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38話 みいなとトリアその5


 ゲームにログインするとすぐにトリアを呼ぶ。

 トリアは現実世界で待っているから早めに呼ばないとね。


 さて、今日は何をしようかな?

 気ままに街をぶらり旅でもしようかな。それとも──。


 「ミーナ。ミーナっ」

 「あっ、ごめん。なにしようか考えてたらつい」

 「まったくもう。それで今日はどうするの?」


 どうしようかなー。

 今の所持金が12000Gだからお金を稼いでもいいんだよね。

 たしかノーマルガチャが10回連続で10000Gだったけな。

 う~ん10回しか出来ないのかー。初心者用ガチャが1回限りで2000Gってどういうことなんだろー。


 「とりあえずぶらぶら散歩しよ?」

 「……ミーナらしいわね」


 そうかな? まぁそのついでで依頼とかあったらやってみる感じでいこう。


 「じゃあさっそく、こねこ」


 カードを取り出し[こねこ]を召喚。いつも通り鳴き声がキュートだねっ。こねこは私の頭をガシガシと登って指定席へと到着する。


 「あら? 今日は皆を呼ばないのね」

 「うん。今日はトリアと二人で街を歩きたいな……そうだね、こねこもね」


 こねこもいるぞ!! っと頭の上からアピールしてるこねこを撫でながらいう。マスコット役のこねこを忘れてはいないさ。


 「ミーナ! 嬉しいわ!! 2人で街中デートしましょう!」

 --にゃー!!


 こらこらトリアとこねこも張り合わないよ。左手でこねこを撫でて右手でトリアのほっぺをつねつね。

 落ち着いたね、よし。


 トリアと手を繋いでゆっくり街を観光する。

 少し視線を感じたりするけれどまあいいよね、この世界はカードゲーム以外で危害を加えることは出来ないし。


 「楽しいね。トリア」

 「そうね。こうしているだけで私は満足だわ」


 ずっと幸せモードなトリア。私も幸せたから最高だ。

 そんな感じで街を歩いていると頭にビックリマークが付いてる住人発見!

 さっそく突撃だー!


 「こんにちわー」

 「やぁ。こんにちわ、どうしたのかな?」


 ……。

 ど、どうすればいいのかな? このあと。

 てっきり声をかけるだけでいいと思ったんだけどっ。


 「何か困っている様子だったから声をかけたのよ。大丈夫だったならごめんなさいね」

 「これは、トリアさん。いやぁお恥ずかしいところを」


 トリアパワー炸裂。ほうほう、ちゃんと聞かないといけないんだね。

 確かに声をかけただけで依頼してくるなんて相当おかしい人だもんね。聞いたら依頼してくるのもおかしいかもなんていうのは、考えたらだめだよ。


 「実は家にネズミが湧いてしまって、どうしようか困っていたところなんです」

 「ネズミ!? それは大変じゃないですか!」


 でもネズミかぁ……。うちの猫ちゃん達で解決出来るのかなあ。


 「ミーナ、どうするの?」

 「うーん。猫ちゃん達でなんとか出来るならどうにかしてあげたいんだけど」

 --にゃー

 「うん? 出来るの?」

 --にゃー!


 出来るみたいだね。

 よし、なら手助け出来るか聞いてみよう。


 「良かったらそのネズミ達の駆除をウチの猫ちゃん達が引き受けますっ」

 「本当かい? 助かるなぁ。それじゃあさっそく来てくれるかい?」


 目の前に画面が表示される。これは依頼内容かな?



依頼] オオヤマさん家のネズミ退治


報酬 500G+☆ネズミ

説明 オオヤマさん家にネズミが大量発生!

   ネズミを沢山退治しよう!



 ネズミ退治するのにネズミカードが手に入るのね。恨まれないかなぁ。

 とりあえず家まで歩いていくオオヤマさんに付いていこう。

 それにしても家にネズミが湧くのって一体何したんだろう。


 「トリア楽しそうだね」

 「もちろんよ。ミーナと一緒に依頼をするのよ、嬉しいに決まっているじゃない」

 「トリアー! 私も嬉しいよっ」


 「着いたね、ここが僕の家だよ」


 トリアとラブラブしているとすぐに到着した。オオヤマさんが少し自慢げに言ったけど案外普通の家だった。あっ、ネズミが窓を通ってる。


 「……まぁこの通りでね。ネズミが家に住み着いて困っているんだよ」


 オオヤマさんはガックリ肩を落として落ち込んでいた。それもそうだよね、家がネズミ屋敷になったら困るどころじゃなくなるよ。

 だけど私には可愛い猫ちゃん達がいるのだっ。だから大丈夫!


 「任せてくださいっ。ねこ ドゥオ、赤ねこ、青ねこ、白ねこ、黒ねこ、黄ねこ、三毛猫、レインボーねこ」


 --にゃー

 --にゃ

 --にゃぁ

 --にぁあ

 --にゃにゃ


 猫ちゃん達が次々と召喚され、敬礼していく。可愛い。

 私は一匹づつ頭を撫でてそれに応える。やっぱり可愛い。ついつい和んじゃう。途中SPポーションを飲んだけど、それ以上の価値はあるね!


 「それじゃ猫ちゃん達、この家のネズミ達を退治してくれる?」

 --にゃあ!


 猫ちゃん達がまた敬礼すると、オオヤマさん家に入ろうとして止まる。


 「あはは、ドア開けていないからね。ごめんね、今開けるよ」


 オオヤマさんがドアを開けると、今度こそ猫ちゃん達が家に入っていく。物を壊さないようにねー!

 というかほぼ初対面で家に入っていいのかな? そういえばこの世界はカードゲーム以外だと何も出来ないもんね。安心だ。


 「2人も入って入って、お茶でも出すよ」

 「あら、それならお邪魔しようかしら。ね、ミーナ」

 「うん。お邪魔します!」


 そうしてオオヤマさんの家にお邪魔すると、近くの影で何かが動く。


 「きゃっ」

 「……トリア?」


 私とオオヤマさんはジッとトリアを見る。どこからか可愛い声が聞こえた気がしたんだけど。


 「……なによ?」

 「なんでもないよ。ね、オオヤマさん」

 「う、うん。そうだね、なんでもない」


 これは深く突っ込まないようにしないとね。

 オオヤマさんも分かってる!


 「ならいいのよ。……きゃっ」


 ……沈黙が私達を支配した。


 おかしいな、どこから聞こえたんだろう。トリア可愛い。

 トリアのあんな可愛い声なんて聞こえるはずもないのに。トリア可愛い。

 オオヤマさんは反対向いて口笛を吹いている、スルー出来てないよ。トリア可愛い。


 あっ、今度はネズミが上から。


 「きゅにゃっ!!」


 ネズミは上から落ちてきたら、そこからウチの猫ちゃんが追いかけていった。

 え? ていうか、きゅにゃっ!! ってなに? 可愛い過ぎるんだけどっ。


 「な、なによぉ~」


 少し涙目で私を見るトリア。トリアは本当に私の癒しだ。

 私はほっこりとしてトリアを見てから、欲望のままにトリアに抱きついて頭をなでなで。


 「トリア萌え」

 「萌え!?」

 「私が付いてるから大丈夫だよ。可愛いトリアをネズミから守ってあげる」

 「だ、大丈夫よっ。ちょっと驚いただんっ~!!」


 我慢しなくてもいいのに。まあ猫ちゃんがネズミを捕まえてくれているから、今だけのトリアを楽し……慰めよう。


 オオヤマさんがリビングでお茶を出してくれると、猫ちゃん達がネズミを捕まえて戻ってくる。オオヤマさんはカードホルダーからネズミを入れる籠を召喚してネズミを入れていく。

 ちゅうちゅう鳴くネズミはこうして見ると少し可愛いかも。


 「トリア、ネズミ少し可愛いね」

 「そ、そうかしら。これだけいたら少し引いてしまうわ」


 ただでさえ叫びそうになるもんね。少し意地悪したくなるのを我慢する。トリアがいい反応してくれそうだからつい意地悪したくなっちゃうよ。我慢我慢。



 猫ちゃん達は次々とネズミを捕まえて戻ってきて、だんだんトリアも落ち着きを取り戻していった。

 SSスクリーンショットもバッチリ撮れたから私はほくほくだ。……正直依頼報酬よりもこっちがメインかも。


 「いやあ、おかげで助かったよ。ありがとう、これは少しばかりのお礼だよ。受けとってくれるかな」


 【依頼を達成しまし…ガガッ……したわ】


 またトリアが細工してるけど気にしない方向で。

 報酬の500Gとネズミのカードはプレゼント欄に入っているみたいだから後で受け取っておこう。


 「ありがとうございます! それじゃ私達はこれで」

 「お邪魔したわ」

 「またいつでも歓迎するよ」


 オオヤマさんに別れの挨拶をして、また歩き出す。猫たちは召喚したままだから大行列だ、皆が見ているけど気にしない。

 散歩もして依頼もして、今日は色々したなぁ。


 「そろそろお昼だから1度戻ってはどうかしら?」

 「そうだねー。最後にガチャでも回そうかなー?」


 ガチャってなんだか中毒性があるよね。

 といっても今回ガチャをすると次は出来ないんだけど。

 とりあえず落ち着ける場所に移そうかな。


 ★ネズミ


 鼠。ちっちゃい。怖がり。

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