【エピローグ】「光の道」
西伊豆に、またひとつ季節が巡った。
海は変わらずそこにあり、町には穏やかな日常が流れている。
浜辺では、小さな子どもたちが貝を拾い、
恋人岬には、今日もカップルたちが愛を誓いにやって来る。
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悠馬とベンちゃんは、今もこの町に暮らしている。
神の姿を捨て、「人」として生きる決意をした彼女は、
役場の臨時職員として観光課に籍を置くようになった。
「弁天さんって、ほんと働き者だよね~」
「観光ポスターのデザイン、全部やってくれたってさ」
地元の評判は上々で、今や“町の看板娘”だ。
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悠馬はというと、地域の若手を束ねるリーダーとして、
観光と漁業のハイブリッド化を進めている。
彼の漁船は今、観光客向けの「海の体験船」としても活躍中だ。
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ある日、堂ヶ島の沖合でふたりが船に乗っていたとき。
「悠馬、見て……ほら」
「ん?」
海の上に、夕陽がまっすぐ道のように光を落としていた。
「“光の道”だね。あれ、神界と人間界を繋ぐ橋だって、昔話にあるの」
「神様だったお前が言うと、説得力あるな」
「ううん、今はもうただの人間だよ」
ベンちゃんは笑った。
「でも、奇跡ってね、“生きてる人”が起こすものなんだと思う。
私、悠馬に出会って、やっとわかったの」
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ふたりの乗った船が、光の道を静かに進んでいく。
それはまるで、未来へと続く道のようだった。
この物語の話の関連動画です。よろしければ、ご視聴いただけましたら幸いです。
https://youtu.be/1DB8Xurx8ao
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