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RUN&GUN ― 二人で一人の逃走譚 ―  作者: F94
第6章ー西大陸からの使者ー
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ビビ参戦ー

「じゃ〜そろそろいっくよ〜!」


ビビの紋様が全身で光を帯び、鞭に炎と氷が渦巻く。跳躍し旋回するたび、鞭は空中で軌道を変え、小さな炎球や氷の刃を飛ばす。甲板を巻き込む火花と氷片が、夜風に揺れて光る。


ベルは体を滑らせ、鞭を弾きながら攻撃の圧を逆手に取る。炎の渦をかすめ、氷の刃を払い落としつつ、わずかな隙を見つけて側面に回り込む。


ビビは跳躍を続け、甲板の手すりや傾斜を利用して軌道を変化させる。鞭の先端から飛び出す炎と氷が渦を描き、普通の攻撃の連続とは明らかに違うリズムを生む。


「……くっ」


ベルは冷静に受け流すだけでなく、跳ね返った氷片を盾代わりにして、鞭の勢いを反動に変え反撃を加える。炎の鞭を横に逸らし、体勢を保ったまま距離を詰める。


ビビの攻撃は一瞬の静寂も許さない。跳躍、旋回、鞭の振り、属性魔法──すべてが連動し、港の狭い甲板で二人の攻防は複雑なリズムを刻む。


ベルは短く息をつき、鞭の流れを読みながら次の反撃のタイミングを探る。目の前で炎と氷が絡み合う光景の中、冷静な目だけが戦況を追っている。


「カタナ!やるぞ!」


ベルの肘から鋼鉄の刃が伸びる。刃は光を反射し、鋭い存在感を放ちながら戦闘体制に入る。


ビビは跳躍し、鞭を振るう。炎と氷が渦巻き、鞭の先端から飛び出す火球と氷片が港の甲板に衝突して飛び散る。夜風に巻き上げられ、攻撃は複雑な軌道を描く。


ベルは肘刃で鞭を弾き、炎の渦をかすめて側面に回り込む。跳ね返った氷片を盾代わりにし、鞭の勢いを反動に変えて反撃。鋼の刃で氷の刃を押し返す。


ビビは甲板の傾斜や手すりを利用して回転し、鞭の軌道を変化させる。炎の小球と氷の刃が交錯し、二人の攻防は一瞬も止まらない。


ベルは次の攻撃の隙を冷静に狙い、鋼の肘刃を構えたまま攻防のリズムを刻む。


ベルは鋼の肘刃を軌道に沿わせ、鞭の炎と氷を弾く。跳ね返った氷片を盾に、火球を横に逸らす。瞬間、体勢を低くして鞭の隙間を抜け、側面から肘刃を振り抜く。


鞭が弧を描き、炎が跳ねる。ベルは一歩踏み込み、跳ね返る力で鞭を押し返す。氷片が散り、甲板の手すりに火花が弾ける。


ビビは素早く体勢を変え、鞭を回転させながら炎と氷の連続攻撃を再び仕掛ける。しかし、ベルは鋼の刃を使い、攻撃を受け流しながら反撃のタイミングを計る。


火球が甲板に衝突し、氷の刃が跳ねる。ベルは刃の反動で体を旋回させ、鞭の軌道を利用して側面に回り込む。肘刃が鞭の中心に当たり、攻撃の勢いを逸らす。


「グ・レイド〜!」


ビビの紋様がひとつ光る。瞬間、皮膚の表面が鋼鉄のように硬質化し、全身が鎧のように変化する。鞭を振るう動作と同時に、その鋼鉄の腕でベルの肘刃を迎え撃った。


ベルの鋼の肘刃が衝突する。火花が散り、金属が軋む。刃は折れないが、衝撃で振動が全身に伝わる。


「やるなぁ!」


ベルの言葉に応えるように、ビビは鋼鉄の手で刃を押し返す。跳躍しながら鞭を再度振るい、鋼の腕と魔法の渦で攻撃を重ねる。


「そっちこそ〜ビビのとっておきなのに〜!」


火花が舞い、氷片が跳ねる。複雑な攻防が続く。ベルは刃の反動を利用し、鋼鉄化した腕に当たる圧をかわしつつ、次の隙を探る。


「アカリ!穿て!」


ベルの拳が光に包まれる。力を込め、そのまま前方へ殴り出す。拳が夜風を切り、衝撃波が甲板を揺らす。


「ド・ライド!」


ビビの紋様がひとつ光り、足元の甲板から土の槍が飛び出す。ベルは寸前で身を翻し、鋼の肘刃で衝撃を逸らす。槍は跳ね、甲板に衝突して破片を散らした。


二人の攻防は途切れない。ベルの拳が光を帯びて迫る瞬間、ビビは土の槍と鞭を連動させ、攻撃の軌道を複雑に変える。


ベルは跳ね返る衝撃を利用し、拳を振り切った後すぐに体勢を変え、次の攻撃を狙う。ビビは鋼鉄化した腕で鞭を操り、土の槍を間合いに組み込みながら再度跳躍。二人の攻防はリズムを刻むように続く。


「やるね〜魔王殺し、ほんとかも〜」


「だからそうだって!」


「ミカゲ!捕まえろ!」


ベルの足元の影から、数本の黒い影が伸びる。ビビを絡め取ろうと、触手のように這い上がる。


ビビは跳躍し、鞭を振りながら絡みつく影を避ける。氷の刃が飛び、炎の渦が交錯する中、影をかすめて側面に回り込む。


「こわ〜っ」


鞭が影に触れ、跳ね返る火花と氷片。港の夜風が巻き上げ、光と破片が舞う。ビビは跳躍と回転を組み合わせ、影に絡め取られないよう巧みに距離を保つ。


ベルは肘刃を構えたまま、次の攻撃の間合いを冷静に狙う。影の数本がビビの進路を塞ぐが、ビビは鞭と跳躍で瞬時にかわし、反撃のチャンスを探る。


ビビがチラリとアダラを見る。

アダラは軽く頷き返す。


「じゃ〜すっごいことしてあげるね!」


ビビの紋様のいくつかが連動するかのように点滅し、甲板に淡い光が走る。


ベルは鋼の肘刃を構え、目を見開く。

「なんだ…?」


ビビの立ち振る舞い、攻撃の軌道、全身から漂う圧力が変化する。


ベルは間合いを維持しつつ、次の瞬間を狙う。

ビビの攻撃が、ただの跳躍や鞭ではなく、圧そのものを伴って迫ってくる。


「風の精霊ールドラよーアン・ルドラ〜!」


ビビの背後に風の精霊が浮かび、彼女の身体に重なる。西の大陸特有の魔術、それは術師の身体を依代にして精霊を下ろす。いわば召喚術。今、ビビは半精霊となっている。


鞭が旋回し、炎と氷の小球が跳ねる。風の渦に導かれ、軌道は予測困難に変化。


ベルは肘刃を構え、跳ね返る氷片を盾にして回避する。

「そこだ!」


ビビは跳躍し、旋回しながら鞭を振るい、土の槍を瞬時に生み出す。


「なんだそりゃ!やっべぇな!」


ベルは鋼の肘刃で鞭を弾き、側面から反撃を狙う。風の精霊の加速で攻撃は速く、軌道も複雑だ。


ビビは甲板上で回転と跳躍を組み合わせ、鞭を自在に操る。二人の攻防は止まらない。


「のらりくらりしやがって…カレン!」


「力貸してくれ!」


ベルの全身に圧倒的な力がみなぎる。足裏から甲板を蹴る衝撃が波のように伝わり、空気を震わせる。


そのまま、一気に駆け出す。


風の精霊に乗った鞭と火球、氷刃が迫る。だがベルは剛力で押し返し、跳ね返す。火花が散り、氷片が飛ぶ中、全速力で距離を詰める。


「…ここだ!」


土の槍が飛び、鞭が振るわれる。だがベルは力で弾き飛ばし、一歩ずつ前へ前へ。風の渦に巻かれても体勢を崩さず、衝撃を押し返す勢いに、ビビの瞳がわずかに見開かれる。


「え…!?」


ベルの剛力は波のように連続し、圧そのものが迫る。ベルは一気に接近。ビビの攻撃が反射されるたび、周囲の空気が裂けるような衝撃が走る。


「ちょ、ちょっと〜!」


ベルの全身にみなぎる剛力が、一気に距離を縮める。

彼はビビの懐に飛び込み、両腕でビビの身体を抱きしめる。

両腕で抱きしめられた瞬間、ビビは体を強く跳ねさせる。


「え!?ええ!?そ…そんな〜いきなり〜!」


アダラは思わず顔を赤くし、目を逸らす。

その視線も気にせず、ベルは全身の力をさらに込める。


ビビの手足はばたつき、悶絶の声を漏らす。

「や、やめ…っ、そんなに…!」

だが腕はびくともしない。

全身を締め付ける圧力が、まるで鋼鉄の枷のようにビビを縛る。


ベルの息遣いだけが、静かな嵐の中で力強く響いた。


「このまま…終わらせてもらうぞ」


ビビは必死に体をよじり、腕や足を動かすが、ベルの力はびくともしない。

「んっ…くっ…や、やめ…っ!」


彼の腕の圧力は、まるで時間そのものを止めたかのように重く、ビビの呼吸を刻むたびにさらに締まる。


二人の緊張で一瞬、世界が止まったかのように感じられた。


「んっ…く、くそっ…!」


ビビは全力で手足をばたつかせる。鞭や土の槍を生み出そうとするが、ベルの腕の圧力に阻まれる。

「や、やだ…こんなの…!」


ビビは必死に体をよじり、膝蹴りや跳躍で逃れようとするが、剛力で抱えられたままびくともしない。


「離せ…っ、離してよ〜!」


それでもビビの目は鋭く光る。風の精霊が残した渦が、わずかに腕や足を押し流す。


「くっ…ここで終わるわけ…ないんだから…!」


全身を半精霊化した力で押し込むビビ。鞭の先端に炎を纏わせ、氷の刃を跳ねさせ、腕や足でベルの体を揺らす。しかしベルの剛力は圧倒的で、体の揺れはわずかにとどまる。


「…まだいくか?」


ベルはゆっくりと息を整え、抱えたまま港の甲板に立ち尽くす。圧倒的な剛力が、港の夜に静かな余韻を残した。


「カレン!剛力、二倍!」


全身の力がさらに倍増し、腕の圧力がビビを押し潰すように強まる。


ビビの顔色が一気に真っ青になり、口元が小さく泡を吹く。必死に手足をばたつかせるが、圧倒的な剛力の前に抵抗は意味をなさない。


「う、うっ…あ…ああっ!」


そのまま、ビビの身体が力尽きて沈む。


ビビの身体が力尽き、泡を吹いたまま意識を失う。


ベルは腕の力をゆっくり緩める。抱きしめた圧が消えると、ビビの体は重く、だらりと腕の中に沈んだ。


「……くっ」


ベルはそのままビビをお姫様抱っこにし、慎重に持ち上げる。静かな余韻が残る。


「ふぅ……あー、つっかれたー」


アダラは目を丸くし、思わず手で口元を覆う。


「ビ、ビビー!」


アダラが駆け寄ってきて、ベルの腕の中で気絶したままのビビに縋り付く。


「もう満足したろ?このまま運んでやるから、どこ行けばいい?」


アダラは少し悔しそうに答える。

「……特に決まってない」


ベルが眉をひそめる。

「何だって?」


「体調よくなって騒いでたら、診療所追い出されたの」


「他の奴らは?いっぱいいたろ?」


アダが首を左右に振る。

「たぶん朝まで飲んだくれてる」


ベルは肩をすくめて、淡々と告げる。

「しゃーねぇ、じゃー俺らの宿へ行くぞ。ミリィの部屋にでも泊まれ」


アダラの目がぱっと輝く。

「いいのか?」


ベルは無言でうんうんと頷く。


ベルの腕に抱かれたビビが微かに揺れる。

アダラはそっと顔を寄せ、気絶したビビの温もりを確かめるようにして、安心したように息をついた。






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