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RUN&GUN ― 二人で一人の逃走譚 ―  作者: F94
第6章ー西大陸からの使者ー
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船にはー

やがて二人は船のすぐそばにたどり着いた。


潮に揺られ、ゆらりと波に揺れるその船は――


やはり、難破船のように見えた。


帆は裂け、甲板には人影もない。


静まり返った海の上で、きしむ木の音だけがわずかに響く。


港の明かりが、甲板にかすかに映り込み、船の荒廃ぶりを淡く照らしていた。


ベルは肩からミリィを下ろすと、軽く足を踏みしめて立たせた。


「よし、降りろ」


ミリィはむっとした顔で、ぶすっと黙ったまま立つ。


ベルはそれをちらりと見て、にやりと笑う。


「なんだー、変なやつだなー」


そう言うと、まったく気にせず前に歩き出した。


ミリィは腕を組み、そっぽを向いて無言のまま。


ベルが何か声をかけても、応じる気はまったくないらしい。


「……まぁ、いいか」


ベルは小さく肩をすくめ、再び船の甲板に視線を戻す。


荒れた木の甲板の向こう、微かに揺れる影が、二人をじっと見つめていた。


ベルは甲板の方に視線を集中させ、足を止めた。


――微かに、動く気配。


銀髪を風になびかせながら、ゆっくりと頭を傾ける。


「……誰かいるみてぇだな.」


船の揺れと木の軋みの向こうで、確かに人の存在を感じた。


ミリィは腕を組んだまま、黙ってその様子を見ている。


声も出さず、ただ不機嫌そうに。


ベルは小さく息を吐き、慎重に一歩踏み出す。


「近づいてみるか」


微かな呼吸の音が、港の静けさに混じって聞こえる。


ベルの瞳は鋭く、影の方へと向けられた。


ベルは甲板を慎重に進みながら、船の奥を見渡した。


そこには十数人の人影が横たわっていた。


誰一人、ぴくりとも動かない。


肩までの白髪で小柄な少女――まるで子供のような体型の者。

長い黒髪で、落ち着いた姿勢の少女。

他にも大小さまざまな体格の人々が、甲板に倒れ、静かに揺れるだけだった。


波に揺れる甲板の上で、彼らの衣服や髪が微かに揺れる。


ベルは足を止め、息を整える。


「…なんだこいつら」


ミリィは腕を組んだまま黙って見つめている。


声も出さず、ただ、銀髪の少年ベルの隣で状況を見守るだけだった。


ベルは甲板の人影をじっと見つめた。


1人を除いて、黒髪に褐色の肌、西大陸の民族特有の見た目と服装。


小柄な者、大柄な者、男女さまざま――だが、全員、ぴくりとも動かない。


「難民……か?」ベルは小さく呟く。


しかし、よく見ると全員が独特な装束を身につけていた。

ゆったりとしたパンツに長いチュニック、腰には曲刀や短剣、頭には布を巻いている者が多い。

手元やそばに散らばる弓や小型の武具が、緊張を漂わせていた。


「……海賊か?」ベルは呟く。


波に揺れる甲板の上、倒れた人々の衣や武器が港の灯りにかすかに反射する。


ミリィは腕を組み、黙ってその様子を見守る。


ベルは銀髪を風になびかせながら、一歩ずつ、倒れた者たちの間を慎重に歩いていった。


ベルは倒れた人々を前に、銀髪を揺らしながら言った。


「ミリィ、そっちから様子確認してくれ」


ミリィは腕を組んだまま、無言で小さく頷く。


二人は甲板の間に散らばる人々の間を歩きながら、倒れている者たちの安否を確認して回った。


ベルは手早く呼吸を確認し、倒れている人の手足を軽く揺らす。


ミリィも黙々と、しかし慎重に、倒れた人々の顔や体勢を確かめる。


港の灯りが波間に揺れ、二人の影を甲板に映す。


静まり返った船上で、ただ二人の足音と衣擦れの音だけが響いた。


二人は甲板をゆっくり回りながら、倒れている人々を確認していった。


幸い、全員の呼吸はある。


だが、体はどれも衰弱しきっていて、意識も朦朧としている者がほとんどだ。


ベルは銀髪を揺らし、肩をすくめて呟いた。


「遭難かー……」


ミリィは腕を組んだまま、無言で小さく頷く。


夜の港の静けさが、二人をひんやりと包み込み、波の音だけが甲板に響いた。


ベルは倒れた人々の顔をひとつずつ確かめながら、じっと考え込む。


「こりゃ、とりあえず、やっぱ港に連絡だな」


潮風に揺れる船の上、銀髪の少年は慎重に、しかし迷いなく歩を進めていった。





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