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8話 ミーナの冒険その2

少し長めです。



 目を開けると樹海だった。


 え? なんで?


 周りにプレイヤーもいないし、どういうこと!?

 頭の上に手を当ててこねこがいるか確認をする。


 とりあえず現状確認しよう。ホルダーよし、プレイヤーいない、ここ樹海。


 あぁ駄目だテンパってる。

 落ち着こう、ここはひっそり撮ったかなとの写真を……無くなってるぅ!

 なななんで? とりあえずログアウトして探さないと。ログアウトボタン押せないぃ!


 今どきログアウト不可とか流行らないって!

 それよりも奏の写真がない方が……いやログアウト出来ないともう会えないよ。


 かなと〜!


 --にゃ〜


 こねこー!


 --にゃ〜


 うん、そうだね。きっと大丈夫だよね。

 なんか落ち着いてきた、癒しは大切だね。


 確か街でログインとログアウトが出来るんだった気がする。ここがどこまで深い森で、近くの街が何処にあるかは分からないけど、目標はそこを目指そう。


 そうと決まれば早速出発だ。

 行こう、こねこ。


 --にゃ


 こねこは私から少し離れて歩き出す、私もどの方向に行けば分からないからこねこについて行く。

 ……後ろ姿も可愛いなぁ。


 ん? こねこどうしたの?

 わー綺麗な石だね。


 --にゃー


 たくさんあるねー!

 取っちゃっていいのかにゃ?


 --にゃ〜


 そっかそっか、じゃあ取っちゃおうかな。

 ん? 重いな。

 あれ? 取れないぞ。


 --にゃー!


 こねこがホルダーをビシビシと叩いている。

 カードが欲しいの?

 ホルダーからカードを1枚取ると何の絵も説明もないカードがあった。


 --にゃにゃ


 これを使うの?

 ふんふん、カードを当てて……おお! 光った。



 ☆蒼鉱石 (1)


 蒼鉱石のカードが出来た、こうして採取するんだね。

 この数字はなんだろ? 個数だったらこのままカードを当てたら入るのかな?



 ☆蒼鉱石 (2)


 入ったね。よしこれでどんどん拾うぞー。


 --にゃー!



 ふぅ。

 つい熱くなっちゃったけど、この何も入っていない空のカードは何枚あるんだろう。確認すると、あるカードを発見。

 ……忘れてた。今からでも来てくれるかな。


 「友達トリア」


 ドキドキしながらトリアを呼ぶと、光と共にトリアが来てくれた。


 「もう! 随分と遅かったじゃない。待ちくたびれたわ」


 トリアはプリプリしながら私に向かって言うけど、綺麗な人がそんな風に怒っても可愛いだけですよ。


 「てちょっとなにニヤけてるのよ」

 「ごめんねトリア、あまりのことに忘れちゃってて」

 「そこは私からも謝らないといけない所があるから……まぁ許す」


 ちょっと赤くなってトリア可愛い!


 「いろいろ説明したいのだけれど、そのまえに私のカードを貸してくれないかしら」


 私は持っているトリアのカードを渡す。

 トリアがカードの名前の欄をなぞると文字が消えていく。


 「友達トリアって言われるとちょっと恥ずかしいのよ、変えさせてもらうわね」

 「親友トリアに?」

 「もう! バカ!」


 そういって変えた名前は『親友 トリア』になっていた。

 もうこの子は……可愛いなぁ!


 「こほんっ! ミーナ、今の状況を説明するわ」

 「よろしくお願いします!」


 トリアによるとチュートリアル終了後にすぐに街へ飛ぶはずだったけど、時間を作るために転送を遅らせたのが原因で位置情報を誤送してしまったらしい。


 ほとんど私が悪いよね。


 「ごめんね、私が呼び止めちゃったから」

 「気にしてないわ。だからそんなこと言わないでちょうだい」


 あっそうか、そうだよね。


 「樹海に転送されることでトリアと友……親友になれたんだからこっちの方がいいよね!」

 「わざわざ親友って言い返さなくても、それに誤送したのは私なんだから……ミーナが気にする事はないわ」


 なんていい子なの!


 「トリアーー!」


 --にゃー!


 トリアに抱きつく私を見て真似をするこねこ。


 「ちょっちょっと! 急にどうしたの!?」


 ちょこんとトリアの足にしがみつくこねこを見てニヤけちゃう私達。

 ん? トリアの胸……意外に大きいぞ?

 抱きつきながら顔を挟みパフパフ。


 「ミーナ。ちょっとミーナ! 恥ずかしいから止めなさい、んっ!! だからミーナ!」


 ほうほう可愛い反応ですな!

 だがしかしこのお胸の弾力からは逃げられな──


 「──ミーナ」



 頭の上のたんこぶを撫でながら素早く土下座フォーム。ははー!


 --にゃにゃー!


 こねこも真似してにゃにゃー。

 息を詰まらせるトリア、こねこの可愛さには叶わないようだ。


 「もう……バカ!」


 ご馳走様です。





              ☆





 「ミーナ、あなたまだプレゼント欄も見ていないでしょ」


 「あーうん。忘れてた」


 樹海をトリアの案内のもと歩くこと数分、トリアの言葉でまだメニューすら開けていないことを思い出す。


 「メニューは念じれば出るわよ」

 「さ、流石に知ってるよ」


 --にゃ〜


 頭上のこねこをトリアが持ち上げ腕の中に仕舞いこむ。あっ、ずる……いや、トリアの優しい目を見たら何も言えないなぁ。


 メニューを開くと色々項目があって閉じてしまった。


 「なにしてるのよ、ちゃんと説明してあげるからメニュー開きなさい」


 --にゃー


 こねこはトリアのお胸に挟まれて羨まし……メニュー開けないとね。


 「……じゃあ説明していくわよ」

 「お願いします! ししょー!」

 「誰が師匠よ! ……友達でしょ」


 ボソッと呟くトリアちゃん、聞こえないとでも思ったのかな?


 「友達じゃなくて親友だよ?」


 真っ赤になるトリアちゃん可愛いー!

 思わずスクリーンショットしてしまったよ。


 「ちょっ、こら! 消しなさい! なんでスクリーンショットのやり方だけ知っているのよ」

 「駄目だよ、可愛いトリアちゃんのコレクションを集めないと」

 「か、かわっ……もういいから真面目に話を聞きなさい!」


 あーもう、可愛いなー。

 あのとき話しかけて良かった。


 「一番上の『カード』から言うわよ、押してみなさい」


 押すとカード一覧ていうのと編成って言うのが出てきた。


 「カード一覧はそのまま持っているカードを見れるわ。ホルダーから出さなくてもここからカードの召喚も出来る、ただしSPは消費するわよ」


 ほうほう、ホルダーから探す手間とメニュー画面から探す手間とどっちが早いんだろうねー。


 「初めのうちはいいのだけど、カード枚数が増えるとメニュー画面からカードを探した方が早いと思うわ」

 「そっかー、お気に入りとかはないの? トリアをすぐに呼べるようにしたいんだけど」

 「そ、それなら長押ししてちょうだい。星印が出て一番上に配置されるわ」


 トリアとこねこのカードを長押しすると星印が付いて上に移動された。これでどれだけカードが増えてもすぐに分かるね。


 --にゃー!


 「次は編成ね。さっきのチュートリアルでカードはミーナが引くかランダムに引かれるかだと話したわよね?」

 「うん、聞いた」

 「ミーナが引く時はホルダーの一番上から引くことになるの、そして編成ではホルダーに入れるカードの順番を変えれるわ」


 つまり使いたいカードをあらかじめ上にセットしておけばいいんだね。


 「これはメニュー画面の編成からじゃないと出来ないわ、ここにあるホルダーに直接入れても意味はないわよ」


 そっかそっか。

 あっよかったトリアのカードは除外されてる。


 「どうしたの?」

 「トリアのカードが除外されてて良かったって」

 「あら? どうしてかしら」

 「トリアとは私の指示で動く仲には成りたくないし」


 まだ話して間もないけど最高の親友になれると思うんだ、私の暴走にも付き合ってくれた。

 言い方は悪いけど主従じゃ嫌なんだ、対等じゃないと。


 「嬉しいこと言ってくれるわね」


 そういうトリアは優しく微笑んでくれた。

 それだけで私は嬉しい気持ちになる。


 「ほんとはこねこ達も戦わせたくないんだけどねー!」

 「それを言ったらこの世界の意味が無くなるわよ」


 トリアに抱かれるこねこを撫でながら言う。

 でも確かに何のゲームか分かんなくなるもんね。


 「せめて皆が少しでも傷つかないように私が強くならないとなぁ」

 「その為にも次の『合成』にいくわよ」

 「はーい」


 メニュー画面を『カード』から『合成』に変える。

 上に空欄が2つあって下に私のカードが並べられていた。


 「トリアのカードが入ってるんだけど、私間違えて入れそうだから除外出来ないの? そもそも可愛い猫ちゃんを合成なんてできないんだけど」

 「あぁそれなら心配いらないわ」

 「え? でも合成だよ?」

 「なら試しに合成してみなさい、実験台は私で構わないわ」


 そういってトリアは私の画面を操作して、上の空欄にトリアのカードを入れた。え? え?


 「ちょっとトリア! トリアが合成される!?」

 「大丈夫よ……少しくらい合成されたって」

 「え? ちょ! ちょっと待って! トリアーー!」


 混乱する私をよそにトリアは懐からカード『攻撃力9999の槍 (試作版)』を取り出して設置、合成ボタンを押す。


 そうしてトリアは光に包まれる……事はなかった。

 トリアの右手に黒い槍が出現されただけだった。


 「あれ?」

 「だから言ったじゃない、心配要らないって」

 「それはトリアが思わせぶりなこと言ったから!」

 「ふふっ、ミーナ可愛いわ〜」


 もう! ほんとに心配したんだから!


 「ちょっとやり過ぎたかしら、ごめんねミーナ」

 「トリアのバカ、あほぉー」


 トリアをこねこ諸共抱きつく……暖かくてちょっと安心した。


 「これで分かったと思うけどクリーチャーカードとアクティブカードを合成すると、アクティブカードの効果の一部がクリーチャーカードに付与されるわ。それの効果がコレよ」

 「……何を言ってるかさっぱりだよ」


 トリアは黒い槍を指して言うけど私には分からない。ごめんねアホな子なの。


 --にゃん


 トリアは新しく『攻撃力9999の槍 (試作版)』を取り出す。


 「このアクティブカードはバトル中に槍を召喚して投げることが出来るの、もちろん1度投げたら槍は消えるわ」

 「うん」


 トリアは次に持っている槍を指す。


 「でもクリーチャーカードと合成すると、そのクリーチャーが槍を持って戦うの。もちろんバトルが終わるまで消えないわ」

 「それってそう──」

 「それを言ってはいけないわ!」

 「あっはい!」


 トリアの迫力に口が閉じた。

 装備なんじゃ? とか言わないから。うん。言わないよ?


 「アクティブカード同士だと二つのカードから新しいアクティブカードを生み出すわ。これが一番合成ぽいわね」


 合成ぽいって自分で言っちゃったよ。


 「クリーチャー同士だとどうなるの?」


 やっぱりグロイ感じに?


 「そうねぇ……猫ちゃんで例えると猫ちゃんが猫ちゃんの肩車をしている感じかしら」


 あらやだ可愛い。

 想像しているのかニヤケ気味に笑うトリアも可愛いです。眼福眼福。


 「これが案外使えるのよ、必須と言ってもいいくらいだわ」

 「そうなの?」

 「一マスにクリーチャーが2体いたらその分強くなるでしょ?」

 「確かに、でもSP()高いんでしょ?」


 猫ちゃん2匹分のSPなら別々に召喚してもいいんじゃないかな? それか同じSPのクリーチャーを出した方が強そうだし。


 「それがカード合成の計算では、一番SPが多いクリーチャー以外は半分のSPが加算されるだけなのよ」


 つまりSPが20と10で合成すると25になるってことだね、お得だー!


 「でもそんな計算とか私に教えても良かったの? 立場的に」

 「大丈夫よこれくらい、それに少し経てば広まるくらいの情報よ」


 そっかー、それならよかったのかな?


 「それとクリーチャーカードとアクティブカードの合成は解くことが出来るけれど、こんな風にアクティブカードは塵に消えるから注意しなさい」


 そう言って槍がカードに変わるとすぐに塵になる。

 え? それって。


 「クリーチャー同士の場合は消えないから安心しなさい、アクティブカード同士だとそもそも合成すると戻せないから気にしなくてもいいわ」

 「了解です! 親友!」

 「……ちゃんと聞いているか怪しくなってきたわ」


 ち、ちゃんと聞いてるよー! 猫ちゃんは合成しても大丈夫なのと、合成から戻せないから大丈夫ってちゃんと聞いたよ。


 「まあいいわ、次も説明するからちゃんと聞きなさいよね」


 なんだかんだで教えてくれるトリアちゃん素敵です。

 メニュー画面を動かし『ガチャ』のボタンを押す。

 ガチャ画面は上にカードの見本と下にボタンがあった。


 「もちろん『ガチャ』はガチャを引けるページよ、上のピックアップは基本的に手に入らないから今のうちに諦めた方がいいわ」


 トリア言っちゃったよ、手に入らないって。


 「ミーナがもし0.000000001%を狙って出せるなら宝くじでも買ったほうがいいと思うわ」

 「やめとくよ、トリアの言う通りだね」


 当たったらそれはそれで怖いね。


 「初めは今のページのノーマルガチャね。これはお金を消費して引くガチャよ、ほぼ全てのカードが入っているわ」


 お金……? リアルマネー?


 「お金はこの世界の通貨でいいわよ、逆に課金でカチャは引けないわ」

 「一般家庭には助かるね。でもほぼ全てのカードが入っているのならトリアは誰かに召喚されることもあるの?」


 それは寂しいな。


 「大丈夫よ。私のカードはここにある1枚だけ、私を呼べるのは世界でミーナ1人だけよ」


 よかった。

 あっでもこねこ達はどうなるのだろ。


 「考えてもみなさい、近所の飼っている猫と自分の猫は別でしょ?」

 「それもそうだね」

 「私は私しかいないからこの1枚だけだけど、猫ちゃんは沢山いるもの」


 そういうことかー。


 「見たらわかると思うけれどガチャは1回引くボタンと10回引くボタンがあるわ、10回引く方だと1枚余分にプラスされるからお得ね」

 「りょーかい、引く時は10回の方がいいんだね」

 「(おおむ)ねその通りね」


 大胸?

 あっはい、分かってます。トリアの胸なんて見てないよ?


 「所持金は右上に載っているわ。それじゃあ次のページに行くわよ、画面を右にスライドさせるとページが変わるわ」


 ページを変えると、特設コーナーと上に大きく書かれたページになった。


 「このページは期間限定で特殊なガチャが引けるわ、必要なのはさっきと同じこの世界の通貨よ」

 「特殊なガチャってこの初心者用ガチャのこと?」


 1回限りって書いているのを見てトリアに聞く。


 「そうね、他にも真夏になるとサマーバージョンが出たりとか度々更新されるから見ておくのが吉よ」

 「ノーマルガチャに出ないカードが出るの?」

 「その場合もあるけど殆どは特定のカードが出やすくなるだけだわ。排出率が変わったり出るカードを限定したりしているのよ」

 「夏だと水着が出やすいみたいな感じかな」

 「そんな感じね」


 もう服を買いに行かなくていい時代になったね。


 「当たればね」

 「だよねー」

 「じゃ、次に行くわよ」

 「はーい」


 ページを変えると何も映っていなかった。なして?


 「このページはガチャ券を使ってガチャを引くことが出来るページよ、今はミーナがガチャ券を持っていないからなにも表示されないわ」

 「分かりにくいね、バグかと思ったよ」

 「仕様よ、プレイヤーに不親切な世界なの」


 言っちゃったよ、トリアはこの世界に恨みでもあるの??


 「じゃあもう2回ページを変えてみなさい」


 言われた通りに1回右にスライドしてもう1回右にスライドする。

 すると何も無かったページが虹色のガチャページに変わった。


 「おおー! えーと、虹色ガチャ先着50人」

 「今で25人目だから早くしなさい」

 「あっうん、分かった」


 このガチャページはピックアップが無くて、さっき読んだ文字と下のボタン一つだけだった。

 とりあえず早く押さないと。


 画面が変わってトリアが槍を投げている映像が流れる。え? トリア?

 槍は空を穿ち、星を破壊する。星から一つのカードが誕生した。



 ☆虹色のはずれ棒



 ……え? はずれ?


 「……プレイヤーに不親切な世界なの」


 トリアは苦笑いで続けて言った。


 「はずれ棒は排出率1%なのよ」

 「つ、つまり?」

 「大当たりね! ミーナ!」


 大ハズレだよっ! ほとんどハズレる事はないガチャだったのね! そのガチャでハズレたんだね私!


 「いや、ミーナ。それ本当に大当たりよ」


 笑いながら言われても信用できないよ!


 「ほんとに本当よ、カードから詳細を見てみなさい」


 むー!

 そこまで言うなら。



 ☆虹色のはずれ棒


 はずれが集まってくる棒。

 所持しているだけで悪運を吸い取ってくれる。

 よって運が上がる。


 普通に凄いカードだった。

 正直運が良くなるカードって意味がわかんないけど。


 「ね? これがあるとガチャの時に欲しいカードが手に入る確率が0.1%上がるのよ」

 「つまりノーマルガチャでピックアップのカードが0.100000001%の確率で手に入ると」

 「そうなるわね」


 凄いのか凄くないのかわかんないや、0.1%って凄いのかな?


 「こんな数字になれば感覚がおかしくなるのは分かるわ、でも凄いことなのよ。百億分の一が千分の一になるから比較的手に入れやすくなるわ」

 「わかる、分かるんだけど数が大きすぎて」


 凄いんだなー。くらいの感想しか浮かばないや。


 「この効果の凄さはそのうち分かるわ、それじゃあ次に行くわよ」


 次は、『プレゼント』だね。


 「プレゼントが入っている所ね、一ヶ月放置すると消えるから注意するのよ」

 「はーい、この一括受け取りを押したらいいんだね」

 「一応プレゼントの内容は見てからの方がいいわよ」


 えーと、


 初心者用ガチャ券×2 (猫獣族)

 SPポーション×5

 チュートリアル終了報酬

 トリアからのチュートリアル終了のお祝い


 最後を読むとトリアが横を向いて顔を赤らめる。


 「最後は私からのプレゼントよ、ミーナだけに特別」

 「すごく嬉しい……んだけど、私ばっかりトリアから貰ってばっかりだよ」


 そんなことしても大丈夫なのかとか、色々言いたい事はあるんだけど……それより私がトリアに返せるものなんてないよ。貰いっぱなしだ。


 「そんなことないわよ、私こそミーナから沢山貰っているのよ。それに……し、親友なら貸し借りなんてあってないようなものだわ」

 「……と、トリアー!」


 頬を赤らめながら言うトリアちゃん。

 ありがとう。そしてトリアがもう可愛いー!

 こねこがトリアの腕の中で寝ているから抱きつきにいけない!

 これは後ろから抱き付けばいいよね!


 「トリア可愛いー!」

 「なっ、ちょっ、可愛いって」

 「私トリアがトリアでよかったー! トリアと仲良くなれてすごく嬉しい」

 「〜っ!! ほら、抱きついてないで次に行くわよ! つぎ!」


 はいはーい。

 次は『アイテム』だね。

 トリアから離れて画面をみる。


 「アイテムもそのままアイテムが入っている所ね。ポーションとかもここからじゃないと使えないから覚えておくのよ」

 「りょーかーい」

 「チュートリアル終了報酬みたいに左に箱マークが付いているものは、使うことで色々なアイテムが手に入るわ。1度使った方が分かりやすいわね」


 ということでとりあえず使ってみると画面にアイテムを入手しましたと表示された。


 初心者用ガチャ券×2 (猫獣族)

 ガチャ券 (猫獣族)

 SPポーション×3

 ☆HPカード


 ほうほう、開けてからのお楽しみってやつかー。


 「でもトリアからのプレゼントは嬉しすぎて使いたくない! むしろ保存したい!」

 「いやそこは使いなさいよ! ……渡した意味無いじゃない」


 んー! じゃあスクリーンショットしてから。大切に保管しよう。


 「早く使ってちょうだい、なんだか恥ずかしいわ」

 「それはそれで焦らし──はい、すぐに使います」


 もったいない気もするけど仕方ない。ポチッと。


 SP30以上ガチャ券

 選べるガチャ券 (5択)

 空のカード×50

 ☆HPカード


 「トリア」

 「なに? ミーナ」

 「ありがとう」


 トリアは少し口を開けて驚いたけど、すぐに優しい笑みに変わる。


 「どういたしまして。あとそれも残さないでちゃんと使うのよ」


 くっ、バレていたか。とりあえずスクショしとこ。


 「アイテムが増えたから少し整理するわよ」

 「整理って?」

 「右上の四角いボタンを押すとアイテムが自動で整理されるわ」


 とりあえずやってみればいいんだね。


 初心者SPポーション×10

 SPポーション×8

 空のカード×59

 初心者用ガチャ券×4 (猫獣族)

 ガチャ券 (猫獣族)

 選べるガチャ券 (5択)

 SP30以上ガチャ券


 ずいぶん分かりやすくなったね、(から)のカードだけ凄く多いな。


 「空のカードはアクティブカードじゃないんだね」

 「えぇそうね、バトル中に何も入っていないカードなんて役に立たないでしょ?」

 「まぁ、たしかに」

 「普段はホルダーの中に入っているから、わざわざアイテム画面を開かなくてもいいわよ。使い方は分かっているわよね?」


 もちろんだとも。こねこに教えてもらったよ。


 「空のカードは中に入っている物で価値が変わるわ、金塊とか入れたら良い値段で売れたりもするわよ」

 「ほうほう、でもトリアから貰ったものを売るのは気が進まないなぁ」

 「気にしなくてもいいのよ。私が勝手にプレゼントしただけなんだから」


 そうは言うけど……まぁこれ以上は止めておこう、金塊なんてそうそう手に入るものじゃないだろうし。


 「アイテムはこれで終わりよ、それじゃあ最後の『コミュニティ』を説明しようと思ったのだけど……敵よ」


 --ふしゃー!


 いつの間にかこねこも起きて私の頭の上に登ってきた。威嚇するこねこ可愛い!


 トリアが言った通り、少し離れた所に赤色と青色の2匹のスライムがぷるるんっと脈打つように揺れた。

 え? なに? 凄い可愛い!


 私とスライムの間に光が交錯しバトルフィールドが出来上がった。チュートリアル時の9×3の形ではなく縦のマスが増えた12×3のステージだった、トリアが言ったいたのはこういう事だったのね。


 私を含むバトルフィールドの外で、トリアはどこからかチアのポンポンを取り出していた。


 「頑張りなさいよ!」


 よしこれで勝つる!

 トリアの応援に応えるため私はホルダーに手を当てた。


★ねこ


猫。可愛い。

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