表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/27

その6

「…僕の言うこときちんと聞いてね?」


わたしは青い顔をしながらコクコク頷きます。


「絶対嘘なんてついちゃ駄目だよ?…嘘ついたらどうなるか、…もっと詳しく教えて欲しい?」


彼は超笑顔でわたしに話しかけてきます。

わたしは全力で顔を横にぶんぶん振ります。


「そう、じゃあ始めようか」


拝啓、数分前の自分へ『この人騙されやすそう』と彼に対して思ったあなた!あなたこそ騙されやすいです!(既に騙されましたけど)と言いたい気分な近藤かれんです。







こんな状況に陥ったのは


―そう、彼がこの部屋に返ってきた時の事です。




ぎぃっとまた扉が開きました。

するとやはりあの金髪さんがひょこっと出てきました。片手には白いマグカップ、もう片方の手には黒い布のような…あれローブですかね?そんな感じのものをもって入ってきました。


ものすっごく今さらなんですが、金髪さんって中世の騎士みたいな服きてるんですね…いや、コスプレとか思ってないですよ!?似合ってるんですから、むしろウェルカムですから!



「お待たせ。…これ、どうぞ」


そう言ってわたしににこにこ微笑みながら渡してくれました。


「あ、ありがとうございます…」


手にする前も思ったのですが、この中身めちゃくちゃ美味しそうです…!

ホットミルクのようなものなんでしょうか?

牛乳の臭みが全くなく、湯気に乗ってわたしの所にくるのはハチミツのような柔らかい匂いです。


「いただきます…」


そう言ってわたしは一口それを口に含みました。


「…お、美味しい…!」


暖かいミルクが身体中に染み渡り、とっても心地良い気分になりました。甘さも濃すぎず、控え目過ぎず適度で丁度良いです!


「ふふ、口に合って良かった」


金髪さんは絶えずにこにこして微笑んでます。…この笑顔、なんか、見たことあるような…?


「全部飲んじゃって?」


作ったご本人にそんなこと言われちゃったら

…全部飲んじゃうに決まってます!

てなわけで、見事わたしは全部飲みきりました!

わたしの自己PRは食べ物は粗末にしない事です!

今思えば、その自己PRが仇となったわけですけどね…


「―はぁ美味しかったです、ありが……!?」



んんっ!?なんででしょうか、言葉が話せません!!え!?ショック症状でしょうか!?

オロオロわたしがパニクっていると金髪さんがおもむろに黒いローブのようなものを羽織りました。



「ΧΧΧΧ」


金髪さんがそう言うとわたしの身体か淡い水色に発光しはじめました。え!何語ですか、今の!?てかなんでわたし光ってるんですか!?ファンタジーです、クレイジーです!


「………!?」



ぅゎっ、な、な、なんですか!?これ!!?

ちょ、な、なんか光が身体の中に入ってきて…き、気持ち悪…!

助けを求めて金髪さんを見ますが…

あれ、金髪では無くなっています…あれは

わたしを狼もどきから助けてくれたお兄さん!?


わたしの目の前で理解不能な言葉を話してる人は。

お兄ちゃんとそっくりな淡い茶色の髪に、漆黒の瞳をしたお兄ちゃん…もとい茶髪さんでした。



あー、駄目ですキャパオーバーです

何がなんだか訳がわかりません



理解不能な言葉が終わるとわたしの身体の中に入っていった光も消えて、何故か茶髪さんが金髪さんになっています。



わたしは暫く布団の上で呆然としてました。

すると金髪さんがわたしの目を真っ直ぐ見て話を始めました。



「びっくりした?」


おどけたように彼は言いました。勿論わたしはコクコク頷いてます。だってしゃべれないんですもの。


「そうだよね、ごめんね」


彼は眉を下げて言いました…が全然これっぽっちも悪いとは思ってなさそうな顔です。

…これは、常習犯ですよ、多分


「今僕が君に飲ませたのは僕が作った薬なんだ」


ほぉー、と思いながらわたしは聞きます。


「だからね、その君が話せないのは僕の薬の作用なんだ。…勿論この後にきちんと元に戻る薬を飲ませるから安心して?」


いや、この状態で安心するのは流石のわたしでもできませんって。


「まぁ、元に戻る薬を飲めるかどうかは君次第なんだけれど…」


え!?今の言葉は聞き捨てなりません!

ちょ、ちょっとわたし、金髪さんに恐怖感を覚えはじめてます。…今さらなのかもしれないですけど!


「ひとつ言えるのは、もし嘘ついたら…もっと怖い思いするってことかな?」


金髪さんは笑顔を張り付けてます。それすら恐怖の対象にすらなってきてます。

わたし、泣いてもいいですかね?いいですよね!脅迫されているんですもの!…もっと怖いことって……、考えたくないです。ここはわたしの得意技、思考を停止させるを発動しましょうかね。



そして冒頭に戻るのです。






でも実際始めると言ったって何をするのでしょう?

取り敢えずわたしは嘘はついては駄目だと言うことはわかったんですが…

はぁ…わたしが、容易に彼が持ってきたものに口を付けなければ…!まぁ今さら後悔しても遅いんですけどね。えぇ。


「そんなに構えなくても大丈夫だよ…………多分」


あ!今最後目をそらしましたね!?

多分って何なんですか!?


「さて、今からなにをするのかと言うと」


金髪さんはしれっと話を続けました。

話そらしましたね、金髪さんよ。


「僕がする質問に答えてもらいたいんだ」


………ちょっと待ってください。

わたし今言葉を発することできないのですけれども!


「あ、大丈夫だよ。僕の質問には答えられるようになってるから」


金髪さんはわたしの胡散臭げな視線を見たからかちょっと肩を竦めてこう言いました。


「じゃあ試しに…『あなたの名前は何ですか?』」


これは答えろということですよね?


「近藤かれんです。」


おぉ…っ!!話せました!な、なんかちょっぴり嬉しいです…!

わたしが名前を言うと、金髪さんはどこから出してきたのか、紙と羽ペンのようなもので何かを書き始めました。

…あ、もしかしてわたしの回答を書き写してるのでしょうか?



「……よし、じゃあ次の質問。」





…金髪さんが暴走してしまいました。

本来はこんな子ではなかったんですけども…

書いてたら止まりませんでした。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ