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31話


 意識が浮上していき、ハルジオン中央広場で目が覚めた。

 今日も1日ゲームだ。といっても明日はみぃについていって駅前の喫茶店に行くから、早めにログアウトするつもりだけど。


 今日は時計塔の上層へ行こうと思う。3階へはEランク以上じゃないと行けないと言われたけど、今はDランクだ。余裕でいけるね。

 でも昨日の今日だから名無しさんには言わないでおこう。変に気を使われると困るし。


 時計塔へ着くと9時過ぎのクエストラッシュが終わったところみたく、プレイヤーは少ない。

 ちょうどいいな。自然な流れで二階に行き、上へと続く螺旋階段へと足を運ぶ。


 「これより先は冒険者ランクE以上の方のみ行くことができます。申し訳ございませんが、ギルドカードのご提示をお願いします」


 横にいる受付嬢にギルドカードを見せる。Dランクだから余裕だね。


 「確認いたしました。これより先はダンジョンとなりますが宜しいですか?」


 ダンジョンか……。この上はダンジョンになるのか。

 ダンジョンというと、エネミーが闊歩して罠が張り巡らされているっていうやつだ。

 街の真ん中にエネミーの巣窟がいるってどうなんだろう。


 まぁいいや、ダンジョンなら好都合。今のところEランク以上は僕だけだろうから、誰もいない所で固有スキル等の検証ができる。


 「大丈夫です」

 「かしこまりました。それではご武運を」


 階段を上がって行くにつれ光源が無くなっていく。

 両脇に松明が一定の間隔で設置されている、疑っていたわけじゃないけれど本当にダンジョンみたいだな。


 3階は少し薄暗いけど辺りを見渡せるくらいだ。1階や2階と同じ造りをしていて、正面奥に上にあがる階段がある。


 ──ゴブッ


 さっそくエネミーが来たみたいだ。これはゴブリンだろうか、背が小さくて緑色の体をしている。

 攻略サイトによると[鑑定]というスキルで名前や色々な情報を見ることが出来るみたいだけど、持っていないから仕方がないよな。多分ゴブリンだ、ゴブッとか言ってたし。

 それに頭の上に赤色のHPバーがあるからそれさえ分かればいいし。


 ゴブリンは小さいナイフを取り出し距離を詰めて来る。

 僕の持っている装備はこの前ユウタくんから奪った[なまくらの剣]だ、とりあえず持っている武器の威力を測ろうと思う。無駄に強い武器を使っても意味無いからね。


 ゴブリンのナイフを剣でずらし、首を目掛けて一閃。

 ゴブリンは首を飛ばされる……ことなく少しひるんだだけだった。HPは2割ほど減っている。


 そしてすかさず自分のなまくらの剣を見る。



剣] なまくらの剣


レア度 最下級

威力 2

耐久 3/10



 あ、ダメだこの剣。

 耐久値が7割減ってる。とりあえず装備を変えよう。

 ゴブリンが警戒して睨んでいる今のうちにメニューから装備を操作する。


 ──ゴゴブッ


 「あいた!」


 背中から衝撃が走り後ろを向くともう1匹のゴブリンがナイフを片手にしていた。

 さっきのゴブリンは警戒と見せかけて、後ろからくるゴブリンを悟らせないようにしていたのか。なかなか高性能なAIである。お陰で挟まれてしまった。


 HP 1018/1033


 減ったHPは15か。今は鎧をしているからそれで軽減されたのかも知れない。


 前後からくるゴブリンの攻撃を避けて今度こそ装備変更する。武器の[なまくらの剣]を消して[普通の戦斧]を出した。


 そのまま戦斧を掴んで横に薙ぎ払う。

 2匹のゴブリンはそのまま吹き飛び、HPバーを減らす。今ので3割ほど減ったな。さっきの剣は首に当たって2割って事を考えると、胴体に当たって3割は大きいな。


 戦斧の消耗はどうだろうか。



斧] 普通の戦斧せんぷ


レア度 最下級

威力 10

耐久 17/20



 全然いけるね。前見た時より1しか減ってない。なまくらの剣がしょぼすぎたんだな。


 踏み込んで戦斧を叩き下ろす。ゴブリンは1匹光に消えると、もう1匹は背を向けて逃げるように走り出した。

 逃げ出すってエネミーまで高性能だよな。前のゴーレムとかは逃げなかったのに差があるのだろうか。


 まぁいいか、次はあのデカイ狼を倒した時に貰った剣を試してみよう。

 このまえ一度出してみたんだけど、装飾が凄くて目立ちそうだったからすぐにしまったんだよな。ここなら出しても問題はないよな。



剣] 紫光剣・アーダルベルト


レア度 最上級

威力 1200

耐久 2400/2400

属性 雷

説明 紫光狼・アーデルベルトを倒した時、極稀にドロップする。雷を操り繰り出される爆音は紫光狼が吠える様を思い出させるであろう。



 おおぅ。これは触れるだけで消し飛ばしてしまいそうだ。

 威力が1000を超えてる。明らかにインフレじゃないだろうか、開発スタッフは大丈夫なんだろうか。


 派手な装飾と紫色に光る刀身。あの狼を刀にしたらこんな感じかもしれない。

 おっとさっき逃げていったゴブリンが近づいてきた、HPバーが減っているから間違えないだろう。


 ん? 後ろにいるのは……あぁそういうことか。

 ゴブリンは逃げて仲間を呼びに行ったみたいだ。後ろにゴブリンを数匹連れて来ている。

 まぁ、剣の試しにはちょうどいいかもしれないな。


 足に力を入れて大きく踏み込む。二.三匹切れる範囲になった瞬間に一閃。ゴブリンは触れた瞬間にHPを消失させ光になる。また、剣の跡には稲妻が生じ射程外だったゴブリンを焼く。


 ……一振りで終わってしまった。



剣] 紫光剣・アーダルベルト


レア度 最上級

威力 1200

耐久 2400/2400

属性 雷



 耐久値も減ってない。これは強すぎる。ここ一帯では無双ができるレベルだ。

 かといってこれを使うわけにもな……武器が勝ちすぎているから僕自身の能力スキルが上がらないだろうし。

 まぁ今回は検証が目的だから問題はないけど。


 当分はこの剣を使って他のスキルの検証をしやすくしよう。

 次は固有スキルの『天光』だ。



固有スキル] 天光てんこう


 天族の固有スキル。天の光で攻撃する。種族レベルが高いほど威力が上がる。

 消費MP100



 このスキルは何やら目立つ要素が名前からしてあるから検証もしていなかったのだ。実は使ってみたくてウズウズしてた。

 消費MPは100だけど、僕のMPは550あるから全く問題はない。


 ちょうど近づいてきたゴブリンがきた。良いタイミングだね。


 「『天光』」


 ん? なんか体が光だした。

 翼が大きくはためくと、次の瞬間にはゴブリンは消えていた。

 …………よく分からないな、もう一回しよう。


 今度はゴブリンが集まっている所を探し、そこで『天光』を使う。


 体が光りだし、翼がはためく。そしてゴブリンは後ろから襲ってきていたやつも含め光に消えていた。……マジか。

 もしかしたら無差別で攻撃するのかもしれない。

 多分、体から発する光が辺りを攻撃するのだろう。これは街中やフィールドでやっていたら大変なことになっていた可能性もあるな。


 といってと無差別なら置物や床などエネミー以外にも傷が付きそうなものだが、傷一つ付いていないのはどういう事なのだろうか。ただ単に破壊不可オブジェクトかもしれないけど。

 もうちょっと試す必要があるかもしれない。今度は私物を置いて試してみようか。


 今後使う予定のない[なまくらの剣]を床に刺して、ゴブリンが集まってきた所で『天光』の発動。

 ゴブリンは消えるが[なまくらの剣]は消えずにそのままである。そして床から剣を抜いても床に付いた傷はそのままであった。


 次は[なまくらの剣]を壊すように意識をして『天光』を発動をする。

 案の定[なまくらの剣]は音を立てて壊れてしまった。こうなってくると『天光』は無差別攻撃じゃなく、攻撃対象をある程度選べるスキルになるな。


 ただこのスキルが物なら壊せるものなのか、味方……生き物には無差別で攻撃するのか、それとも敵だけを貫く光になるのか。そして、その敵の定義はどうなっているのか。要検証だな。

 現実世界で使って、関係ない人を重症にしたら大惨事だし。

 

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