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32話


 さて、そろそろ上の階へ行こう。

 ここまで来たからには一番上まで行きたいしな。このレベルのエネミーなら行けそうだ。


 上に行く階段は見えている。あとはそこまで行けばいいだけだけど、階段の前には他のゴブリンよりも一際大きなゴブリンが武器を持って立っていた。

 どうやらあのゴブリンを倒さないと進めないみたいだ。


 手に持っている紫光剣を一薙(ひとなぎ)

 剣から放出される稲妻が行く手を阻むゴブリン達を焼き払う。

 この稲妻も随分慣れたな。力の入れ方や角度とかである程度指向性を持たせる事が出来るし。

 そして剣の耐久値は依然として最大のまま。掠るだけでゴブリンのHPは無くなるから当たり前なんだろうけど。


 いやしかしこうしてボスゴブリンへと足をゆっくり進めていると、なんだか自分がエネミーにとってのレイドボスみたいなんだろうな。なんて少し思ってしまう。


 思った通りボスゴブリンも一撃で終わってしまった。敵が強すぎるのも考えものだけど、これはこれでつまらないものである。


 そういえば称号で[強き者]っていう称号があるんだよね。ハルジオンでしていたら人が寄ってきそうだったからすぐに変えたんだけど、今だけ少ししてみよう。



称号] 強き者


 LVが倍以上かつ、100LV以上のボスをソロで倒した者に送られる称号。LVだけが強さにあらず。

 戦闘時に与えるダメージが1.5倍になる。

 任意で存在感を上げることができる。なおそれは自身の種族LVに依存する。



 なにこの漠然とした説明。

 存在感を上げるってどういう事だよ。目立っちゃ嫌なんだって。

 ダメージ1.5倍っていうのは普通に強いけど。


 つまり、エネミーが寄ってきやすくなるとかだろうか。タンク等の壁役がヘイトを集めやすくするためのもの……かな。

 まぁやってみたらわかるか。幸い今は誰も来ないんだし。


 そうしてやってきた時計塔の4階。

 部屋の作りはさっきまでと変わらないけど、エネミーはゴブリンの他にコウモリやヘビまでいる。……のだが、僕の近くにいたエネミーは蜘蛛の子を散らすように逃げていった。

 それはもう見た瞬間に慌てて逃げていった。


 これは一体…………称号の効果なのだろうか。

 存在感が上がるって書いていたけど任意とも書いていた。まだ存在感を上げようとしていないのだけど。

 そもそも存在感って一体なに? 存在感が上がるとエネミーは威圧されるのか?


 でもさっきと変わった所といえば称号しかない。

 もしかしたら任意と書いているけど条件下での任意なのかもしれない。


 とりあえずリラックスして存在感を消すように……あっ、寄ってきた。

 普通に歩いてみる……逃げていった。

 剣を抜いて集中してみる……ガンッゴンッと物音が酷い、あっさっき慌てすぎて転んだゴブリンがいた。


 存在感が上がると種族LVとかの強さがエネミーには感じ取れるようになるっていうのが正解かな。だから格下は逃げようとする……みたいな。

 まぁとにかくこれは便利だ。ゴブリンたちのLVが小さいのか倒しても経験値が全く手に入らないんだよな、LV差が開いているのか4とか5しか手に入らないから倒すだけ面倒だし。その分エネミーが勝手に逃げてくれるなら楽だね。


 そのまま上にあがるためにボスの所へと足を進めていくと宝箱を発見。

 こういう時ってワクワクする。ってことで早速開けてみよう。


 【黒いナイフを獲得しました】


 ハズレ感が漂うアイテムだった。

 まぁこんな所の宝箱に良いものが入っているとは思わないんだけどね。



小刀] 黒いナイフ

レア度 下級

威力 22

耐久 44/44

説明 黒色のナイフ。



 戦斧よりもナイフの威力の方が大きい件。レア度が変わるだけでここまで変わるのか。

 でもナイフな……。そういえば武器に魔力付与をした事って無かったっけ、ここは一つ試してみよう。


 紫光剣をしまい、手に入れたナイフを出す。

 次のボスは大きめのコウモリだ。今回はこのナイフで戦ってみよう。


 ナイフに魔力付与をし、ボスコウモリと相対する。

 ボスコウモリが口を開くとそこから空気が揺れ【何が】が向かってくる。咄嗟に横へ飛ぶと自分がいた床が凹んでいた。……これはよく聞く超音波的なやつだろうか。


 ボスコウモリはまた口を開き超音波で攻撃する。

 僕はナイフを片手に走り出し、超音波を避けながらボスコウモリに肉薄する。ナイフを振るのと同時にボスコウモリの翼が動く。

 ナイフと翼がぶつかり、反動が空気を揺らした。

 結局翼をすこし傷つける程度で終わり、1歩下がるとすぐに超音波がやって来る。


 もう1度ボスコウモリの前まで潜り込みナイフで刺しに行く。

 翼がくる寸前で横にステップし、胴体に当たるようにナイフを振り上げる。


 ──キョキョキョ


 怯んだ隙にもう一撃。もうニ撃。


 「我流・一太刀」


 決められたモーション道理にナイフを右上まで振りかぶり、踏み込みで空気を斬るようにナイフを左に振り下ろす。もう一撃。


 ボスコウモリの反撃を翼を出して後ろに飛ぶことで回避。ちょうどここから目が狙える状態だからナイフを投げて目を潰す。

 元々薄暗くて目は使ってないかもしれないけど、目は決まって弱点な事が多い。狙えるなら狙う方がいいのだ。


 ──ギョェエエ


 できた隙を見逃さず目の前まで飛び、刺さったナイフを掴む。なぞるようにナイフを滑らせてボスコウモリを切る。


 「魔力玉」


 口を開けたボスコウモリに向かって魔力玉を投げると、ボスコウモリの口が爆発し煙を上げた。

 ナイフの魔力付与を重ねがけし、ナイフを威力を高める。


 「ラストぉ!」


 ボスコウモリのHPが全損し光に消えた。

 なかなか楽しい戦いだった。武器に魔力付与するのは思っていたよりも使えるな。宝箱に入っていたナイフでボスを倒せてしまった。

 さて、ナイフの確認でもしよう。


 ──パリンっ


 うわっ。

 いきなり持っていたナイフが音を立てて壊れてしまった。

 一瞬見たナイフの耐久値はまだ残っていたのだが……。やっぱ二重で魔力付与をするのがいけなかったんだろうか、あの時はいけると思ったんだけど。

 でもそうなると魔力付与についても調べないといけないな。どれくらい魔力付与をしたら壊れるのか、今度攻略サイトでも見てみよう。


 階段を上がり5階に到着。

 かなり順調だ。5階は今までと同じ作りだけど、少し狭く感じる。きっと上に進んでいる証拠だな。

 

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