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だけど、やっぱり君が好き。  作者: 紫野 月
16/23

新人秘書嬢の失敗

 私の名前は山川美穂。23歳、独身。彼氏募集中。

 この春大学を卒業して成瀬興産に就職したの。

 研修を無事に終えて配属されたのは秘書室。希望通りで“やったね!”ってかんじ。頑張って秘書検定とっておいてホントよかったわ。

 秘書室での仕事は今のところ雑務ばかり。まあ、いきなりどなたかの専属になってスケジュール管理とか重要書類の作成とか任されるわけないか。

 

 でも、いつかは吉野さんみたいになりたいな。

 きちっとしたスーツに身を包み、バリバリ責任のある仕事をこなして、他部署の女子社員から羨望の眼差しを受けながら颯爽と社内を闊歩する。

 うーん、ス テ キ!

 想像するだけでニマニマが止まらない。

 あっ、吉野さんというのは社長の第二秘書をしている人で、社内で一番の美人だと評判の方だ。

 研修中に初めて見かけた時の驚きといったら… この人職業を間違えてるって思った。こんな美人ならモデルか女優になるべきだよ。その美しい姿を公にするべきだ。なんてもったいない!って心底思った。


 秘書室に配属されてから、その麗しいお姿を間近で堪能していたのだが、吉野さんは容姿が綺麗なだけじゃなくて性格もいい。明るくて気さくで親切で。私が失敗しても感情的に怒ったりしないし、問題点を丁寧に教えてくれる。

 同期で入った人に他の部署の話を聞くと、私は先輩に恵まれたなってしみじみ感じた。


 そんな吉野さんが常務と付き合ってるって聞いたのは、配属されて暫らくしてから。ようやく仕事に慣れた頃だったかな。

 常務っていうのはこれまたビックリするようなイケメンで、社長の息子で仕事も出来る凄いハイスペックなお方。

 なんてお似合いな二人。

 ちょっと悔しい気持ちもあるけど、でも、私達新人社員の間では祝福モードだったのよ。

 なのに! なのにぃ!!


 ある日の夕刻。吉野さんがエレベーターホールの前で男とラブシーンをやってた。

 話しの内容からどうやら相手は元カレ… ううん、まだ別れてないみたい。ってことはフタマタ?

 憧れの吉野さんが…

 なんだか、すごく裏切られた気分。

 私は妙に頭にきてしまって、この話しを仲のいい同僚数人に暴露した。

 他人事なのにまるで自分が被害にあったみたいに憤ってしまって、物凄くまくし立てながら話した。

 そしてこの話しはとんでもないスピードで拡散していったのだ。

 その時の私は別に悪いことをしたなんて思わなかったし… 逆に吉野さんの不実が社内に広まって社長や常務の耳に入ればいいと思っていた。




 一ヵ月後、辞令がおりた。

 庶務課に転属って、なんで?

 移動しなきゃいけないのは私より吉野さんの方じゃない。

 納得いかない私は井上主任に詰め寄った。

「山川さんは何か勘違いをしているようだね」

 井上主任は溜息をひとつ吐くと眼鏡をくいっと押し上げた。

「会社は個人のプライベートに干渉したりはしない。ましてそのせいで人事異動することはない」

「それじゃ、なんで、私が」

「山川さんは今回のことで最大のミスを犯したんだよ」

「? 」

「分からないのか? 君は吉野さんのプライベートを不用意に口外した。今回は私的な事柄だったが、もしこれが社内の機密事項だったなら会社に多大な損害を与えていた。そんなリスクのある社員を秘書室に置いてはおけない」

「あっ…」

「君には期待していただけに残念だよ」



 私はとんでもない失敗をしてしまった。

 吉野さんの二股疑惑も間違いだったし… でも、吉野さんに謝ることもできなかった。

 もう、泣きたい。


 

 

番外編やっと投稿できました。

いかがでしたか? 楽しんでいただけたかな。

あと2,3話、予定してます。

まだ全然形になってないので亀更新になりそうです。

なので、完結表示にしておきます。

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