宇宙大名サガミ 【シナリオ形式】
■かいせつ
構想半年のジャポニズム・スペースオペラ(笑)。科学考証もかなりいいかげんです
けど(汗)、こんな悪ノリにつきあってくれる方がもしおられましたら、よろしく
お願いしますm(_ _;m。長編の第一話のような雰囲気になってるのはただの演出
であり、あくまで一発ネタの読切りです。(こんなんシリーズ化したら原作者が
死ねますから(涙))
■あらすじ紹介
銀河の戦国時代にベルール太陽系を治める若き大名・サガミ。その婚礼の夜を狙い、
敵の大名家が連合して侵攻してきた。15倍の宇宙戦艦を持つ敵の艦隊を相手に、
サガミは鎧(宇宙服)に身を固めて出陣する。ヴォケ=ハザーマ宙域に、15対1の艦隊
決戦が始まるのか、それとも……!?
■人物
*まぎらわしくなるのを避けるため、作中にあえてフルネームを出さない人物もいます。
*髪形、衣服などは、SF調でも戦国物を連想させるようにお願いします。
サガミ:アローダ=サガミノ介=ウジノリ。べルール太陽系を統べる小大名。髪形は
豪快な茶筅髷でお願いします。(笑)
じい:タガール=ゲルンサブロ=タカユキ。サガミの家老。
ガーブル:サガミの馬廻りで、悪友の一人。
エギット:サガミの馬廻りで、悪友の一人。
ノギク:くのいち。レーザー刀は背中に(笑)。髪はやっぱポニテでしょう。(爆)
馬廻りたち:計36人以上いる。
ミウ姫:カガイ家の姫。基本、黒髪のロングでお願いします。(笑)
家臣たち:サガミの家臣たち
カガイ:カガイ=アンタレスノ守=ナガカタ。他星系の大名。体育会系中年。
側近:カガイの側近。
カナクラ:カナクラ=ヴェガノ守=ナオトキ。他星系の大名。策士風の中年。
ハムベス:クローダ=ハムベス=ハルユキ。カナクラの参謀で、インテリ風の若い男。
兵士たち:雑兵たち。陣笠のような形のヘルメット。(?)
■メカ
宇宙服:戦国時代の当世具足を連想させる形の宇宙服。大将のは少し派手に。
会話するときは顔の見えるデザインの方がいいでしょうか。
平服:スペースオペラの宇宙戦士風。大名はマントもつけたほうがいいかも。ただ、
微妙にオリエンタル風にお願いします。(笑) 腰にはかならずレーザー刀を装着
してください。
コサカ城:そこはかとなく(笑)オリエンタルな雰囲気の宇宙要塞。
小型艇:馬を連想させるデザインの小型宇宙艇。(オープン型か密閉型か、どちらでも)
戦艦:胴体や舳先に家紋の描かれた、大型の宇宙戦艦。迫力あるようにお願いします。
画一的な形でも、個々に違っていてもOKです。
家紋のデザインは、任意にどうぞ。実在するものでも構いません。
小型母艦:見るからに小型、でも戦艦より速度の出そうな宇宙艦。
○小惑星帯
ゴオッ、とエンジンの火を噴いて(擬音を入れるかどうかは演出しだい)、小型艇が
小惑星を縫って飛んでいく。
キャプション「ヒノモト銀河、エイロック12年(星歴1659年)……」
小型艇は、どことなく馬を連想させる形。(オープンでも密閉式でも可)
その後を追って、もう数機の小型艇が。
エギット「若! 飛ばしすぎ、飛ばしすぎ!」
ガーブル「もう「若」じゃねえよ、エギット。「お館様」だって!」
サガミ、緊張した笑顔。
サガミの小型艇、小惑星の群れにに突っ込んでいく。
エギット「あっ、危ねえ!」
サガミの小型艇、小惑星の間スレスレをすり抜けていく。
そのときにレーザー刀を突き出して、岩の隅を斬り落とした。
サガミ「この要領だ。全員、やってみろ!」
ガーブル「無茶な……」
サガミ「俺を信じられないのか!?」
ノギク、それを聞いて決心の表情になり、
ノギク「……私、やります!」
ノギクの小型艇が、レーザー刀をかざして小惑星の群れに突っ込む。
ガーブル「ノギク殿!」
小型艇、小惑星に擦って、
ノギク「!」
ものすごい振動に、ノギクは目を見開いて必死。
小型艇は、危うく接触しそうになり石片を飛びちらしつつも、何とか岩を切り
裂いて通り抜ける。
ガーブル「ひやひやさせるぜ」
サガミ「次はお前だ、ガーブル! エギットも。ぶつかるなよ!」
声「おりゃあっ!」「女に負けられっか!」「やってやらあ!」
数機の小型艇が、レーザー刀を突き出し突っ込んでいく。
○小型母艦の艦橋
じい、クルーを指揮しながら愚痴。
じい「……ったく、家督を継いだというのに、いまだに自覚がない」
○宇宙空間
小型母艦、去っていきつつ、電波を飛ばす。
じい「若! 小惑星帯にいるのはわかっています、すぐ城にお戻りを!」
○コサカ城
宇宙空間に浮かぶ城塞。
(なんとなくオリエンタルな雰囲気のデザインにお願いします)
○コサカ城の回廊
すでに平服のサガミとじいが歩いてる。その後ろに小さくなってノギク。
サガミ(辟易として)「いや、馬廻り隊の練兵をしてただけで」
じい「ただの集団暴走行為でしょうが!」
じい、真剣に
じい「銀河統一幕府が力を失って80年……このベルール太陽系を守るのは、領主である
若しかおられぬのですぞ!」
サガミ「もう耳にタコだよ、ダガールじい。それに、俺はもう「若」じゃない」
じい「ノギク! おぬしがついていながら、なぜ若…ではなく、お館様をお止めせぬ!」
ノギク、さらに小さくなる。
サガミ「ノギクを責めないでやってくれ、護衛としてよく仕えてくれてるよ」
ノギク「サガミ様……」
ノギク、顔を赤らめ、拳を胸に抱いて顔を上げる。
サガミ「それよりも」
○コサカ城の一室(和風でもSF風でも可)
そんなに広くはない(具体的には12畳くらい?)。奥まったところに、あきらかに
上座とわかる段差があり、そこに、マントを翻してサガミが座る。(椅子か床か、
どちらでもOK)
サガミ「じい、俺に何の用だ?」
じい「……」「いいかげんにしてくだされ、わ…お館様! 本日は、カガイの姫との
婚礼の日でござろう!」
ノギク、部屋の隅で目を逸らす。
○コサカ城の儀式の間(和風でもSF風でも可、大広間)
声「高~砂~や~」
花婿姿で仏頂面のサガミと、和風の角隠しで顔が見えないミウ姫が、三三九度の
盃を傾けている。
参列している家臣たちは、そろって安心したような笑顔。
その真ん中に、めかしこんだ服装のじいが出て来て一礼。
じい「わ…お館様、それにカガイ家のミウ姫様、本日はおめでとうございりまする」
じい、笑顔で
じい「これでアローダ家は、大大名・カガイ家と姻戚。過去の争いは忘れ、この戦国
乱世の銀河に、共に手を取り栄えていくことになりますな!」
サガミ「…………」
サガミ、じいをしばらく見ていてから
サガミ「フっ」
誰にもわからない程度に小さく笑う。
ミウ姫はそれに気づいたのか気づかないのか
ミウ姫「…………」
無表情。
じい「さあ皆の衆! 我らがお館様、アローダ=サガミノ介=ウジノリ様のご結婚を祝っ
て、無礼講じゃ!」
一同「おおーっ」「飲むぞぉ!」
○コサカ城のサガミの寝室(ベッドでも布団でも可)
薄暗い中、ミウ姫が、角隠しの衣装のまま敷布の上で正坐。
そこへ、ラフな服装のサガミが入って来る。
サガミ「ミウ姫、お疲れか?」
ミウ姫「……いえ」
サガミ「俺は疲れた」
サガミ、構わずに敷布の上でゴロリと横になる。ミウ姫はビクン。
サガミ「……」「そう警戒することはない。この政略結婚、恐いのはむしろこっちなん
だから」
ミウ姫「え…?」
サガミ、いきなり起き上がって、ミウ姫に襲いかかる。サガミの手がミウ姫の胸に。
ミウ姫「きゃあっ!」
サガミ(ワルっぽい微笑で)「警戒することはない、と言ったろ……」
ミウ姫「…………」(殺気を含んだ顔で睨み付ける)
サガミ、ミウ姫の胸元から手を差し入れていたが、ふと
サガミ「あった」
ミウ姫「え?」
サガミの手に、金属の筒が。
親指でビンッとボタンをはじくと、レーザー短刀だった。
サガミ「俺の寝室に、こんなもの持ち込んでほしくないのでな」
ミウ姫、くやしそうな表情。
と、そこへ飛び込んできたのが
ノギク「サガミ様!」
ノギク、ミウ姫の乱れた着衣に気づいて顔を赤らめ
ノギク「……っとっ、ご、ごめんなさいっ、お邪魔をっ! 火急なもので!」
サガミもちょっと顔を赤らめて
サガミ「まだなにもしてない。なんだ?」
ノギク、サガミに耳打ち
サガミ「!」「やはりな……」
サガミ、ミウ姫を一瞥。
ミウ姫、覚悟の表情。
○コサカ城の儀式の間
一同「はーっはっはっ」「かっぽれ、かっぽれ♪」
みんな酔っ払い、裸踊りまでやってるバカがいる。
そこへ、宇宙服(鎧みたいな)姿で武装したサガミが入って来る。
サガミ「宴はおひらきだ」「敵襲!」
一同、あぜん。
○コサカ城の作戦室
スクリーンに、太陽系のような図。サガミや家臣たちが集まっている。
鉢巻をして忍者風に武装したノギクは、指揮棒でそれを指し示しながら
ノギク「すでに惑星カレスがカナクラ軍、ホデスがカガイ軍の宇宙艦隊に、奇襲・占領
されました」「敵はさらに内側に進み、このコサカ城まで陥とそうという気配です」
じい「カガイめ、まさか娘を輿入れさせてその日に攻め込むとは……」
サガミ「油断を誘う手……戦国乱世だ、こういうこともある」
サガミ、扇をいじりながら、不敵に笑いつつも溜息。
家臣A「この上は、ミウ姫の首をカガイ=アンタレスノ守の陣に送り付けてやりましょ
うぞ!」
他の家臣たち「そうだ、そうだ!」
じい「わ…お館様」
ノギクも心配そうに、考え込んでるようなサガミを見る。
サガミ「……」
が、すぐに
サガミ「人質を殺しても、かえって敵の士気を上げるだけだぞ?」「まず、領内の兵を
集められるだけ集めろ。集結場所は……ヴォケ=ハザーマ宙域」
サガミ、スクリーンの一箇所を手で軽く叩く。
じい「は? カナクラ艦隊への備えですな。しかし、カガイ軍の側ががら空きに……」
サガミ「こちらは不意を打たれてるんだ、急いで集めてもせいぜい戦艦2百」「相手は
合わせて3千を越える大艦隊……二手に分けたって勝ち目はない」
サガミ、扇を口に当てて考える。
じい「でも各個撃破するとしても、やはり敵の方が数的に……」
サガミ、緊張しつつ
サガミ「そうだな…………」「まずは、「和睦を乞う」という連絡を送ろう」
○カナクラの宇宙艦隊
大迫力の、家紋を付けた宇宙戦艦の群。
○カナクラ旗艦の艦橋
スクリーンに、カガイが映っている。
艦橋にカナクラが立ち、その横に参謀のハムベスが立つ。
カガイ「和睦だと?」
カナクラ「惑星カデスとホレスを我々に譲るという条件を提案してきた」
カガイ「ハッ! すでに占領済みではないかカナクラ殿。譲ってもらうまでもないわ」
カガイ、爆笑して、
カガイ「このまま二手にわかれて進めば、惑星ふたつどころか、ベルール太陽系の全て
を奪うまでに10日とかかるまい」
カナクラ「婚礼で油断させる……我が家臣の智将・クローダ=ハムベスの策戦に、誤り
はない」
ハムベス、無感動に一礼。
カナクラ「アローダの小せがれめ、わしとカガイ殿の連合軍を前に、勝ち目もなく
脅えてるのであろうな」
カガイ「親父にはちょくちょく煮え湯を飲まされたが、跡継ぎに仕返しできそうじゃ」
カナクラ「まあ、交渉は続けといてやろう。せいぜい、希望を持つようにな」
爆笑するカナクラとカガイ。
ハムベス「……」
ハムベス、その様子を見ながら、聞こえないように。
ハムベス「…キツネとタヌキ、か」
○コサカ城の格納庫
サガミが小型艇の計器をチェックしている。じいがのぞきこむ
じい「わ…お館様、カナクラが惑星8個割譲という条件を出してきたとか……」
サガミ「ま、簡単に和睦なんかできないだろ」
サガミ、溜息。
じい「8個も差し出したら、我々には本星と小惑星だけしか残りませんぞ! どうな
さる!?」
サガミ「やつらに、本気で和睦するつもりなんかない」
じい「それは……」
サガミ「……じい、交渉と、ヴォケ=ハザーマ宙域はおぬしに任せる」
じい「は?」
サガミ「戦う必要はない。別命あるまで守りを固めて、カナクラの1700隻をひたすら
牽制しておいてくれ」
じい「若っ!?」
サガミ「負けそうになったら陣を移してもいいぞ。とにかく時間を稼ぐんだ」
じい「若…お館様はどうなさる!?」
サガミ「馬廻りだけを率いて、カガイの1300隻に当たる」
じい「なっ……」
○宇宙
小型母艦一隻が飛んでいく
じいの声「馬廻りって……小型母艦一隻だけではありませぬか!」
○小型母艦の艦橋
クルーは、ガーブル、エギット、ノギクなど。中央にサガミ。
シルエットの謎の人物(実はミウ姫)が隠れて密航している。
○小惑星帯近く
カガイの艦隊が、小惑星帯に近づいていく。
○カガイ旗艦の艦橋
側近「なるほど、岩石群の影を進めば、レーダーに捕らわれにくいというわけですな」
カガイ(目をつぶって微笑)「ふっ……」
カガイ、顔を上げて
カガイ「敵は全力をカナクラ艦隊に向けた。」「こちらは一応姻戚……おそろく、
裏切り疑惑で離間を計る策だろう、それなりに考えおるわ」「ならば裏をかき、
我々が先にコサカ城を落としてベルール太陽系を制圧してしまえばよい」
カガイ、不敵に笑う
カガイ「カナクラは、敵主力と激戦のあげく、惑星カデスだけで我慢してもらおう」
「ま、それもすぐに我がカガイ領になるがね。ハハハッ!」
ピーッ、と呼び出し音が鳴る。
側近「……お館様、敵発見との由」
カガイ(驚いて)「アローダ軍の別働隊か? どこだ、何隻いる?」
側近「小惑星帯の向こう側に、小型母艦1隻です」
カガイ、安心したように笑い。
カガイ「なんだ…ただの偵察だな。構うことはない」
が、思い直して
カガイ「いや、「見敵必殺」とも言うしな。戦艦5隻ほど送って、撃沈してしまえ」
側近「はっ」
○小惑星群の中
小型艇の群れが、岩石の間を縫って飛び交っている。
サガミ「まだ発見されてない……!」
カブール「馬廻りの三十六機だけで1300隻に奇襲たぁ、豪儀だね!」
エギット「負けて死んでも、銀河の伝説になるぜ?」
ノギク「……勝ちます」
カブール、エギット、サガミ「!」
ノギク「サガミ様は、必ず勝ちます!」
岩石軍の向こうに大艦隊が見える。
○カガイ旗艦の艦橋
側近、レーダーを見ながら
側近「お館様、小惑星帯から敵の小型艇が30~40機! 至近距離です!」
カガイ「何? レーダーはどうした?」
側近「我々と同じく、小惑星を目くらましにしたようです」
カガイ「ええい、撃ち落としてしまえ」
○カガイ艦隊の中
艦隊の、戦艦スレスレを擦るように通過していく数々の小型艇。
ガーブル「うひょぉぉぉ!」
ノギク「エイッ」
サガミ「いいぞ、練兵の成果を見せてやれ!」
○戦艦の銃座
兵士「だめだ、下手に撃ったら味方に当たる!」
○カガイ旗艦の艦橋
カガイ(苛ついて)「まだ落とせんのか!?」
側近「艦隊が混乱してまして……あ、突っ込んできます、この艦に突っ込んできます!」
○カガイ艦隊の中
何機もの小型艇から突き出されたレーザー刀が、カガイ旗艦の装甲を切り裂く。
○カガイ旗艦の艦橋
側近「艦内に敵が侵入しました!」
カガイ「は、白兵戦かッ!」
慌ててヘルメット(兜のようなデザイン)を着ける
○カガイ旗艦の通路
サガミ、エギット、ガーブル、ノギクなどがカガイ兵とレーザー刀で斬り結ぶ。
サガミ「何千隻の戦艦があろうと、旗艦に乗り込んでしまえば一対一!」
○カガイ旗艦の艦橋
側近「つ、強い……どんどん艦橋に近づいてきます!」
カガイ「早く追い出せ! 皆殺しにしろ!」
側近「お館様、母艦も突っ込んできました! 避けられません、接舷されます!」
○カガイ旗艦の通路
サガミ「他は後続の味方に任せればいい。我々は艦橋を衝く」
ノギク「はい!」
ガーブル「狙うはカガイ=アンタレスノ守の首だな、若!」
だが、後方から接近してくる敵兵が2人。ガーブルがそれに気づく。
ガーブル「ノギク殿、あぶない!」
ノギク「!」
ノギクを狙った敵兵のレーザー刀が、ノギクに体当たりしたガーブルを切り裂く。
派手に血や肉が飛び散って、ガーブルの胴体が音もなく爆発する。(真空爆発)
キャプション「真空中で機密服が破れると、体内の圧力により人体は一瞬で破裂し凍り
つく!」
胸から上だけになって凍りつき死んだガーブルだが、ノギクを見て微笑んでいる
ようだった。
ノギク「ガーブル殿!」
その敵兵たちを、サガミとエギットのレーザー刀が貫く。
二人とも、真空中で体が炸裂。
サガミ「ガーブル……すまん!」
○カガイ旗艦の艦橋
カガイ「まずい…このままではまずいぞ」
側近、こっそり逃げようとする。
すると扉が爆発。側近は爆発に巻き込まれる。
破られた扉の向こうに、レーザー刀を手にサガミが現れる。
カガイ「アローダ=サガミか!」
サガミ「カガイ殿、旗艦はすでに制圧した。降伏されては如何?」
カガイ「ふざけるな!」
カガイもレーザー刀を手にする。
しばし、激しい斬り合いが展開。
カガイは果敢に斬り込みサガミを壁際に追いつめる。
が、サガミはカガイの足を払う。
刀を取り落とし転んだカガイの首に、サガミのレーザー刀が当てられる。
サガミ「降伏なされよ。仮にも嫁の父上……従うなら、家老の席を用意しよう」
カガイ、声を上げて笑いだす。
カガイ「おぬしの臣下に? 164の太陽系を治める大大名のわしに、たかが太陽系1つの
小大名の臣下となれと!?」
サガミ、真面目な顔で
サガミ「億の太陽系を統べる将軍の…新しき銀河幕府の老中ならどうだ。悪くはある
まい?」
カガイ(呆然)「将軍……銀河幕府だと?」
サガミ、不敵な笑顔。
ノギクたちは呆然。
その瞬間、飛び込んできた影。
とっさにノギクが飛びつくが、間に合わずサガミは突き飛ばされる。
一同「!」
影は……ミウ姫だった。
サガミ「ミウ姫!?」
ノギク「なぜここに!」
ミウ姫、ノギクにしがみつかれながら
ミウ姫「サガミ様! お情けです、父の命を取らないで!」
サガミ「ミウ姫……」
ミウ姫「お助けくだされば、私は身も心もすべてあなたに捧げます! どうか…」
サガミ、レーザー刀を手にしながらも毒気を抜かれたように
サガミ「あ、いや……有能な人材を殺すつもりは……」
カガイ、横目で、自分のレーザー刀を見る。
一同「あっ!」
カガイ、レーザー刀を自分に向け
カガイ「娘の情で命を救われるなど、武門の恥!」「アローダ=サガミノ介! 大名の
死に様を見せてくれるわ、おぬしが死ぬ時の手本とせい!」
ミウ姫「父上!」
カガイ、ふっ、と笑い、つぶやく。
カガイ「銀河将軍か…策のために捨てた娘の、婿が」
そしてレーザー刀を自分の腹に突き立てる。
カガイ「なれるものならなってみせよ」「さらばだ!」
次の瞬間、音もなく血肉が炸裂して、カガイの胴体が大爆発(真空爆発)。
凍った血液が飛び散る中、全員が呆然と見守る。
サガミ、剣を顔の前に捧げ持って(いわゆる「捧げ銃」)
サガミ「……お見事です、義父上(傍点つき)!」
○小型母艦の艦橋
一同がそれぞれ配置に付いている。ついていないのは、サガミと……
ミウ姫「サガミ様はもはや父の仇……いつか、私があなたを殺します!」
サガミ「……いい目だ」
ミウ姫「!?」
サガミ「婚礼の時は死んだような目だった。だが、今の目は……気に入った」
「大名の姫は、そうでなければ!」
ミウ姫「!」
サガミが強引にミウ姫を抱き寄せ、キスしそうになったところに、ムッとした顔の
ノギクが割り込み
ノギク「カガイ艦隊が全面降伏したので、カナクラも退却を始めました!」
ちょっと涙目で睨み付けるノギクに、とまどうミウ姫。
そんな空気は読めないエギット、単純に喜んで
エギット「勝ったんだ……3千隻の連合軍に、若が勝ったんだね!」
サガミ「……」
サガミ、目をつぶり、ガーブルを思い出す
サガミ、目を開いて
サガミ「……」「まだ勝っていない!」
一同「え?」
サガミ、ミウ姫を後ろに押しやり庇いつつ、指揮するように扇を横へ振り
サガミ「じい……いや、本隊の将、ダガール=ゲンザブロに下命!」
○ダガール艦の艦橋
じい「全軍総攻撃とな!?」
兵士「は……どうしましょう?」
じい「決まっておろう。お館様のご命令じゃ、総攻撃!」
じい、感慨深げに宇宙を見上げて
じい「若……立派な大名になられましたな。これでじいは、いつ討死にしても!」
○小型母艦の艦橋
サガミ「このまま、本隊とカガイの降伏艦隊とで、カナクラの本星まで攻め込む」
エギット「付け入り戦法ですね!!」
サガミ、スクリーンに向かい
サガミ「降伏したカガイの諸将。カナクラ領の星々を奪ったら、戦功次第でおぬしらも
太陽系ひとつの領主ぞ!!」
○カガイ艦隊
一気に士気が上がる
声「うお~っ!」
○カナクラ旗艦、艦橋
カナクラ「なにぃ! 追撃してきただと!?」
兵士「敵艦隊、約200隻と約1300隻に分かれて接近中!」
ハムベス「我が軍は士気が落ちてて不利……お館様、ここは自ら陣頭に出て反撃を!」
カナクラ「わしが討死にしてしまうわ! かまわんから全力で逃げろ!」
カナクラ、ハムベスを睨んで
カナクラ「策戦を誤って負けた責任は、キサマにとってもらうからな、ハムベス!」
ハムベス、溜息をついてから、追尾してくる艦隊(窓?レーダー?)を見て
ハムベス「アローダ=サガミ……か」
○宇宙空間
激しく撃ち合いながら、逃げていくカナクラ艦隊とそれを追うサガミの艦隊。
星々星の中に、サガミの姿が浮かぶ。
キャプション「宇宙大名・アローダ=サガミノ介=ウジノリの銀河統一戦が、こうして
始まった」「だが、その道はけして平坦ではなかった」
--- 完