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27話 みいなとトリアその2


 結果をいうとダメだった。

 奏には会ったんだけど、意識しすぎちゃって逃げてしまった。変に思っていないかなー。


 「うぅ~トリアー」

 「ほら、シャキッとしなさい。大丈夫よ、それくらいで落ち込まない」


 恋する乙女は敏感なんだよー。

 カードから[こねこ]を召喚して撫でまくる。あぁ~癒されるー。


 ここは街の公園。今度はちゃんと街の真ん中にログインされていて、賑わう人を避けるように端のベンチで休憩中。


 「そうかなー、大丈夫かなー」


 そう言いながら他の猫ちゃんたちも召喚していく。

 猫ちゃんが沢山でどんどん癒される。


 「まったくもう……もう少し休んでいく?」

 「ううん、大丈夫」


 トリアと猫ちゃんで凄く落ち着けたし、そろそろ行動しよう。

 でもその前に。


 「私は何をしたらいいのかな?」


 WORLD(この) CREATURE(ゲーム)は、カードを集めて戦ったり癒されたりするゲームだ。


 カードを集めかたはこの前聞いたガチャだと思う。

 ゲーム内通貨で引けるノーマルガチャ。

 同じくゲーム内通貨で引ける特殊ガチャ。

 ガチャ券を使って引けるガチャ。


 ガチャを引いて引いて引きまくるのは分かるけど、お金とかガチャ券とかどうやって集めたらいいのかな。

 ガチャ券はエネミーを倒したら手に入るけどそれ以外にないのかな。


 「そうね、とりあえず特殊ガチャの初心者用ガチャを引くことから始めればいいと思うわ」


 とりあえず言われた通りメニューからガチャページを開いて初心者用ガチャの所を見る。

 1回だけ引けて、お金は2000G。私の今の所持金の2倍だね。


 「お金を稼ぐのは大きく分けて二つ。住人からの依頼を受けて達成するか、空のカードに素材を入れて売るかよ」


 というと持っているのは[蒼鉱石]のカードだね。それを売ればいいのかな。


 「住人からの依頼は上に(ビックリマーク)が付くからそれを頼りにするといいわ」

 「でもトリアの時はそんなの付いてなかったよ?」

 「私は特別、そういうのもあるのよ」

 「そっかー」


 いろいろあるんだねー。

 じゃあとりあえず[蒼鉱石]を売りにいこうかな。沢山あるし。


 「ありがとう、トリア」

 「いいのよ、これくらい」

 「じゃあ行こっかー」

 「えぇ」


 猫ちゃんたちも「にゃー!!」といって返事をしてくれる。

 私の頭の上が指定席になっている[こねこ]と、肩が指定席の[黒ねこ]と[白ねこ]。

 私の前を歩いていく[レインボーねこ]に、その近くをうろちょろする[赤ねこ]と[青ねこ]。

 その他後ろを歩く猫たち。


 「所でどこにいくの?」

 「んー蒼鉱石が沢山あるから、それを売りに行こうかなってー」

 「だったら鍛冶屋にいくといいわね」


 鍛冶屋?

 カードゲームなのに鍛冶屋があるの!? わたし剣をもって戦えないよ。


 「一応言うけど、クリーチャーと合成して装備させる為の物よ」

 「あっそうか……だよね。ビックリしたー」

 「場所は私が案内してあげるから付いてきなさいな」

 「はーい」


 トリアに案内されて付いていくこと少し、大きな鍛冶屋さんを発見。

 鍛冶屋には門があって門番もいたけど、トリアを見た瞬間に頭を下げて通してくれた。

 トリアパワーが凄いや。


 「こんにちはー!」

 「おー、威勢がいいねぇ。……おぉートリアさんじゃねーですかい。本日はどういった用件ですかい?」


 ここでもトリアパワーが炸裂だ。

 一体トリアの立ち位置はどうなっているんだろう。知ったところで意味無いんだけど。


 「蒼鉱石を買い取って欲しいんだけど、いいかな?」

 「あぁ、もちろん構わねぇぜ! 鉱石はあるに越したことはないんだ、どんどん買い取るからよ」

 「うん、ありがとー。じゃあ渡すね」


 私はホルダーから[蒼鉱石 (32)]のカードを取り出す。


 「えっと、トリア。これこのまま渡せばいいのかな」

 「一応召喚して状態を見てもらうのよ、そこから値段が変わるから」

 「りょうかい。ここで出してもいい?」

 「……そうだなぁ、あそこにテーブルがあるからそこで頼む」


 鍛冶屋のおっちゃんが言った通り、近くのテーブルに行って蒼鉱石を召喚する。


 「思ったより結構あるなぁ、どれ一つずつみるから待っててくれぃ」

 「はーい」


 猫ちゃんを撫でて、トリアと雑談しながら少し待つ。


 「待たせたな、見終わったぜぃ」

 「ほんと!」

 「あぁ、どれも森深くの所で採取できる品質の高い蒼鉱石だったじゃねぇかい。ここら辺の森といえばドラゴンまでいるってのにやるじゃねぇか」


 ドラゴンはトリアの案内で避けて通ったけどね。


 「で、どれだけの金額になるのかしら」

 「締めて12800Gだな。おまけして13000Gにしとくかぁ」

 「あら、随分高いわね。どういう風の吹き回しかしら」

 「需要と供給だぜ、ここらでは手に入りにくいやつだからな。あまり出回ってねぇんですぁ」


 高く買い取ってくれるっていうなら、嬉しいことに変わりはないね。初心者用ガチャも余裕で回せちゃうよ。


 「それじゃお願いします!」

 「はいよっ」


 なんと蒼鉱石が13000Gで売れた。

 ふふふっ、いきなりまとまったお金が手に入ったなー!

 これは蒼鉱石だけでお金持ちになれるんじゃないかな。


 「ミーナ、需要と供給というものがあってね」

 「分かってるよー、流石に無理だよねー」


 出来たらガチャ回し放題だもん。


 「ありがとうございました」

 「おぅ! またいつでも歓迎すんぜ!」


 蒼鉱石を売る目的はすんだから、鍛冶屋を出て近くのベンチに座る。

 さてさてガチャの時間だ。ガチャを引く瞬間ってドキドキするなぁ。


 「何が出てくるかな?」

 「知らないわ……でも良いカードが出てくるといいわね」

 「うん!」


 猫ちゃんたちも揃ってガチャ画面を見る。

 よ、よし。ゆっくり慎重に初心者用ガチャの[回す]ボタンを押す。


 画面が変わって流れるムービーは、トリアが槍を投げて海を割る映像。割れた海から出てきたのは一つの光るカード。



 ☆ねこ


 猫ちゃんが増えた。

 いや猫ちゃんが嫌なわけじゃないんだけど、猫ちゃん出過ぎじゃない!?


 「ミーナは猫ちゃんに好かれているわねー。おめでとうミーナ」

 「ね、猫ちゃんが増えるのは嬉しいからね。ありがとうトリア」


 とりあえずさっき手に入れたカードを翳して[ねこ]を呼んだ。

 可愛い猫ちゃんが召喚される、毛並みはもう1匹の[ねこ]とはまた別だった。トリアの言う通り同じ[ねこ]でも全くの別の猫ちゃんなんだね。


 「で、ミーナはこれからどうするの? お金やガチャ券を貯めに街の外に出る? それとも住人の依頼でも見て回る?」


 これから……これからかぁ。

 ゲーム的にはお金を稼いでガチャを回したりするのが普通なんだけど。


 「ちょっと休憩ー」


 ──にゃ~


 休憩と聞いて猫ちゃんたちも思い思いにグッタリ休んでいく。

 私もトリアに抱きついて休憩ー!


 作戦はガンガン行こうぜから変更だ。

 新作戦はまったり行こうぜーだね。


 「ちょっ、ミーナこんな所で抱きつかない! ほらっ、周りが見ているから!」

 「しらなーい」


 慌てるトリア可愛いー!

 頭に乗ってる[こねこ]や肩に乗ってる[白ねこ]と[黒ねこ]の真似みたいに、他の猫ちゃんたちも私とトリアによじ登って引っ付いてくる。

 トリアは振り払うことも出来ずにされるがままだ。あっ、ほれほれ~三毛猫のミケちゃんも可愛いね~、ここがいいのねここが。


 「んあーもう! ……仕方ないわねぇー!」


 抱き返してくるトリア。おっ、来るのか。来るのね!

 よし、猫ちゃん含めて引っ付くぞー!


 「……あの、高江たかえ美唯菜みいなさん、だよね。ちょっといいかな?」


 私とトリアがイチャラブしている所に割って入ってきたのは1人の女性。気まずそうにしながらも一歩踏み出してきた。私の時間を邪魔するとはいい度胸だよ。


 そう思い顔を見ると、そこには村田さんの取り巻きをやってたうちの一人だった。…………一体何のようかな?



 ★黒ねこ


 黒い猫。可愛い。さらさら。

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