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RUN&GUN ― 二人で一人の逃走譚 ―  作者: F94
籠の中の鳥ー
277/323

甦る不死鳥ー

承知いたしました。続けます。



くらい。


でも――


なにかが、ある。


まだ、消えていない。


声が、近い。


「なぁ…頼むよ。俺に願えよ。お前の心の声を聞かせろよ」


ここに、ある。


ちいさく。


でも、たしかにある。


いきたい。


とびたい。


消えたくない。


それを――


出す。


からだの奥から、しぼり出す。


くちばしが、わずかに動く。


ぴぃ…


とても、小さい。


自分でも、出たのか、わからないくらい。


でも――


「…聞こえたぜ。お前の心の声!」


声が、返ってくる。


つよく。


まっすぐに。


その瞬間。


からだが、持ち上がる。


ふわり、と。


やさしく、すくわれる。


両手。


あたたかい。


包まれる。


そのまま――


外へ。


ひかりは、ない。


でも、広い。


空気が、ちがう。


そして。


目の前に、持ち上げられる。


高い。


でも、こわくない。


支えられている。


しっかりと。


声が、近い。


「おまえに名前を付けてやる」


なまえ。


それは――


なに。


知らない。


もらったこと、ない。


でも。


なにか、たいせつなもの。


そんな気がする。


「おまえの名前はもう決まってる!あいつと2人で決めたんだ!」


ふたり。


あの、やさしいの。


いっしょに。


決めた。


自分の、なまえを。


「不死鳥になりたいお前にぴったりのやつをな!」


ふしちょう。


あの、すごい鳥。


あつくて。


つよくて。


しなない。


――なりたい。


「エンカ。お前の名前はエンカだ!」


えんか。


音が、胸に落ちる。


あたたかい。


ひびく。


それは――


じぶん。


じぶんの、なまえ。


えんか。


えんか。


その音が、


ちいさな中に、強く残る。


消えかけていたものの奥で、


なにかが、確かに燃え始めた。


承知いたしました。小鳥視点のまま、不死鳥への変化を描写します。



くらい。


しずか。


でも――


なかに、なにかある。


ちいさく。


でも、つよく。


さっきもらった、音。


えんか。


えんか。


それが、奥でひびく。


そのとき。


ぽつり、と。


なにかが、灯る。


あたたかい。


ちいさな、火。


からだの奥。


消えかけていた場所に、火がつく。


じんわりと、広がる。


さむくない。


ちがう。


あつい。


でも――


こわくない。


きもちいい。


火が、大きくなる。


ひろがる。


からだの中を、満たしていく。


羽の先まで。


くちばしの先まで。


ぜんぶ。


光が、あふれる。


その瞬間――


ぼっ、と。


からだが、燃えた。


でも、いたくない。


こわれない。


消えない。


燃えているのに、


なくならない。


むしろ――


あふれる。


ちからが、あふれる。


羽が、ほどける。


ひらく。


ちいさかったはずのそれが、


どんどん、大きくなる。


炎が、形をつくる。


羽。


尾。


首。


炎が、なぞるように、


ひとつの姿を描いていく。


ばさり、と。


大きな翼が、広がる。


炎でできた、翼。


きらきらと、火の粉が舞う。


金色に、輝く。


身体が、伸びる。


大きくなる。


もう、ちいさくない。


もう、弱くない。


炎が、渦を巻く。


巻き上がる。


部屋いっぱいに、広がる。


けれど――


なにも、燃えない。


なにも、壊れない。


ただ、光る。


ただ、燃える。


ただ、そこにある。


ばさり、と。


もう一度、翼が動く。


空気が、震える。


あつい。


でも、やさしい。


つよい。


でも、おだやか。


その中心に、


それは、いた。


炎の中で、


はっきりとした形を持った存在。


鳥。


大きな、鳥。


燃えながら、そこにいる。


消えない。


消えない。


消えない。


胸の奥で、確かなものが鳴る。


――いきている。


そして。


――とべる。


炎の羽が、ゆっくりと持ち上がる。


その存在は、静かに、しかし確かに、


世界に生まれ落ちていた。


承知いたしました。ベル視点で続けます。



目の前で、小さな身体が揺れた。


ほんのかすかに。


今にも消えてしまいそうだった命が――


次の瞬間、光を帯びる。


「……マジかよ」


声が、漏れる。


小鳥の身体から、ふっと、淡い火が立ち上った。


揺れる。


弱く、か細い火。


けれどそれは、確かに“燃えていた”。


ベルは息を呑む。


だが――


火は消えない。


むしろ。


大きくなる。


揺らめきながら、強く、濃く、広がっていく。


小さな身体を包み込み、


やがて、その輪郭すら見えなくなるほどに。


炎は、激しく。


けれどどこか美しく。


金色の火の粉を散らしながら、空間を満たしていく。


熱はある。


だが、不思議と苦しくない。


燃えているのに、怖くない。


ベルは一歩も動けず、その光景を見つめていた。


炎が、形を変える。


ただの揺らぎではない。


意思を持つかのように、流れ、集まり、伸びていく。


翼の形。


尾の流れ。


首のしなり。


――鳥。


それは、明確に“鳥の形”を成していく。


小さかったはずの存在は、もうそこにはいない。


炎はさらに膨れ上がり、


ついには――


人と同じくらいの大きさへと変わっていた。


圧倒的な存在感。


煌めく炎の中に、それは確かに“いた”。


ベルの視界いっぱいに広がる、炎の鳥。


「……すっげぇ…」


思わず、零れる。


その瞬間――


ばさり、と。


大きく、翼が広がった。


炎でできた翼が、空気を打つ。


火の粉が舞い、光が揺れる。


そして。


――羽ばたく。


一度。


強く。


空気が震え、光が弾ける。


だが、何も壊れない。


何も燃えない。


ただ、その存在だけが、そこにあった。


美しく。


圧倒的に。


生きている証のように。


ベルは、ただ見上げる。


目の前で起きているその奇跡を、


一瞬たりとも見逃さないように。


承知いたしました。続けます。



あつい。


でも、やさしい。


からだのすべてが、燃えている。


それでも、こわれない。


むしろ――満ちている。


ひろがる。


翼がある。


大きな、翼。


動かせる。


――とべる。


その実感が、内側からあふれる。


そのとき。


なにかが、つながる。


目の前の存在。


あの、夜の、おおきいの。


そこへ、声を送る。


ことばではない。


でも、伝わる。


――少年よ。ありがとう。


「うわっ!なんだこれ?頭の中に響く」


――君のおかげで私は不死鳥になれた。


――もう寒くない。もう怖くない。もう飛べる。


言葉は、流れるように届く。


そのたびに、胸の奥があたたかくなる。


「すげぇ…俺もできるかどうか確信なかったけど、やったな!めっちゃすげぇよ!お前!」


声が、弾む。


よろこんでいる。


それが、わかる。


だから――


もう一度、送る。


――少年よ。私はおまえに何をすればいい?この恩に報いるにはどうすれば?


「恩?そんなもんどうでもいい!」


――なに?


「お前が不死鳥になれたのは、おまえの心の力だろ。俺は名前をやっただけだ。なんもしてねぇよ」


ちがう。


それだけでは、なかった。


声。


ぬくもり。


支え。


すべてが、ここにある。


だから。


――しかし、私はおまえに恩を返したい。


「えー…めんどくせぇなぁ!」


――……え?めんど……


その音の意味は、よくわからない。


でも。


少し、引っかかる。


「せっかくそんなすごいのになったんだら、好きに生きろよ?」


好きに。


生きる。


それは――


まだ、よくわからない。


だから。


――それは…お前に恩を返してから。


少しの間。


考える気配。


そして。


「んー…だったら、俺の姫神になってくれよ」


――姫神?


知らない。


でも。


興味が、わく。


少年は、言葉を重ねる。


短く。


簡単に。


それが、どんなものかを伝えてくる。


守るもの。


応えるもの。


ともにあるもの。


聞きながら。


内側で、なにかが、静かに決まる。


――わかった。


そのまま、まっすぐに答える。


――なろう。その姫神とやらに。


炎の中で、存在が静かに肯いた。


新しい形へと進むために。


承知いたしました。続けます。



「よし!エンカ!おまえの姫神っぷり!俺に見せてくれ!」


――わかった。


翼を、大きく広げる。


炎が、さらに膨れ上がる。


金の火の粉が、嵐のように舞い上がる。


空気が震える。


光が、弾ける。


ばさり、と一度羽ばたくと――


炎が爆ぜた。


一気に、広がる。


部屋いっぱいに、いや、それ以上に。


天井すら飲み込むような勢いで、炎が渦を巻く。


けれど――燃えない。


壊れない。


ただ、圧倒的な熱と光だけが満ちる。


不死鳥が、叫ぶように羽ばたく。


音はない。


だが、確かに“響く”。


存在そのものが、世界に刻み込まれるように。


炎が、収束する。


渦を巻きながら、中心へ、中心へと集まっていく。


翼がほどける。


尾が流れる。


首がほどける。


すべてが、形を崩し――


新しい形へと組み替わっていく。


細く。


しなやかに。


人の形へ。


炎が、身体をなぞる。


脚が伸びる。


腕が形を取る。


髪が、燃えるように揺れる。


黒と金が混ざり合い、その内側に赤が灯る。


衣が、現れる。


黒い布が、炎の中から編まれるように生まれる。


身体に沿う、ノースリーブのドレス。


深いスリットが入り、揺れるたびに炎が覗く。


全身が、揺れている。


炎そのもののように。


そして――


ぱぁん、と。


最後に、火花が弾けた。


金の火の粉が、星のように舞い散る。


その中心に、立っていた。


少女。


いや――姫神。


細く、しなやかな身体。


燃えるような髪。


その瞳には、確かな熱が宿っている。


身体からは、絶えず金の火の粉が零れ落ちる。


立っているだけで、空気が揺れる。


それでも――


何も燃えない。


何も壊れない。


すべてが制御されている。


その存在は、ただそこに在るだけで、圧倒的だった。


ゆっくりと、顔を上げる。


そして――


少年を見る。


その口元が、わずかに緩む。


どこか粗く、けれど真っ直ぐな声で。


「――どうだよ」


炎が、ふわりと揺れた。


了解しました。では髪色も含めて、ビジュアルを整えた最終描写として続けます。



炎が、ゆらりと揺れる。


少女の全身を包むそれは、消えることなく、絶えず形を変え続けていた。


空気が歪む。


熱を孕みながらも、決して暴れない炎。


その中心に立つ存在だけが、静かに、確かな輪郭を持っている。


髪が揺れる。


黒を基調とした髪に、前髪の一部だけが金に染まっている。


バングカラー。


その内側には、鮮やかな赤のインナーカラーが覗く。


揺れるたびに、炎と同じ色がちらつく。


まるで、内側から燃えているように。


長さは肩を越え、背にかかる程度。


炎の揺らぎと重なり、境界が曖昧になる。


どこまでが髪で、どこからが炎か――分からない。


瞳は鋭い。


けれど、その奥にはまっすぐな光が宿っている。


強く、濁りのない光。


身体は細い。


無駄のない、しなやかな線。


華奢でありながら、確かな力を感じさせる。


その身を包むのは、黒い衣。


チャイナ服のようなノースリーブのロングドレス。


深く入ったスリットが、動きに合わせて揺れる。


布の隙間から、炎の気配がちらつく。


まるで衣そのものが、燃えているかのように。


足元から、指先から、


全身から、金の火の粉が舞い続ける。


ぱち、ぱち、と小さく弾けながら、


空中に散っては消えていく。


そして――


身体そのものが、常に揺らいでいる。


炎のように。


実体を持ちながら、決して静止しない。


存在そのものが、“燃え続けている”。


少女はゆっくりと顎を上げる。


視線はまっすぐ。


迷いはない。


その姿は、どこまでも堂々としていた。


強く。


熱く。


そして――どこか、無垢なまま。


炎の姫神。


エンカが、そこに立っていた。


承知いたしました。続けます。



炎が、ゆらりと揺れる。


金の火の粉が静かに舞い、空気をきらめかせる。


その中心に立つ少女は、堂々と胸を張った。


「エンカ…それが不死鳥の姫神の、お前の姿か!」


声に応えるように、エンカは顎を少し上げる。


そして、手を上げて前髪をかき上げるように流した。


黒と金のバングカラーが揺れ、その内側の赤がちらりと覗く。


炎と同じ色が、ふっときらめく。


「おうよ!これがあたしの姫神っぷりよ!どうだ?カッケェだろ!?」


流し目で、少年を見下ろす。


自信に満ちた視線。


けれど、その奥にはどこか無垢な光も残っている。


炎が、ふわりと大きく揺れた。


「おう!めっちゃイカしてるぜ!」


少年は迷いなくそう言った。


まっすぐに。


心から。


エンカの口元が、にやりと歪む。


「だろ?」


短く返す。


その声は、誇らしげで――


どこか嬉しそうだった。


炎が、ぱちりと弾ける。


その音はまるで、新しく生まれた存在の笑い声のように、静かに響いた。


承知いたしました。流れを保ちつつ表現を整えて続けます。



「おう!このスリット?もいい感じだな!」


少年が何気なくワンピースの裾に手を伸ばし、ひょいと持ち上げる。


黒い布が揺れ、その奥の長い脚があらわになる。


その瞬間――


炎が、ぶわっと揺れた。


「え!?ちょっ…おまっ、主!やめろって!」


エンカの肩が跳ねる。


ぱっと顔を背け、慌てて裾を押さえる。


耳まで真っ赤に染まっていた。


「なんだよ。いいじゃん。ちょっとくらい」


悪びれもせず言う少年に、


エンカはさらに顔を熱くしながら睨みつける。


炎が、ぱちぱちと弾ける。


「バッカヤロウ!そういうのは…そういうのは…ダメなんだぞ…」


声がだんだん小さくなる。


さっきまでの堂々とした態度とは打って変わって、


どこかしどろもどろだ。


視線を逸らしたまま、もごもごと口を動かす。


炎の揺らぎも、どこか落ち着きを失っていた。


その様子を見て、少年はくすりと笑う。


エンカはそれに気づき、さらに顔を赤くする。


「笑うなっての…!」


ぷん、とそっぽを向く。


けれど、その姿はどこか――


さっきよりずっと、人らしかった。


承知いたしました。続けます。



炎が、静かに揺れている。


先ほどまでの熱気が、少しだけ落ち着きを取り戻していた。


少年が、エンカを見上げる。


「エンカ、とりあえずお前も指輪になれよ」


その言葉に、エンカはわずかに首を傾げる。


「そうすりゃ俺たちはずっと一緒だ」


短く、当たり前のように続ける。


「俺が死ぬまではな」


その一言に。


炎が、ふっと静かに揺れた。


エンカは一瞬だけ、じっと少年を見る。


そして――


ふっと、笑った。


少しだけ口元を歪めるような、強気な笑み。


「あたしの目が燃えてるうちは死なせねぇよ?」


その言葉と同時に、瞳の奥の炎が強く灯る。


揺らめきが、ほんの少しだけ激しくなる。


その熱は、まっすぐだった。


「そいつは、嬉しいぜ」


少年が、軽く笑う。


そのやり取りは、どこか自然で。


もう最初から、そうだったかのように馴染んでいた。


エンカは一歩、前に出る。


そして、ゆっくりと手を伸ばす。


炎が、集まる。


身体の輪郭が、ほどけていく。


指先から、腕へ。


肩へ。


全身へと。


形が崩れ、炎へと還っていく。


金の火の粉が、空中に舞い上がる。


その一つ一つが、光を帯びて弾ける。


やがて――


炎が、収束する。


ひとつの輪を描くように。


細く、緻密に。


絡み合い、形を整えていく。


赤く、金に輝く炎が、


固まるようにして、ひとつの形を成す。


指輪。


小さく。


けれど、確かな存在感を持つそれ。


中心には、かすかに揺れる炎が閉じ込められている。


まるで、生きているように。


音もなく、それは少年の手のひらへと落ちた。


温かい。


けれど、熱すぎない。


優しい熱。


そこに――


エンカがいた。


少年はそれを見つめ、ゆっくりと指にはめる。


ぴたりと収まる。


その瞬間、ほんのわずかに炎が揺れた。


まるで――応えるように。


二人の距離は、もう離れることはなかった。


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