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VRとその先へ

 全世界で注目を浴び大ブームが巻き起こったVRMMO。

 従来までの視覚だけで体感する物ではなく、五感全てでゲームを楽しめる当時ではこれ以上はないとされた最高峰の五感体験型VRMMORPGゲーム―『WORLD』。これの発表により全世界のゲーマーだけではなく、大人や子供が男女関係なく湧き上がった。

 五感体験型VRMMOのおかげで技術はますます発展を遂げ、世界各地の至るところが見て念じるだけで情報が脳に送られていくまでになった。



 だがしかし、今年また世界を揺るがすほどの大きな発表がされた。

 VRMMOについてこれ以上の発展はないであろうとされていたそれにまだ先があったのだ。


 五感体験型VRMMOとはゲームの情報を脳に送り込み、脳から直接ゲームに情報を入力をすることにより視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚の全てをリアルに体験でき、ゲームの世界に自らが入り込むことができるシステムである。


 今回の発表はそれに加え、ゲーム内の行動が現実世界に直接的な影響を与えるといったものであった。

 その直接的な影響というのは、目の見えない人がVR空間で訓練することにより現実世界で目が見えるようになった……などではない。


 MMORPGゲームで例えると、現実世界の身体はログアウトした地点に直結する。

 つまり家で学校の用意をしてからログインをしてA村からB村に行ってログアウトすると学校の前に着いているなんてことが起こり得るのだ。


 発売されるソフトは3っ。

 VRMMO型カードゲーム『WORLD(ワールド) CREATURE(クリーチャー)

 VRMMO型シュミレーションゲーム『WORLD(ワールド) SIM(シム)

 VRMMO型ロールプレイングゲーム『WORLD(ワールド) FANTASY(ファンタジー)

 そして直接的な影響を与えるのはログアウト時の人体の移動だけではない、取得したスキルやカードが現実世界にでも使えるようになるのである。

 つまりゲーム内で魔法を取得すると現実世界でも魔法が使えるようになる。そう……ついに人類は現実世界で魔法と呼ばれる非科学的であった現象を扱えるようになったのだ。


 世界は興奮の渦に包まれた、今までVRの世界だけであったものが現実でも出来るようになると。

 世界は不安の渦に包まれた、これからの治安はどうなるのかと。魔法という摩訶不思議な現象を、誰でもゲームをするだけで使えるということが何を意味するのかと。

 最貧国は恐怖した、これから周りの国の人々は超常を操る化物の集まりになるのかと。


 そして――。











                ★











 ――そして世界各国はゲーム発売までに法律を改正し、まだ発売もされていないのにも関わらず取り締まりの機関まで作られた。


 ……とまぁこれらは周知の事実だからな。

 他にもログイン中の安全性向上の為に、謎素材のカプセルに入る必要があること。ログアウトが出来る場所は決まっていて、場所別にパスワードが必要だったりする。

 そしてログアウトして人体移動した先も決められた謎カプセルの中である。そらそうだよな、いろんな所でログアウト出来るんなら銀行の金庫の中にログアウトとか出来るよな。……壁と同化したりとかも。


 そして今はその話題のゲームの発売日。

 昨日から店に並んでいる人も数多くいて、開店1時間前の今は行列で前が見えないほどだ。

 え? 謎カプセル持ち運びできるの?だって? 本体とソフトは別売りだ、本体は郵送で送って貰っている。

 ちなみに198500円 (税別)だ。バイトした、頑張った。

 今並んでいるのはソフトの方である。ソフトのネット注文は無く、店頭での販売のみになっている。だから人様に迷惑を掛けるくらいに行列が出来ているのだ。言ってる自分は並んでる方なのだが。


 さて、それではソフトの紹介をしようか。

 まずはカードゲーム『WORLD CREATURE』

 カードを集めるゲームだ………こほんっ。他の二つでも言えることだがまず自由度が高い。

 まぁこれは普通のVRMMOでもありがちなのだが、このゲームはカードゲームなのに店が買える、家が買える、人も買える、そして1億枚を超えるカードの他に自分でカードを作れる。カードを作れるといっても石に(カラ)のカードを押し込むと石を召喚できるカードが出来るといったものだが、もし人にしたらどうなるんだろうか。

 そして揉め事や決め事の全てがカードゲームの勝敗で決められる。

 例えば 『この家ほしぃ〜!でもぉお金ないしぃ〜そうだ!ここ売ってる人に勝負申し込もうっとぉ』とこれで勝負が成立して勝てば家が貰えるといった具合だ。炎上一直線である。まぁ勝負が成立出来るほどの物を相手に提示出来ないと勝負に受けてくれないだろうけど。

 負けた腹いせに家に火を付けたら普通に燃えるんじゃないかな? それくらい自由度が高い。いろんな意味で炎上一直線である。垢バンされそう。



 次にロールプレイングゲーム『WORLD FANTASY』

 まぁどこにでもあるようなオンラインゲームだな……ごほんっ。

 極一般的なファンタジー系のゲームだな。

 グラフィックが素晴らしい……のはどこのオンラインゲームでも同じだし、ヌメヌメ動くのも一緒だしな。

 このゲームも家が買える、店も買える、人は買えないなぁ。……多分。

 魔法やスキルは職業レベルによる取得や派生の他に、SPと呼ばれるもので取得することができる。そして特定の行動をした場合にも取得できるらしい。あと自分でも魔法を作れるらしいぞ、色々と制限があるみたいだが。

 僧侶とか現実世界で大活躍じゃん……蘇生魔法はあるんだろうか。



 最後にシュミレーションゲーム『WORLD SIM』

 金を集めて戦うゲームである。……いやほんとほんと

 プレイヤーは商会を作ったり国を作ったりして金を集めるのだ。無論家が買える、店も買える、人も買えるぞ。このゲームは金が全て物をいうのだ。

 そしてこのゲームで注目すべき点は、手に入れたゲーム通貨は10分の1の金額で換金が可能という所である。


 もう少し説明すると、初めに全プレイヤーが契約書という特殊スキルを持っている。そして契約書に書かれたことは循守される。

 つまり、真っ当なやり方でも恐喝でも詐欺でも契約書にサインさせるとその通りになる訳だ。

 例えば『A村からB村まで護衛する、報酬として10000の金額が支払われる』という契約書なら、護衛が終わり次第1万の金額が必ず支払われるのだ。

 他にも『A商会の年間総売上の10%がB商会に支払われる』といった一方的な契約でも実行される。


 契約書には絶対の強制力があり『両者同意の上契約書の破棄』、もしくは片方のアカウントが消失されない限り効力は続くものとする。ただし短期契約書と呼ばれる契約書スキルの場合は、1度でも契約が実行されると契約書は消滅する。

 短期契約書がないとずっとA村からB村まで護衛し続けないといけなくなるな。普通の契約書でA村からB村への護衛をしたとして、もう一回AからBに行く時に護衛する側がログアウトしていたらどうなるんだろうか。


 そしてこのゲームはステータスは金で買う。

 買えるステータスは大きくわけて3つ。身体能力、カード、魔法の3つだ。


 身体能力は言うまでもないであろうが、カードは『WORLD CREATURE』のカードで、魔法は『WORLD FANTASY』の魔法である。一見最強に見えなくもないが、買って使えるのは一回だけだ。つまりカードや魔法を買ったとしても、1度使うともう1度買い直さないと使えないのである。ちなみに身体能力は1時間と時間が決まっている。

 そして課金要素が他の二つと違い、ゲーム通貨をお金で買うことが出来る。その代わりレートは1対1だ。大富豪超強す。

 あとこのゲームは所持金がマイナスになると3っ日間の間にプラスにならなければアカウントが消失される。金が全てなのだ。





 「大変長らくお待たせいたしました只今より開店となりますーー」


 おっ! やっと開店か。待ちに待った瞬間だ。


 周囲からの歓声が凄く、店員さんの言葉が聞こえない。喜びは伝わってくるが近所迷惑だ。近所の人も並んでいるかどうかはさておき。


 何にせよ開店だ、新世代VRMMOが待っている!

 

 

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