表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
RUN&GUN ― 二人で一人の逃走譚 ―  作者: F94
休憩しましょ。
127/168

脳内姫神会議

脳内姫神会議――


丸いテーブルに姫神たちが集まる。いや、もうテーブルなんて関係なし。誰かは机の上、誰かは床に座り、誰かは宙に浮かび、全員が好き勝手に自己主張している。


ミカゲは相変わらず冷静、上品、そしてちょっと怖い。

「皆様……本日の議題、昼のベルが表に出ている間、夜の彼は眠り、私が側にいた件について――」


カタナはぴょんぴょん跳ねながら叫ぶ。

「えええー!?マジでー!?ずっとそばにいたのに誰も知らなかったなんてウソでしょー!?」


エンカは腕組みして眉をひそめる。

「ったく、聞いてねぇじゃねぇか……あんた一人で勝手に決めんなよ、ミカゲ」


カレンは高飛車に口を尖らせる。

「妾に隠すとは…なんとまぁ、面白き愚策じゃのう」


アカリは小さく震えながら、ちょっと泣きそう。

「わ、私も知りませんでした……なんで誰も教えてくれなかったんですか……」


ミズキはのんびり笑いながら。

「まあまあ、夜のベルが安心して眠れたなら、それでよいのでは……?」


ユキメは拳を振り上げて熱血モード。

「ふざけんなー!知らなかったとか、ありえねぇだろ!俺だって知りたかったんだぞ!」


リューナは鼻を鳴らし、傲慢に。

「ちっ、まったく……私には関係のないお話ですわね。どうでもいいですわ」


キザミは片言で。

「ぼく、ぼく…なんか怒る?怒る?」


イバラキはツンデレ炸裂。

「別に怒ってなんかないんだからね!びっくりしただけよ、ほんとに!」


カタナが突然テーブルを叩き。

「ちょっとー!みんなー!笑いすぎじゃない!?信じられなーい!」


エンカも突っ込む。

「お前、そっちかよ!笑うとこちゃうだろ!?」


カレンが誇張して手を振る。

「妾は笑っておらぬわ、ただ…状況が滑稽すぎてのう!」


ミカゲはため息ひとつ。

「……皆様、本当に落ち着きがなくて困りますわね。昼の彼が無事で、夜の彼も守られていた――それだけで事は済んでいるのに」


カタナは小首を傾げ。

「えーでもでも、秘密ってドキドキしますよね!なんか楽しい!」


アカリは小さく顔を赤らめ。

「そ、そんなこと言って……」


ユキメが豪快に笑う。

「おいおい、あんたらマジで平和すぎだろ!」


リューナは手を組み、鼻を鳴らす。

「ふん……まったく、こんなに騒ぐなんて下賎な連中ですわ」


最後に、ミカゲが白い手でゆっくりテーブルを叩く。

「……まあ、結果オーライですわ。昼も夜も、ベルは守られた。これ以上騒ぐ必要はありませんのよ」


全員が一斉に反論しようと口を開くが、互いの声でかき消され、結局会議は収拾がつかないまま終了――というか、もう誰も議題なんて覚えていない。


会議室のような脳内空間で、眠ったままの夜ベルを囲む姫神たち。


カレンが真っ先に両手を広げて声を張る。

「妾によこせ!」


ミカゲは涼やかな声で静かに遮る。

「……嫌です。絶対に渡すことはできませんわ」


カタナはぴょんと跳ねて手を伸ばす。

「えー、なんでー!私も触りたいよ!」


エンカは腕組みし、姉御肌全開で睨む。

「ふん、俺もだ。勝手に取れると思うなよ」


カレンが鼻を鳴らし、じりじり前に出る。

「ふん、ならば妾が力ずくで――」


アカリは小さく頭を下げ、気弱に。

「わ、私も……いただくわけには……」


ミズキはおっとり、のんびりと。

「まあまあ、落ち着いて……皆で順番に……」


ユキメは拳を握って熱血モード。

「やるなら力ずくだ!絶対に渡させねえ!」


キザミは片言で手を伸ばす。

「ぼく…ぼくも…ほし…」


イバラキはツンツン顔で。

「別に欲しいわけじゃないんだからね!勘違いしないでよ!」


眠った夜ベルはまったく無反応。姫神たちは互いに押し合い、けん制し、時折「どかせ!」「どけ!」と口々に叫ぶ。


しかしミカゲだけは落ち着いた微笑みで、優雅に手を組む。

「……どんなに争おうとも、私の側から離れませんわ」


カレンが眉をひそめ、仕方なく後ろに下がる。

「……ふん、妾の手でなくとも、そう簡単には渡さぬ、ということか」


エンカもため息をつきながら後退。

「……いや、さすがにこれは手強いな」


その場には姫神たちの押し合いと怒号だけが残り、眠った夜ベルはまったく微動だにせず、全員が疲労感と諦めの空気に包まれるのだった。


眠った夜ベルを前に、姫神たちはどうしても順番を決めたい。


カレンが胸を張って声高に宣言。

「そうじゃ!じゃんけんで決めるのはどうじゃ?」


カタナがぴょんぴょん跳ねる。

「おー!いいね!じゃんけんで決めちゃおう!」


エンカは腕組みし、姉御肌全開で。

「しょうがねぇな、じゃんけんで決めるか。負けたら……責任はとってもらうぜ?」


アカリは小さく手を合わせ、気弱に。

「わ、私も……えっと……」


ミズキはのんびり笑いながら、

「じゃんけんですか……まあ、それなら……」


ユキメは拳を握り、熱血全開。

「絶対に負けねえぞ!誰が相手だろうとぶっちぎる!」


リューナは高飛車に鼻を鳴らし、

「妾の勝ちは既定路線ですわ。ふふん」


キザミは片言で、

「ぼく…じゃん…けん…」


イバラキはツンツン顔で、

「別に負けてもいいけど……勝てたらちょっと嬉しいだけ」


さあ、勝負だ!

「じゃんけん……ぽん!」


最初は順当に手が揃いそうだったが、カレンは「ずるい!」と連呼、カタナはぴょんぴょん飛び跳ねて手を入れ替え、ユキメは叫びながら指をパチパチ。

エンカが「お前ら落ち着け!」と叫ぶも、誰も聞かない。

ミズキはのんびりと「まあまあ落ち着いて……」と呟き、リューナは勝利を鼻で笑い、キザミは手がつりそうになっても片言で「もう…い…や…」と耐える。


気付けば、姫神たちの声と手の動きは戦場のように乱れ、机や椅子を蹴飛ばして大騒ぎ。

「ちょっと待てー!」「やり直しー!」「ずるいわよ!」


そんな喧騒が、ついに眠った夜ベルの耳に届いた。


「うっせぇぞ!!」


寝言で怒鳴ったその瞬間、姫神たちは全員、ぴたっと動きを止める。シュンと肩を落とし、顔を伏せ、口々に小さく、


「……ごめんなさい……」


ベルは相変わらず眠ったまま、何事もなかったかのように呼吸を続け、脳内姫神会議は一瞬の静寂に包まれた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ