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RUN&GUN ― 二人で一人の逃走譚 ―  作者: F94
第6章ー西大陸からの使者ー
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夜の三つ巴ー

アダラは勢いよく腕を振りながら、笑顔で声を張った。


「よぉ!1週間ぶりだな!魔王殺し!」


ビビはふわりと肩を揺らしながら、軽く笑う。


「こないだは〜なんだか色々ありがと〜」


ベルは少しぼんやりしながらも、手を上げて応じる。


「よー……」


アダラは首をかしげ、じっとベルを見つめる。


「なんでお前、元気ないの?」


ベルは肩をすくめ、軽く苦笑した。


「いやー……なんか状況まったくわかんなくて」


――目覚めると、今と同じようにベッドに腰掛けた状態で、左右をマリーナとアルティシアに挟まれていたらしい。


「ふふ〜やっぱりそういうのが落ち着くの〜?」


アダラは腕を組み、楽しそうに笑みを浮かべる。


「よーし、今日も楽しくなりそうだなー!」


アダラは部屋の中を見渡し、はっと目を見開いた。

「て、よく見たら、アルティシア殿下?」


アルティシアは微笑みを浮かべ、丁寧に一礼する。

「お久しぶりですわ、アダラ姫」


ビビはくすくすと笑いながら、肩を揺らす。

「ほんと〜おひさ〜」


その様子にベルは、思わず肩をすくめた。

「軽っ」


部屋の中には、一瞬の間が流れ、互いに顔を見合わせて小さな笑いがこぼれる。

アダラはにやりと笑い、腕を組んだままベルを見据える。


アダラは隣に立つ金髪の女性に目を向けた。

「そっちの金髪のあんたは?」


マリーナは落ち着いた声で、静かに頭を下げる。

「お初にお目にかかります。私は大陸警察地方特別捜査官、警部マリーナ・ベイ・マリスと申します」


その瞬間、アダラとビビの目が同時に大きく見開かれた。

「警察?警部?」


驚くのも無理はない。今夜のマリーナは、いつもの制服姿ではなく、胸元が大きく開いた真っ黒なカクテルドレスに身を包んでいた。腰まで大胆に入ったスリットからは、引き締まった美しい脚があらわになっている。


アダラは目をさらに見開き、信じられないといった表情でマリーナを見つめた。

「ほんとに警察なのか?」


ビビは肩を揺らしながら、くすくす笑った。


マリーナは落ち着いた表情のまま、軽くうなずいた。

「勿論であります」


アダラは眉を寄せ、目をキラリと光らせながら声を張る。

「その警部が?なんでベルにしなだれかかってんだ?アルティシア殿下もだけど」


言うとおり、左右から二人がベッタリと寄り添う形になっているベルの姿が目に入った。


ビビは肩を揺らしながら、ふわりと声を伸ばした。

「両手に〜花だね〜」


アダラは思わず目を丸くして、信じられないといった表情で部屋の光景を見渡した。

ベルは少し困ったように肩をすくめる。


ベルは肩をすくめ、少し呆れた顔で口を開いた。


「そーなんだよ……」


目をぱちぱちと瞬かせながら、周囲を見渡す。

「目が覚めたらこんなだしよぉ、ミリィは相変わらず口聞いてくんねぇし。お前ら一体何がしたいんだ?」


アルティシアはわずかに眉を上げ、落ち着いた声で応じる。

マリーナは腕組みを崩さず、にこりともしない表情でベルを見つめる。


ビビは肩を揺らしながら、ふわりと声を伸ばした。

「ふふ〜まあまあ、落ち着いて〜」


アダラは腕を組みつつ、目をキラリと光らせてベルを見つめる。

「お前……さっきから堂々と愚痴ってるけど、全然悪びれてないじゃーん」


ベルはため息をつき、視線を天井に向ける。

「……悪いとも思ってねーけどな」


アダラは少し肩をすくめ、周囲を見回しながら呟いた。


「こっちも状況よくわかんないけど、やっと会えたからには、先に用事済ませてもらっていいだろ?」


ビビは肩を揺らしながら、ふわりと声を伸ばした。


「1週間も〜待たされたんだし〜当然の権利だよ〜」


アルティシアとマリーナは目を合わせ、無言のまま意思を交わす。


マリーナ(どうします?)

アルティシア(さすがにいきなり何かしようとはしないでしょう。ここは交渉の前にイニシアチブを取るためにも、許可を)

マリーナ(了解)


二人は言葉も発さず、互いの視線だけで意思の疎通を図っていた。


ベルは少し呆れたように目を細める。


「なんか……仲良さそうだな、あんたら」


アルティシアは小さく微笑み、柔らかく頷く。


「どうぞ、本題に入る前に用事とやらをお済ませください」


「じゃ、お先に。ビビ」


「は〜い」


ビビはふわりと笑いながら、おもむろに胸布の中から小さな小瓶を取り出した。中には真っ赤な液体がゆらゆらと揺れている。


「ベル、ちょっとこれ飲め」


ベルは差し出されるまま小瓶を受け取り、ランプの光にかざして中身を見つめた。


「なんだこれ?」


「い〜からい〜から〜、飲んで飲んで〜」


ベルが蓋を開け、口元に小瓶を近づけると、アダラとビビは互いに目を合わせてニヤリと笑った。


その瞬間、ミリィが素早く前に出て、手を振り上げる。


「とりゃっ!」


小さなチョップが小瓶に直撃し、赤い液体入りの瓶は飛ばされ、部屋の中で軽く弾んだ。


「あっ」


アダラとビビは思わず声をあげ、ベルも目を見開く。


「突然何してんだよ、ミリィ」


ベルの言葉に、ミリィは無言でそっぽを向く。


「何すんだよ!それ一本しかない貴重品なのにー!」


アダラは声を荒げ、飛ばされた小瓶を見つめる。


「も、もったいな〜い!」


ビビは肩を揺らしながら、ふわりと声を伸ばした。


「それは一体、なんですの?」


アルティシアは目を大きく開き、驚きと呆れが入り混じった声を上げる。


「これか?カダブランカ王家に伝わる、1滴飲めばドラゴンも興奮するってゆー媚薬」


アダラが小瓶を指さしながら、得意げに説明する。


「すっご〜い効果らしくて〜人間が飲むと〜1週間は興奮しっぱなし〜!」


ビビは軽く肩を揺らし、楽しげに笑った。


「な、一体なんてものを飲ませようとしたのですか!?」


アルティシアは小さく眉を寄せ、警告するような視線を向ける。


「ミリィ、よくやった」


マリーナは静かに頷き、落ち着いた声で称賛した。


「あやしかったので、ピンと来ました」


ミリィはそう答え、少しだけ胸を張った。


アルティシアが勢いよく立ち上がり、声を張り上げた。


「アダラ姫、これはさすがに冗談では済まされません。魔王殺しベル・ジット様の保護を公表しているルグレシアの者として、正式に抗議させていただきますわ!」


マリーナも静かに立ち上がり、鋭い視線をアダラに向ける。


「未遂に終わったとはいえ、これはもはや犯罪行為。目の前で起きたとなれば、私も見て見ぬ振りは出来ません」


アダラはその場にどっかと胡座をかいて座り込み、肩をすくめる。


「冗談なんかじゃない。お前達の恋愛ごっこと違って、こっちは真剣なんだ」


周囲のミリィとビビは、おろおろと立ち尽くすばかり。


一方、部屋に入れてもらえず一階の酒屋で待機しているアイザックには、背筋にぞくりと悪寒が走る。


そしてベルは、少し退屈そうに視線を窓の外に向けた。


ベルは少し身を乗り出し、眉をひそめて問いかけた。


「なぁ……そろそろ教えてくれないか?」


その言葉に、一同の視線がベルへと集まる。


「なんで人の部屋で集まってんだ?」


アルティシアは少し目を細め、口元に微かな笑みを浮かべる。

マリーナは腕を組み、冷静にベルを見つめた。

アダラは胡座のまま、くすくすと笑いながら視線を外さない。

ビビはふわりと肩を揺らし、楽しげに目を輝かせている。


ベルはその視線を一通り受け止め、軽くため息をついた。


「なんなんだよ、今日は」


アダラは胡座のまま、鋭くベルを見据えた。


「じゃあ担当直入に言うけど、責任とってくれよ」


ベルは肩をすくめ、首をかしげる。


「責任て、なんの?」


アダラは目を光らせ、さらに一歩ベルに迫る。


「お前、ビビの裸見ただろ?」


ビビは両手で頬を押さえ、くねくねと体を揺らす。顔は真っ赤に染まっていた。


「そりゃ、お前が……いや、まぁ確かに見たは見た」


アダラは声を張り、強めに言う。


「その責任とって、ビビを嫁にしろ。ビビはお前のせいでもう嫁に行けない身体になったんだからな!」


ビビは嘘泣きの声を漏らし、手を胸に当てたまま訴える。


「も〜あんなことされたらお嫁に行けないよ〜」


ベルは眉をひそめ、半分呆れた声で答える。


「なんっか、ぜんぜん腑に落ちねぇんだけど」


アダラはさらに目を輝かせ、軽く笑った。


「ビビのおっぱい見たろ?」


「見たな」


「でかかったろ?」


「でかかったな」


「じゃ、いいだろ?」


アルティシアは呆れた表情で、声を荒げる。


「全くよくありませんわ。なんですか、その強引な屁理屈は」


アダラは肩をすくめ、真剣な眼差しをベルに向ける。


「強引にもなるさ、こちとら命懸けなんだ」




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