英雄願望ー
カダブランカ王国において、十八年前。
王国はひとつの禁忌に手を伸ばした。
生まれたばかりの赤子に対し、魔王核を「英雄核」として埋め込み、強化魔力回路とすることで人工的に英雄を創り出す――それは、理想を人の手で再現しようとする試みであった。
その結果、三対の英雄核保持者が誕生する。
彼らは圧倒的な力を得た。常人を遥かに超える能力を示し、戦場においては無類の存在となった。
しかし、それでもなお、彼らは「英雄の再来」には至らなかった。
かの『魔王殺し』によって内一体が滅され、それは確信となった。
力はあれど、導く意志は未完成。
強さはあれど、理想は歪んだまま。
人工の英雄は、英雄にはなり得なかったのである。
その情報はやがて西大陸の国家ククルカナンへと伝わる。さらに、魔王殺しの存在と、その在り方を知ったとき、彼らは結論を下した。
より強く、より確実な手段が必要だと。
ククルカナンが選んだのは、「再現」ではなく「再臨」であった。
すなわち、英雄そのものを創り出す。
黒目黒髪褐色の肌が標準的な西大陸において時折、白い髪、白い肌、青い瞳という英雄タブラスカと同じ特徴を持つ子供たちが生まれる。そういう子供をたいりでは「英雄の生まれ変わり」と呼び、普通より魔力の高い傾向があった。
その「英雄の生まれ変わり」を素体とした、ある実験が行われようとしていた。
ある物体をその身体に融合させ、ひとつの存在として再構成する。
英雄再臨実験。
英雄を待つのではない。創り出す。
その結果、ひとりの存在が生まれる。
英雄タブラスカの再臨を目指して再構成された存在――擬似英雄、プレレッサ・オンリー。




