第4話:『影の足音と、転生魔女の覚悟』
学園祭が終わり、校内は静けさを取り戻した。
春菜は自室で記録した魔法陣の解析ノートに目を通す。
「学園の事件は防げた……でも、まだ何かが動いている」
窓の外には、遠くの王都に向かう光の列が見える。まるで誰かが春菜の力を試すかのように――。
その日、教師・ルヴァンが春菜を呼び出した。
「紺野春菜、君の能力は確かに特別だ。しかし、君の力はまだ制御が甘い」
春菜は頭を下げる。
「はい……もっと精度を高めます」
ルヴァンは厳しい表情のまま、ノートに目を落とす。
「君に与える課題は、学園内部の事件ではなく、国家機密に関わる案件だ」
春菜は息を飲む。
「国家……?」
「君の記憶魔法を使い、過去の王家と魔女の関わりを調べてもらう」
課題は過酷だ。記録室の古文書だけではなく、禁書、そして極秘の魔法文書まで。
「わかりました……やります」
その後、春菜はセレストとミリエルと共に学園の地下図書館へ向かう。
地下図書館は暗く、古い石造りの壁に沿って膨大な魔法書が並んでいる。
「ここが……国家の秘密に触れる場所……」春菜は息を呑む。
記憶魔法で断片を追うと、古い書物の間に奇妙な影が残っていることに気づく。
・王家の権力争いの痕跡
・魔女が国家を操るための陰謀の証拠
・学園祭での事件の影響が、より大きな国家計画に連なる可能性
「つまり……私たちの学園祭の事件は、ほんの一部だったの……?」春菜の声は震えた。
その時、背後で小さな音がする。振り返ると、廊下の奥に黒いローブを纏った影。
「やはり……動き出したか」
春菜は迷わず記憶魔法を展開。影の人物の過去の行動を追い、どのような目的で学園を操作しているのかを推測する。
セレストとミリエルも並走し、三人で影の存在を追う。
影は突然、魔力を爆発させて襲いかかる。地下図書館の石壁に衝撃が走り、埃と魔力が舞う。
「逃げない……私たちで止める!」春菜は心臓を高鳴らせながら、力を集中させる。
記憶魔法で断片を繋ぎ、相手の攻撃パターンを予測。セレストの戦術魔法、ミリエルの攻撃補助と連携して、見事に影を封じ込めることに成功する。
影が消える直前、低く笑う声が響いた。
「記憶魔法……面白い。次は国家そのものを揺るがす時に会おう」
春菜は胸の奥で決意を固める。
「弱くても……私には見えないものを見せる力がある」
地下図書館を出た三人は、夜空を見上げた。遠くに王都の光が揺れ、これから自分たちが立ち向かう世界の広さを実感する。
春菜は小さく呟く。
「学園だけじゃない……国家も、そして……私の過去も、全部、暴いてみせる」
こうして、転生魔女・紺野春菜の挑戦は学園の枠を超え、国家規模の陰謀との対決へと進み始めた――。