第3章「祭りの計画、始動!」
田舎町の祭りには、決まりごとがある。
いつもと同じ屋台、同じ神輿、同じ順路。
けれど、神様はそういう“変わらなさ”に首をかしげた。
「楽しいけど、もったいないよね」
そう言ったベンちゃんの目は、本気だった。
「今年の祭り、ちょっと変えてみない?」
夕食の後、ベンちゃんがぽつりと呟いた。
テレビの音を消し、悠馬は湯呑みを置いた。
「……祭りは昔からあの形だ。簡単に変えられるもんじゃない」
「でもさ、観光客減ってるでしょ?若い子も地元出ちゃってるし。
このままだと、あと数年で寂しくなっちゃうよ」
悠馬は言い返せなかった。
彼自身、毎年祭りの盛り下がりを感じていたのだ。
「……で、どう変えるんだよ?」
「まず、“海”をテーマにもっと押し出すの。
堂ヶ島のクルーズを使った“夕陽と音楽の船上ステージ”とか!
土肥金山の観光ルートに“黄金の宝探しゲーム”を仕込むのもアリ!
あと恋人岬では“告白イベント”とか“願掛け花火”も!」
「いや待て待て、アイデアの嵐すぎるだろ……!」
—
翌日、漁協の会議室で、悠馬は地元の重鎮たちの前に立っていた。
「……ということで、今年の海の祭りは、ちょっと趣向を変えて、地域活性化を狙いたいと……」
ベンちゃんの提案を元に、悠馬が資料をまとめ、発表した。
年配者たちは、最初は眉をひそめていたが——
「若いもんがそこまで言うなら、試してみるか」
「まあ、何かせんと、ほんとに人が来なくなるしなあ」
徐々に賛同が集まり始めた。
—
会議のあと、外に出た悠馬に、ベンちゃんがニッと笑った。
「やったね!やっぱ悠馬、説得うまいじゃん!」
「……お前が全部言い出したんだろ」
「でも、“言う”のと“やる”のは別。悠馬が動いた。偉いぞ、よしよし」
ベンちゃんは、悠馬の頭をぽんぽんと撫でた。
まるで弟扱いにされているようで、なんだかくすぐったい。
「……まあ、始めちまったら、最後までやるしかないからな」
「うん、それが悠馬のいいとこだね」
—
こうして、西伊豆の「海の祭り」改革は、静かに、そして着実に動き出した。
変化には、勇気がいる。
でもそれは、新しい風を呼び込むための第一歩でもある。
悠馬の一歩は、きっと町を少しだけ、未来へ近づけた。
次回予告
次回、第4章「堂ヶ島、二人きりの夕陽」
企画の下見で、悠馬とベンちゃんは堂ヶ島クルーズへ。
揺れる船の上、水平線に沈む夕陽の中で、二人の距離が少しずつ——?
ロマンティックな海の風にご期待ください。
※関連動画のお知らせです。この物語をミージックビデオにしました。もしご関心ございましたらそちらもご覧下さい。
https://youtube.com/shorts/41y99JlPE6E




