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RUN&GUN ― 二人で一人の逃走譚 ―  作者: F94
はじまりの唄ー
211/327

一生、ずっと一緒にー

とても現実とは思えない光景に、男達の間にざわめきが広がった。


「しかし…考えようによっちゃあ、ビッグチャンスかも知れねぇ!」


「確かに、こんなもん見たことねぇ」


「こいつを捕まえて売れば、一生遊んで暮らせるかもな」


「それに…売る前に、たっぷり楽しめそうだ」


男達の下卑た笑みと視線が、白金の長髪を揺らし、妖艶な光を放つカレンに注がれる。


だがカレンは眉をひそめ、吐き捨てるように低く呟いた。


「人間は嫌いじゃ」


そしてゆっくりと少年に視線を向け、頬に柔らかく手を添える。


「だが、おまえ様だけは別じゃ。おまえ様だけが…妾の愛すべきもの」


少年は息を呑み、言葉が出ない。


「おいおい、見た目もだけど、キャラも変わりすぎだろ」


カレンは凛と立ち、白金に輝く長髪を肩の後ろへ滑らせ、胸に手をあてる。


「おまえ様が望んだのであろ?この話し方も、態度も、美しさも――それにどうじゃ?こういうのが好きなのであろう?」


自らの胸を押し上げるその仕草は、豪華で上品な白い衣装の襞と光を受け、まるで光そのものが舞うかのように輝いていた。


少年は目を逸らせず、震える声で呟いた。


「お、おぉぉぉぉ…すげぇおっぱい」


カレンは微笑みを深め、金色の瞳を細める。


「妾の声も、顔も、髪も、この身体のすべてを、おまえ様に捧げよう。だから――」


その声は囁くように、しかし確かに、少年の胸に響いた。白金の髪が月明かりに揺れ、豪華な衣装の襞が光を受けて輝く。


「この世の誰よりも――何よりも――」


金色の瞳を細め、カレンは微笑む。


「愛してたもれ」



その光景に痺れを切らした男達が声を上げ、武器を振りかざす。


「いい加減にしやがれ!」


「俺たちを無視してんな!」


「どんな化け物だろうが、こんだけいい女なんだ!俺たちが捕まえて犯してやる!」


カレンは静かに目を細め、淡々と告げる。


「妾達の蜜月の時を邪魔するとは、無粋の極み」


右手を軽く振るうと、その瞬間、男達は空中に吹き飛ばされた。まるで何か強く、重く、巨大な壁にぶつかったかのように。


男達の半分が宙を舞い、地面に叩きつけられた。


持っていた武器は折れ、へしゃげ、身体は不自然な方向に曲がっている。


仲間たちの惨状を目にした残りの男達に、恐怖と絶望が走った。


逃げようと足を動かす者もいた。


「逃げられると思うな」


カレンの低く響く声に、残りの男達の動きが一瞬止まる。


左手を静かに振るうと、逃げかけた数人が宙に舞い、地面に叩きつけられた。


まるで目に見えぬ力に押し潰されたかのように。


その姿は、もはや人間ではなく、圧倒的な神の力を宿した存在そのものだった。


その光景を見ていた少年は目を見開いた。


「カレン…おまえ…」


その視線に、カレンの身体が少し揺れた。


「おまえ様…こんなことする女は、嫌いかえ?」


恐る恐る問うカレン。


少年は一瞬だけ考え込むが、


「いや、強くて痺れた!カッケェ!」


その答えに、カレンの顔がパッと明るく輝き、Vサインを送った。


「じゃろ?」


静かに流れる夜の風の中、カレンの笑顔は一層妖艶で、少年の胸に熱を走らせる。


「さて、一気に片付けて憂さ晴らし…いや、二人の蜜月の時間を再開するとしようかの。何せ、夜は短いからの」


その声は柔らかく、しかし確かな威厳を帯びていた。


「さぁ、これで終いじゃ」


カレンが腕を振り上げ、そのまま一気に振り下ろすと、まだ立っていた残りの男達が、その場に押し潰されるように倒れ、動かなくなった。


少年は目を見開き、思わず声をあげる。


「すっげぇ!つっえぇ!かっけぇ!」


その賞賛に、カレンは得意げに微笑み、胸を張った。


「もっと褒めるがよい。妾は褒められるのが大好きじゃ」


踊るように優雅な足取りで少年に近づくと、自分より小さな少年の体を優しく抱きしめ、頬を寄せた。


「あぁ、これが妾の、妾だけの…」


恍惚に微笑むカレン。


「すげぇなー、強い、強くてキレイだ!最高だな!」


「そうじゃろう、そうじゃろう。おまえ様に愛されたくて、妾はこの姿と力とを、手に入れられたのじゃ」


カレンの声は甘く、しかし確かな決意を帯びていた。


「これでずっと一緒におれる」


その言葉に、少年もまた微笑み返す。二人の間に、静かで強い絆が流れた。


「それじゃあお前様。帰って、今夜は妾を愛してたもれ。ご褒美をおくれ」


カレンは上目遣いになり、頬を淡く染めた。胸の大きな膨らみがわずかに揺れ、金色の瞳が夜の光にきらりと輝く。


少年は少し見上げる形になる。


「え?一緒に帰る気なのか?それは無理じゃね?」


「なに?なんでじゃ!?」


カレンは小さく声を震わせ、必死に訴えるように見つめる。胸の丸みが揺れ、少女らしい仕草が際立つ。


「だっておまえ、昨日まで森の中にいたろ?いきなりつれ帰ったら、おかしいだろ?」


「しかし…しかし…一生一緒じゃと…」


少年は腕を組み、少し考え込む。


「そりゃ言ったけどさーおまえちょっと目立ちすぎるしなぁ、無理だろ?」


カレンはショックを受けたようにハラハラと身体を揺らし、その場に座り込む。


「なんでじゃ…すべてが完璧じゃと思うたのに…」


少年はふと考え込み、ぽつりと呟く。


「なんか、例えば指輪とかになれば、いつも一緒にいられるんだろうけどなぁー」


その言葉に、カレンの金色の瞳がぱっと輝く。胸の奥で熱い感情が弾けるように走った。


「それじゃ!」


カレンは跳ねるように手を伸ばし、胸の膨らみを揺らしながら少年に駆け寄る。顔いっぱいに笑みを浮かべ、金色の瞳が喜びに輝いていた。


カレンの金色の瞳が少年を見上げ、はちきれんばかりの笑みを浮かべる。


「おまえ様と、ずっと一緒にいたい…だから――」


その言葉と共に、カレンの身体が柔らかく光を帯びて揺れる。白金の髪はさらに輝き、衣装の裾が風にそよぐように漂う。胸の奥から湧き上がる熱い想いが、全身を光で包み込んだ。


少年の手元に光が集まり、カレンの身体は次第に縮み、掌の上で輝く一つの指輪へと形を変える。七色にきらめく角のような細工が指輪の上で静かに煌めき、豪華な衣装の意匠もそのまま刻まれている。


その瞬間、少年は息を呑む。


「カレン…おまえが…!」


指輪の中に宿るカレンの気配が、金色の瞳の輝きと共に確かに少年の手に届く。熱く、優しく、そして愛おしい感情が、二人を繋ぐかのように波紋のように広がった。


カレンの声は小さく、だがはっきりと少年の心に響く。


「これで…いつも、おまえ様と一緒…妾は、離れぬ――」


光が収まり、指輪としての形が完全に定まった。少年の掌で、カレンは今や永久にそばにある存在となった。


少年はそっと手のひらの上で光る指輪に触れた。


「妾のこの形態のことは、これから、そうじゃなー姫神と呼んでくれ。これはー契約じゃ。妾とお前様ーいや、主様。妾と主様との契約。妾は主様の体力でこの存在を維持できる。代わりに妾は、主様に力をやろう。妾の、鬼の剛力をー」


声は、耳ではなく、直接胸の奥に響いた。


少年は息を呑み、ゆっくりとその指輪を見つめる。そこにはもう少女の姿はない。だが確かに、さっきまでそこにいた存在の気配が、温もりとして残っている。


指先でそっと触れると、指輪がわずかに光を揺らした。


まるで応えるように。


少年は小さく笑い、静かに呟く。


「……ほんとに、指輪になりやがった」


そのまま、指輪を自分の指へとはめる。


ぴたりと吸い付くように収まり、次の瞬間――身体の奥から、確かな力が湧き上がった。


それは重く、荒々しく、だがどこか温かい。


カレンの存在が、今、確かに自分の中に繋がったと分かる。


夜の森の中で、少年はゆっくりと拳を握った。


その手にはもう、ただの少年の力ではないものが宿っていた。

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