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RUN&GUN ― 二人で一人の逃走譚 ―  作者: K.K.
第5章ー炎神の子ー
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ー世界をあるべき姿にー

低く、重い鐘が鳴った。


北方、神殿国家群。


白い石で築かれた巨大な神殿都市の中心に、

大神殿はそびえ立っていた。


高い天井。

無数の柱。

色硝子の窓から差し込む光が、床の紋章を照らしている。


その中央に――


神殿騎士団の代表たちが並んでいた。


白銀の鎧。

神紋を刻んだ外套。

剣の柄には、それぞれの神殿の紋章。


重い沈黙の中、

祭壇の奥から一人の神官が進み出る。


手には、封蝋の押された文書。


神官は静かに宣言した。


「教皇令を伝達する」


空気が張り詰める。


「北方神殿国家群教皇の名において――」


神官は文書を開いた。


そして読み上げる。


「世界をあるべき姿へと導く神意のもと、

世界の理を歪めし存在――」


騎士たちの視線が集まる。


「銀髪の少年『魔王殺し』ベル・ジットを、

世界に仇なす異端として断定する」


ざわめきは起きない。


神殿騎士は、命令に動揺を見せない。


だが。


何人かの騎士の目が、わずかに揺れた。


神官は続ける。


「よって神殿騎士団に命ずる」


「ベル・ジットの身柄を確保。

抵抗する場合これを排除し、神殿へ送致せよ」


短い沈黙。


そして次の一文。


「また当該人物に深く関与する者として」


神官は淡々と読み上げる。


「黒髪の少女ベル・ジット」


「ミリィ」


「以上二名を重要関係者と認定する」


空気がさらに重くなる。


「両名についても同様に拘束し、

必要とあらば強制的に神殿へ送致せよ」


神官は文書を閉じた。


「これは神殿の意志であり」


一拍置く。


「世界をあるべき姿へ戻すための聖務である」


そして静かに告げた。


「神殿騎士団はこれを遂行せよ」


沈黙。


次の瞬間。


鎧の音が一斉に鳴る。


神殿騎士たちが膝をついた。


「神意のままに」


「世界をあるべき姿に」


低く、揃った声。


だが。


その列の後方。


一人の若い騎士が、わずかに眉をひそめた。


「……『魔王殺し』」


小さく呟く。


その名は、大陸中に知られている。


魔王を討った英雄。


世界を救った存在。


それを――


異端として狩る。


若い騎士は拳を握った。


だが。


隣の老騎士が静かに言う。


「迷うな」


低い声。


「我らは神殿騎士だ」


老騎士は前を見たまま続ける。


「神殿は世界をあるべき姿に導く」


「それが我らの役目だ」


若い騎士はしばらく黙っていた。


やがてゆっくり答える。


「……はい」


その頃。


神殿都市の外。


巨大な城門の前では、すでに騎士団が動き始めていた。


馬が並ぶ。


旗が掲げられる。


神殿の紋章。


騎士団長が剣を掲げた。


「神殿騎士団、出立する!」


空気を裂く声。


「目標――」


騎士団長は言う。


「銀髪の少年『魔王殺し』ベル・ジット」


そして剣を振り下ろした。


「追跡開始だ」


次の瞬間。


数十騎の神殿騎士が、一斉に走り出した。


白い外套が風に翻る。


神殿の旗が空に揺れる。


こうして――


神殿騎士団による追跡が始まった。

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