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パソコンが入院していたため投稿が遅くなりました。
それと今回は話の都合上、会話文が多くて読みにくいかもです。
なので、あらかじめ謝っておきます。ごめんなさい。
「カズ君。なんで貴方がここに居るの?」
「亜也さん、会えてよかった」
「どうやって中に入ったの?」
「どうしても、今、すぐに会わないと…と思って」
「私がここにいるって、どうして分かったの?」
「必死になって捜したんだ」
結局、私はエレベーターに乗れなくて、エレベーターの前でカズ君と微妙にズレてる会話をしている。もしかしてカズ君、不法侵入? 警備員に見つかったら、連れて行かれちゃうのかな?
いや、今考えるのはそこじゃないでしょ。
電話で別れを告げて、もう二度とカズ君の声を聞くことも会うこともしないと涙ながらに決心したのに、どうして一時間も経たないうちにこうして会っているのでしょう…
「あのカズ君。さっきの話の内容、ちゃんと聞いてなかったの? 私達別れたのよ。もう会わないし電話もしない。私、そう言ったよね」
「うん。聞いたけど、でも僕は納得がいかない」
「納得がいかないって、今更何言ってるのよ! 元はといえばカズ君のせいじゃない」
静かな廊下に、私の声が響いた。
この階は重役の部屋と秘書室があるだけ。人の出入りはあまりないとはいえ、いつ誰が通りかかるか分からない。さすがにここで痴話ゲンカはマズイよね。
「カズ君、ここはちょっと… 場所をかえましょう」
とにかく会社の外に出て、どこか静かな所で。駅前の喫茶店とかがいいかな。
あっ、その前に電話。常務が駐車場で待ってるはず。でも、地下だし繋がるかな? 駐車場まで行って事情を話して… いやまて、まさか修羅場になったりしないよね。けど、この三人で話すと、とんでもない展開になりそうだし。
どうしよう。
「分かってる。全部僕が悪い。僕が亜也さんのことを諦められないから」
他の事を考えていてカズ君の言った事がよく聞こえなかった。だってカズ君の声も弱々しいものだったし。だから、
「えっ、何? ごめん、もう一度言って」
「えと… だからつまり、亜也さんと会えなくなるのは嫌だ。亜也さんと別れるなんて出来ない」
「出来ないって言われても。それじゃ、なんで駅でさよならって言ったとき追いかけてきてくれなかったの? その後も電話の一本もなかったじゃない。だから、私はもう二人の仲は終わったと思った。ううん、随分前から終わってた。それに気付かないフリしてただけだと分かったの」
「そんなこと、ない、よ」
「あるわよ! カズ君は何時でも私のこと後回しにしていた。連絡だってカズ君からしてくれたことあった? それどころか楽しみにしていたデート、何時もすっぽかしたよね。誕生日、クリスマス、バレンタイン、約束してたって結局は一人で寂しく過ごすことになった。私、いつも淋しかった。いつも悲しかった。こんなの恋人じゃないって感じてた。それでもカズ君のことが好きだから、傍にいられるだけで満足しようと自分に言い聞かせて… でも、もう我慢できなくなったの!!」
「…ごめん。その、気付かなくて。亜也さんがそんなに傷ついてるなんて思いもしなくて」
「でしょうね。カズ君は私のこと見ていなかったもの」
それから暫らく沈黙が続いた。
カズ君は気まずそうに俯いている。
私はちょっと言い過ぎたかなと思った。いや、これくらいいいよね。だって七年分だもの。
「僕はずっと亜也さんに甘えてたんだね。亜也さんにずっと辛い思いをさせてたんだ… なんて酷い奴なんだ。我ながら呆れる。亜也さん、本当にごめんなさい」
そう言ってカズ君は深々と頭を下げた。
カズ君の真摯な態度に、心からの謝罪に、私の気持ちが動きそうになる。…ちょっと待て、私。
無関心な態度をとられたり、いつまでたっても来ない連絡を待ち続けるのは、もう嫌でしょ。今はそんなこと言ってても、どうせすぐに忘れるんだから。だから許しちゃダメ!
「亜也さん、言い訳に聞こえるかもしれないけど、でも聞いてほしい」
「……」
カズ君は私の無言を同意と解釈したらしい。
「僕は女の人と付き合うことが苦手で… というか、未だによく分からなくて、それで今まで何度も亜也さんを怒らせてしまったよね。その度に二度と同じ間違いをしないようにと反省しているんだけど、でもやっぱり亜也さんを失望させて、申し訳ないなって思ってた」
そうか。一応反省はしていてくれたのか。私は意地悪な突込みを心の中で入れる。
「そんな恋人として落第点な僕なのに、亜也さんは結婚を考えてくれていて… それを聞いた時とても嬉しかった。でも同時に今は困るって思った。あの時も言ったけど、今の僕は時間とお金を持っていない。だから結婚してもうまくいかなくなる。そう判断したんだ」
ああ、そうだったね。それを言われた時、そんなことぐらいで?って思ったけど、マリエの話しを聞いて結構シビアなことだったんだと改めて思ったっけ。
「それにお見合い相手の成瀬さんに会って、僕よりも彼の方が相応しいんじゃないかと思ってしまって… だからわざと連絡を絶ってた」
初めて聞くカズ君の胸の内。
そんな事を考えていたんだ。私とのこと真剣に悩んでくれていたんだ。
やっぱり私はカズ君に弱い。そんな事を言われたら、私どんどん流されてしまうよ。
「七年も恋人として付き合ってたんだから、それで十分だと思おうとしてた。だけどもう二度と会わないって言われて本当にそれでいいのかって」
カズ君の告白を聞きながら、私は私の胸が高鳴っていくのを感じた。
「亜也さんに二度と会えないのは耐えられない。亜也さんが他の男と結婚するなんて我慢できない」
「カズ君。それってどういうこと」
カズ君が言ってること。言おうとしてること、分かってる。
でも、私の欲しい言葉でちゃんと言って。
「もう、何年も前から覚悟してきたのに。亜也さんが別れたいって言ってきたら受け入れようって、潔く諦めようって。だけど、だけど僕は…」
「だけど?」
「だけど、やっぱり亜也さんが好き」
カズ君が初めて私のことを好きだと言った。
やっと私の欲しかった言葉が聞けた。
「お願い亜也さん。僕とずっと一緒に居て下さい」
言葉の途中でカズ君の胸に飛び込んだ。
私の目から大量の涙がこぼれてるくる。
けれどさっきの辛い涙じゃない。
嬉しくて、最高に幸せで… そんな時でも人って泣いてしまうんだね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
やっと、やっとここまで来た!って感じです。
このお話しは次回で終わりです。
次はなるべく早く投稿します。多分…




