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RUN&GUN ― 二人で一人の逃走譚 ―  作者: F94
第6章ー西大陸からの使者ー
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難破船の主ー

ベルが港に連絡を入れると、港の職員が手分けして人手を集め、遭難者達を街の診療所まで運んでくれた。


船は今夜はその場に停泊させ、明日、港まで運ぶらしい。その辺りは港に任せる。


「何かあったら連絡してくれ。宿はここだ」


簡潔に伝えると、もうできることはなかった。


二人は宿に戻る。

夜風が頬を撫で、波の香りがかすかに漂う中、ベルは黙って足を進める。


ミリィは相変わらず何も言わず、後ろをついてくる。


宿に着くと、ベルは簡単に部屋の鍵を受け取り、腰を下ろした。


「今日はもう何もねぇな」


ミリィは小さく頷き、二人はそのまま夜を静かに過ごすことになった。


今夜は宿に帰って寝よう。


翌日、宿の小さな食堂で二人は遅めの朝食をとっていた。


ミリィはフォークを小さく動かしながら、昨夜のことをぽつりぽつりと話す。

「ベルさん……昨日の船、港の方で少し騒ぎになってたみたいです」


ベルはパンを口に入れたまま、思わず眉を上げる。

「え……昨日、そんなことがあったんだ?」


ミリィはうなずき、少しだけ申し訳なさそうに目を伏せる。

「はい……港の人から連絡が来るまでは、安否もわからないそうです」


そのとき、宿の扉が静かに開き、港の関係者らしい男性が入ってきた。

手には書類を持ち、落ち着いた足取りで二人の席まで歩いてくる。


「お二人様ですか。昨夜の船の件で、確認の報告に参りました」


ベルは身を乗り出して、少し緊張しながら訊ねる。

「どうですか……みんな、大丈夫ですか?」


港の職員は書類を見せながら、小さく頷く。

「全員、目を覚されました」


ベルはほっと息をつき、笑顔を浮かべた。

「よかった……本当に無事だったんだね」


ミリィも小さく微笑み、肩の力を抜く。

「これで一安心です」


港の職員は昨夜の処置や今後の対応について丁寧に説明を始めた。

二人は安心しつつも、しっかりと耳を傾けていた。


ベルは立ち上がり、ミリィに手を差し出す。

「よし、私たちも診療所に行ってみようか。みんなの様子、ちゃんと見たいし」


ミリィは小さく笑みを浮かべ、ベルの手を握る。

「はい、私も気になります」


二人は宿を出て、港の通りを歩く。朝の光が差し込み、海からの風が心地よく顔を撫でる。


やがて診療所の前に到着すると、港の職員たちが出入りし、忙しそうに動き回っていた。


ベルは小さく息をつき、診療所の入口を見つめる。

「みんな……ちゃんと無事でありますように」


ミリィもそっと頷き、ベルの隣で立っていた。


診療所の中、倒れていた人々の意識がゆっくりと戻り始めた。


ミリィは一人ひとりの顔を確認しながら歩いた。白い肌に肩下までの白髪をした少女と、長い黒髪の少女がこちらを見上げている。


白髪の少女は弱々しく微笑み、かすれた声で言った。

「助かった……ほんと、ありがと!」


長い黒髪の少女も、少しふんわりとした口調で続ける。

「もうダメかと思ったけど……本当に助かった〜ありがとう〜」


ミリィは優しく微笑み、二人に軽く手を振った。

「よかった……無事で本当に安心しました」


ほかの倒れていた者たちも、体を起こしながら小さな声で言う。

「ありがとう……助かった!」

「命拾いしたよ!」


白髪の少女は少し力を込め、言葉を続けた。

「本当に……ありがと!」


黒髪の少女も息を整え、にこやかに言った。

「助けてもらえて……嬉しいです〜ありがとう〜」


ミリィは落ち着いた声で返す。

「港の方々も手伝ってくださったおかげですよ」


ベルは隣で静かに見守り、皆が無事であることを確認した。

診療所の空気は穏やかで、港の朝の光が差し込む窓から柔らかく照らされていた。


ミリィは深く息をつき、倒れていた人々の回復を見守りながら、少しだけ安心した表情を浮かべた。


診療所の中、少しずつ皆の表情が落ち着いてきた。


白髪の少女がにこりと笑い、口を開く。

「ねぇ、あたしはアダラ。助けてもらっちゃって……ほんとありがとう!」


黒髪の少女も微笑み返しながら、ふんわりと言った。

「私はビビ。アダラと一緒にいるの。助かって……嬉しいです〜ありがとう〜」


ミリィもにこやかに微笑み、手を軽く振って応える。

「私はミリィです。港の人たちも手伝ってくれましたけど、まずは私が皆さんの無事を確認したくて」


アダラは興味津々といった様子でミリィを見つめる。

「ふーん、ミリィね!よろしく〜」


ビビもにっこりと笑い、手を差し出す。

「よろしく〜」


ミリィは微笑み返し、隣で少し恥ずかしそうにしているベルの方を振り向く。

「そしてこちらがベルさんです。私と一緒に港の様子を見てくれたんです」


ベルは少し照れくさそうに手を軽く挙げる。

「は、はじめまして……みんな無事でよかった」


アダラは目を輝かせてベルに近づき、興味津々に顔を覗き込む。

「ふーん、ベルさんか〜!よくやってくれたね」


ビビもにっこり笑いながら、ベルに向かって小さく手を振った。

「ありがとう〜!」


ミリィは二人のやり取りを微笑みながら見守りつつ、倒れていた人々の体調を気にかけていた。


アダラは興味津々に目を輝かせ、ミリィに問いかけた。

「そんで?ミリィが助けてくれたんでしょ?」


ミリィは少し顔を赤らめながら答える。

「ハイ、でも私というよりベルさん……えっと、もう一人同じ名前の男の人がいて、そっちのベルさんが助けたんです」


アダラは頭をかしげながらも、目を輝かせて言った。

「よくわっかんないけど、その人にもお礼したいな!」


ビビもにっこり笑って言う。

「私たちの〜恩人だもんね〜その人は今どこ?」


ベルは少し照れくさそうに肩をすくめた。

「あーあいつ……彼は今ちょーっと用事でいないから、後で連れてくるよ」


アダラは目をキラキラさせ、ビビも微笑み、二人とも少しワクワクした様子でベルの言葉を聞いていた。


ミリィは隣でそっと微笑みながら、皆のやり取りを見守っていた。






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