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RUN&GUN ― 二人で一人の逃走譚 ―  作者: F94
第6章ー西大陸からの使者ー
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エピローグ

数日後、アダラたちは自分たちの国へ戻ることになった。


船にはアダラ、ビビ、それに十数名の部下たちが乗り込む。港にはベル、ミリィ、マリーナ、アルティシア、そしてアイザックが見送りに立っていた。


時刻は夜。静かな海面には月明かりが反射し、銀色の光が波間に揺れている。船の帆が風にたなびき、ゆっくりと港を離れていった。


アダラは船の上から手を大きく振り、笑顔で声を上げた。

「それじゃーみんなには本当に世話になった。何かあればいつでも言ってくれ!この恩は忘れない」


ビビも笑顔で手を振り返す。

「本当〜、ほんとーにありがと〜」


ベルは片手を軽く振って応えた。


アルティシアは丁寧に一礼しながら言う。

「わたくしも、今回の件では色々と良い経験となりました。我が国でも出来ることがありましたら、ご相談ください」


マリーナは少し笑みを浮かべ、船を見つめながら言った。

「アダラ姫、次は遭難しないようお気をつけください」


ミリィも小さな声で付け加える。

「…気をつけてくださいね」


アダラはふと顔をほころばせ、船の上から指を差して言った。

「おっと、帰る前にお前ら仲直りしろよ」


ミリィは顔を赤らめ、言葉に詰まる。

「そ…それは…」


ベルは首をかしげ、眉を上げた。

「仲直り?」


アダラはベルをじっと見つめ、少し笑みを浮かべながら言った。

「お前、気付いてないと思うけど、ミリィお前のこと怒ってんだよ」


ベルは眉を上げ、肩をすくめた。

「ミリィが?あー、だから最近何かよそよそしかったのか?」


ミリィは俯いたまま、言葉を返さない。


ベルは少し前に体を乗り出し、真剣な表情で言った。

「なんかわかんねぇけど、怒ってんなら言ってくれよ。俺は言われなきゃわかんねぇからさ」


ミリィは俯いたままで、なおも答えない。


アダラはため息混じりに手をひらひらさせる。

「ミリィ、言えって。一生そのままでいるつもりか?」


ミリィは小さく震える声で答えた。

「それは…いや、です」


アダラはくすくす笑いながら、手を合わせるようにして言った。

「だったら言えって。私もなんかもやもやするからさ」


ベルはさらに身を乗り出して、真剣な目で言う。

「言ってくれよ。頼む」


ミリィは少し考えるように目を閉じ、やがて顔を上げた。

「私…私も女の子です」


ベルは首をかしげた。

「いや、知ってるけど?」


ミリィは顔を赤らめ、小さく息をついた。

「そ、そーではなくて…」


ベルは首をかしげる。

「?」


ミリィは俯きがちに小さく言葉を続けた。

「この前、初めてアダラ姫達の船を見に来た時…ベルさんは私を肩に担いで走って」


ベルは肩をすくめ、少し笑いながら思い出した。

「あー、あったな、そんなこと」


ミリィは一気に顔を赤くして、強く言った。

「私のお尻…叩いたんです!」


ベルは目を細め、少し首を傾げる。

「そーだっけ?」


ミリィはキッとベルを見つめ、さらに声を強めた。

「いや、なんです!わた、私も、子供扱いしないで…ちゃんと、女の子扱いされたい…です」


言葉は尻すぼみになり、再び俯く。


ベルはそっとアルティシアを見ると、アルティシアは小さく頷いた。

次にマリーナを見る。マリーナも微笑みながら頷く。

最後にアダラとビビを見る。二人もにこやかに頷いた。


ベルは深く息をつき、前屈みになってミリィの肩にそっと手を置いた。


ベルはゆっくりと息をつき、ミリィの肩に手を置いたまま言った。

「悪かったな。確かに子供と思ってたし、子供扱いしてた」


ミリィは頬を膨らませ、黙ってそっぽを向く。


ベルは少し笑みを浮かべ、視線をまっすぐミリィに戻す。

「でも今からは、ちゃんと女扱いする。約束だ」


そう言うと、ベルは軽くミリィの尻を撫でる。


ミリィは思わず声を上げる。

「…!?」


ベルは軽く肩をすくめ、アルティシアとマリーナの方を見る。二人は顔を手で押さえて、必死に笑いをこらえていた。


次にビビとアダラを見ると、二人は思い切り大笑いしている。


ベルは首をかしげ、少し困った表情で言った。

「あれ?なんか違う?」


ミリィは真っ赤になり、必死の声で叫ぶ。

「べ、ベル、さん!」


ベルは振り向き、目を細めながら言った。

「なんだ?違ったか?」


その瞬間、パチン!

「さ...最低ですっ!」


ミリィのビンタがベルの頬を打った。


アダラは船の甲板でケタケタと笑い、涙を拭った。

「あーお前ら、ほんっと面白いな!」


その声のまま、ふと思い出したように船から降り、ベルに向かって駆け出す。

叩かれた頬を押さえ、腑に落ちない顔をしているベルに、勢いのまま両手を伸ばして抱きついた。


マリーナ、アルティシア、ミリィ、ビビが

「あっ」

と声を上げた。


そのまま、アダラはベルの唇に唇を重ねた。


マリーナ、アルティシア、ミリィ、ビビが再び

「あ、あぁーーーーっ!!」

と驚きの声を上げる。


しばらくベルに抱きついていたアダラは、満足したようにベルから離れると、また走って甲板に戻り、笑顔で振り返った。

「今回の礼と褒美だ!カダブランカ王女のキスだ、ありがたく思えよな!じゃーな!」


手を振りながら、船はゆっくりと出発し始める。


ベルは肩をすくめ、腑に落ちない顔のまま言った。

「そりゃーどうも、ありがとよ」


沖へとだんだん遠ざかる船を、ベルはじっと見つめながら、ぽつりと呟いた。


「なーんか、最後まで騒がしいやつだったな」


振り返り、皆に声をかける。


「な?」


だが、アルティシアは気を失ったかのように倒れており、アイザックが慌てて彼女を支えていた。


マリーナは自分の唇を押さえ、静かにぽつりとつぶやく。


「…なるほど…虚をついて奪うのも、ありなのか…」


ミリィは真っ赤な顔で、胸の前で手を握りしめながら、声を震わせてベルを見上げた。


「べ、ベ〜ル〜さ〜ん」


「あなたというひとは、本当に…」


ベルは眉を上げ、首をかしげる。


「えー、まーたなんか怒ってるのか?今度はなんだよ?」


ミリィは腕を組み、そっぽを向いたまま、全力で声を張り上げた。


「もう、知りません!!」


ベルはため息混じりに肩をすくめ、再び沖へ向かう船を見送った。


「…まあ、仕方ねぇな」


夜の港は静かで、月明かりが波を銀色に染めている。波の揺らぎに合わせて、船はゆっくりと遠ざかっていく。


ベルは小さく笑みを浮かべ、仲間たちの方に視線を戻した。


港に残った5人は、しばらく静かに夜の海を眺め、別れの余韻を胸に刻んだ。


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