表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
RUN&GUN ― 二人で一人の逃走譚 ―  作者: F94
第5章ー炎神の子ー
112/160

聖戦ー

神殿最深部──天高くそびえる石柱に囲まれた広間は、闇と光が交錯する神聖な空気に満ちていた。漆黒の大理石の床は、長年の荘厳さを静かに映し出し、両脇には歴代教皇の肖像画が並ぶ。


中央に据えられた玉座には、神殿国家群の教皇が座していた。白金に輝く法衣を身にまとい、その眼差しは冷厳かつ深淵のように重い。広間の空気は、その一挙手一投足に従うかのように凍りつく。


教皇が立ち上がり、ゆっくりと両手を広げると、その存在感だけで広間の空気が震える。側近の高位神官たち、玉座を囲む神殿騎士団長たちは、声を発することもなく、その姿を見上げてひれ伏す。


「我、神殿国家群の教皇たる者、ここに宣言せん。」

その声は広間の奥底にまで響き、石柱に反響して倍音を奏でる。

「魔王殺しベル・ジットに関わる全ての街、村、国家に告ぐ。異端を匿う者は、いかなる正当性をも持たぬ。教会、大陸警察、ギルドであろうと例外ではない。」


教皇の声が広間に響き渡るたび、神官や騎士たちの胸の奥に決意が宿る。言葉に頷き、短く息を整え、互いの視線を交わすだけで、全員が一つの意思を共有する。


玉座の背後に吊るされた巨大な紋章が、教皇の声に合わせてかすかに光を放つ。まるで全世界に向けてその宣言が投影されるかのようだ。


神官たちは額を床に近づけ、神殿騎士たちは剣の柄に手をかけ、全身で教皇の意志を受け止める。言葉はない。反応は、全員の沈黙と立ち姿に集約される。


「世界秩序を乱す存在を討ち、秩序を回復せん。世界をあるべき姿に戻すため、我ら神殿国家群は総力をもって行動する。」


教皇は一歩前に進み、その手を空に掲げる。光が微かに広間を満たし、荘厳さが頂点に達する。


「これを以て、世界に告ぐ──これは、聖戦である。」


玉座の背後の紋章が光を帯び、神殿騎士の鎧や神官の法衣に反射する。光は、広間の奥底にまで届き、皆の心を揺さぶる。


教皇の手が空に向けられると、広間に集う全員が無言でそれに従う。沈黙の中で、天と地にその意志が伝わるかのようだった。


そして教皇の声に呼応するかのように、広間に集う神官と騎士たちは、息を合わせ──


「世界をあるべき姿に」


その言葉が、石柱の間を渡り、神殿の奥深くにまで響き渡る。静かで厳かな響きは、やがて外の世界にまで届くように思えた。


言葉と同時に広間に鳴り響いた鐘の音が、遠く街や村にまで届くかのように響き渡った。世界の片隅で、戦いの序曲が今、静かに幕を開けたのであった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ