれているからね」

 「そうめんにも好かれていたけどねー」

 --にゃー


 次は☆幻視 と☆猫の舞 と☆そよ風 だね。

 猫の舞とか絶対可愛いと思う。私が踊るんじゃないよね? 奏とベットの上で踊……けほん。


 「ミーナはガチャ運いいわね。結構使えるのよ、幻視とか猫の舞とか」

 「そよ風さんは?」

 「それは……そよ風が欲しくなった時にそよ風を起こせるわっ」


 そよ風さん……そうか、扇風機みたいに使えば! ……家に扇風機あったなー。


 「そろそろ時間よ。お昼食べましょう」

 「そうだね。またね可愛い猫ちゃん達!」

 --にゃー!


 猫ちゃん達を一撫でしてからログアウトをする。

 世界が暗転して謎カプセルの中で目が覚める。

 背伸びをしてから、クローゼットに目が行きふと気づく。……明日の服をまだ決めてない。


 さすがに制服で行くわけにもいかないし、私服といっても何で行こうかな。

 パーティだからお洒落しないと!


 これでもないし、あれでもない。どうしよう、クラスの皆と会うのにかっこ悪い姿なんてしてらんないし。

 それに奏がいるから、他の人の所にいかないように可愛い格好にしたいし。と、とりあえず奏に聞いてみよう。うん、それが一番だね。


 〈やっほっー(*゜▽゜)ノヤホー

 明日何着て行けばいいかなー!?

 家来てーー(><)〉


 よし送信……これでオッケー。

 あとはトリアを呼んで……あっ。


 「まったくっ。待ちくたびれたわ」

 「ごめん」

 「まったくー。で、どうしたの?」

 「服」

 「服? あー明日の分ね。なんでもいいじゃない、ミーナは何を着ても世界一可愛いもの」


 ななななにをおっしゃるトリアさん。そんな真面目な顔で言われたら照れるじゃないですか。


 「いちお、かなとにも」

 「連絡したのね。けどダメよ、こういうのは明日まで待たせるのが恋愛高等術なんだから」


 誰情報なんだろう。

 でも明日まで待たせたら忘れられないかな?


 「かなと、忘れる」

 「そんなことないわよ。きっと気になって夜も寝れなくなるわ」


 トリアが鼻息荒く言うけどそうなのかなぁ。服一つでそこまでなるのかな。


 「……情報源じょーほーげん

 「それは…………か、母さん……からよ」


 ママからかっ。それなら正しいね。間違いない。

 いやトリアを信じていないわけじゃなくて、トリアはそんな恋愛事に興味がないと思っていたし。そかそか、トリアとママはそんな話を。


 「なによ、言っておくけど私はミーナ一筋だからね」


 うっ。これは会心の一撃。美唯菜は瀕死の鼻血を垂らした。


 「めーる、どうしよ」

 「そうね。とりあえず服は私が決めるわ」

 「うん」

 「そのあと来るだけ来てもらって、焦らして終わらせるのよ」


 そ、そんな凄いこと……。トリア、恐るべし。

 罪悪感が消えないけどトリアとママの事だもんね、きっとそれが正しいのだ。奏に選んでもらいたい気持ちを抑え、トリアをみる。


 「気持ちが固まったようね。それじゃあ私が服を決めてあげるわ」

 「おねがい」

 「任せて。最高に可愛くしてあげ……なっているわね」


 トリアはすぐに私を着せ替え人形にしたかと思うと、「これだわっ!」と叫んで私の服を決めた。

 トリアの目が血走っているような……気のせいだよね。でも最終的に私の格好がパジャマなのはどうしてだろう。


 「それじゃあそうめん食べましょ」

 「うん」


 ママは買い物中らしく家には私とトリアだけだった。

 とりあえずお湯を湧かしてカードからそうめんを出す。


 「そうめんってこれで出来るの? なんだかお手軽ね」

 「うん。トリア、つゆ、取って」

 「つゆ? これでいいかしら」

 「んっ」


 そして出来たそうめん二人前を2人でテーブルまで運んでいく。トリアのヨダレを拭き取っていざ実食!


 「いただきますわ」

 「いただ」


 まずは一口。そうめんを(つゆ)につけて食べる。

 トリアも見様見真似で一口。


 「おいしいわ! そうめんってこんなにも美味しい食べ物なのね!」


 凄く感動したようなトリア。そうめんでそんなまた……って思ったけど、トリアは朝食の時も凄く美味しそうだった。なんだか見ていて気持ちいいな。

 うん。そうめんも美味しいし言うことなしだね!


 「ちょっ! ミーナ! どうしたの、顔色悪いわよ!」

 「そんな、こと──うぷっ」


 んっ! んっ~~~!!

 ……はぁはぁ。


 なんで、さっきまで全然平気……だったのに。

 ちゃんと残りのそうめんだって食べれ──っ!!


 「無理しないでミーナ! 大丈夫、大丈夫よ」


 いつの間にかトリアが私の横に立ってくれて背中をさすってくれる。

 私、どうしちゃったのだろう。大丈夫なのに、大丈夫なはずなのに。


 「とりあえず少し休みましょう。きっとすぐに良くなるわ」

 「……うん。ごめんね、トリア」

 「ミーナが気にかける必要なんてないわ、とりあえずソファで横になるのよ?」


 私の肩をトリアが持ってくれて、ソファまで運ばれる形で横になる。

 トリアは私のそうめん等を台所まで持っていき、後片付けをしてくれる。


 「ミーナ。水を持ってきたのだけど、飲めるかしら」


 トリアに言われるまま水を飲むと、少し落ち着きを取り戻した。

 私を覗き込む心配そうなトリアの顔。私は少し泣きそうになった。


 「どうしたのミーナっ。まだどこか痛いの?」

 「ううん。違う、の。……トリア」

 「なに?」

 「ありがとう」


 こんなにも私を想ってくれていて。私はなにも返すことは出来ないのかもしれないけれど、私はトリアにいつも元気を貰ってる。

 昨日だって隣にトリアがいたから頑張れた。こんなちょっとした事で異常を期す身体だけど、トリアは文句一つ言わないで私を心配してくれている。そのことが嬉しくて……だけど、やっぱりこのままじゃダメで。


 「ちょっとミーナ、だめよ横になっていなくちゃ」

 「そうめん」

 「そうめん?」


 見ればトリアの皿にはそうめんは無くなっていた。短期間にもう食べ終わっていたのだ。恐るべし、トリア。

 なんて頭の中を変えながら、覚束(おぼつか)無い足取りでテーブルまで歩く。


 「おかわり、たべ……る?」

 「そんなこと言っている場合じゃ──」


 突如として鳴るお腹の音。クウゥゥっと可愛らしい音を立ててるトリアを見て、私はトリアの分を作りに台所へいく。


 いつも甘えてばかりなんだ。なにかあれば奏に、トリアに、ママやパパに。

 私のために行動してくれるから……ついつい甘えてしまう。だから私は少しでも甘えないようにしないといけないんだ。


 「まったくミーナは……こういう時くらい頼ってもいいのに」

 「なに?」

 「なんでもないわ。私も手伝うわよ、私だけ何もしないのも変だもの」


 そう言って私を支えるように手伝ってくれるトリア。そしてついつい頼ってしまう私。

 それでもやっぱり……これくらいなら。


 ★猫が小判


 効果

 全ての猫への攻撃が手加減される。


 紹介文

 猫に小判? 否、猫が小判!

 猫の方が価値が高い!

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