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RUN&GUN ― 二人で一人の逃走譚 ―  作者: F94
第9章『西大陸篇』ー
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英雄の行方ー

翌朝。


ミリィとベルが研究室を訪ねると、そこにハーミットとタブラスカの姿はなかった。


代わりに、職員が一通の手紙を差し出す。


王室と研究室は、王子であり重要機密施術者であるタブラスカ=プレレッサが消えたことで慌ただしく動き回っていた。


ベル達が何を尋ねても、返ってくるのは曖昧な言葉ばかりで、誰もまともに答えてはくれなかった。


仕方なく、手紙だけを受け取って研究室を後にする2人。


街の喧騒の中、静かなカフェへと足を運ぶ。


窓際の席に腰を下ろし、ベルが封を切った。


中から現れた紙には――


(※ユーザー設定の人物名はそのまま使用します)


カフェの窓際、手紙を読み終えたベルは、しばらく黙ったままだった。


その内容は――


タブラスカは目を覚ましたが、極度の混乱状態にあること。


このまま研究室に置いておくのは危険と判断し、ハーミットが彼を連れ出したこと。


そして、安全な場所で鎮静化の方法を探すため、別の国の研究室へ向かうこと。


「心配するな」とだけ、簡潔に記されていた。


さらに、もしベルの“二人”を分ける方法が見つかれば連絡する、と。


最後には――


「もうあんな方法で自分を犠牲にしたりはしない。これからはしっかり手綱を引く」


そう締めくくられていた。


そして、手紙の隅。


馬に乗ったハーミットらしき、少し不格好なイラスト。


ベルはそれを見て、ぽつりと呟く。


「ハーミット……絵心ないなぁ……」


ミリィと視線が合う。


二人は同時に、苦笑した。


けれど、その苦笑はどこか安心したようなものでもあった。


「何か頼もっか」


ベルの言葉に、ミリィが小さく頷く。


そのとき――


ベルがふいに手を挙げる。


「すいませーん!」


呼びかけたその左手。


光を受けて、4つの指輪が静かに輝いていた。


その光は、さきほどまでの重さをわずかに振り払い、次へ進むための小さな合図のように見えた。


英雄になることを使命と考えていた青年は、こうして英雄となった。


だが、それは思い描いていた理想とは、あまりにもかけ離れた形だった。


そしてその英雄は、魔王殺しによって止められた。


その影で何が失われたのかを、誰も知らないままに。


――カフェの扉が静かに開く。


店内に入ってきたのは、アダラとビビだった。


ベルとミリィの座るテーブルへと歩み寄る二人。


これからの目的地について話を詰めるために。


次に向かう先は――


同じ西大陸に存在する国。


――カダブランカ王国。


新たな舞台が、静かに幕を開けようとしていた。

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