第3話:『学園祭前夜の影と、不適合者の反撃』
学園祭前夜。校内は準備に追われ、笑い声と歓声があふれていた。
春菜は図書館で昨日の調査の続きをしていた。机の上には破損した魔法陣の記録と古文書、そして手作りの魔力計測器。
「今日こそ、真実を……」
しかし、廊下の向こうで小さな影が動く。春菜は直感で振り向く。
「誰かいる……?」
その瞬間、廊下の奥で魔力の反応が走る。火花と共に魔法陣が浮かび上がり、生徒たちが叫び声をあげた。儀式の残骸を利用した、意図的な妨害だった。
「また……!」
春菜は心臓を高鳴らせながら、記憶魔法を発動。破損した魔法陣に残る断片を追う――
・影の正体は、学園内に潜む何者か
・設計図通りに儀式を妨害している痕跡
・過去の同じ時期にも同様の事故があったこと
「これ……誰かが計画的にやってる」
そこへセレストが駆けつける。
「春菜、大丈夫か?」
「うん、でも……私にしか見えない、真実がある」
二人は力を合わせ、魔法陣の干渉源を追う。
その途中、ミリエルも現れ、冷静な声で言う。
「邪魔はさせないわ。あなたの力だけじゃ不安だから」
春菜は一瞬戸惑うが、すぐに心を決める。
「うん、一緒に解明しよう」
三人の前に、学園祭の中心である大広間の魔法陣が姿を現す。そこには、教師や上級生も巻き込まれる危険な状況が広がっていた。
「私、やるしかない……」
春菜は手をかざし、記憶魔法で断片を紡ぐ。儀式の設計図、干渉者の足取り、過去の失敗の原因……すべてが繋がり、真実の像が浮かび上がる。
「これだ……!」
断片を元に、魔法陣の干渉を解除。爆発寸前の魔力を逆流させることで、事故は防がれた。
「できた……!」
生徒たちは驚き、教師たちは静かに春菜を見つめる。セレストも笑みを見せる。
「不適合者なんて言わせない、君の力は本物だ」
ミリエルも小さく頷いた。
「……認めるわ、春菜。あなたの力は誰にも真似できない」
夜が更け、学園祭は無事に始まった。だが、春菜の心にはまだ疑問が残る――あの影の正体は誰なのか? そして国家規模の陰謀の影は、学園の外に広がっているのかもしれない。
春菜は夜空を見上げ、静かに決意した。
「弱くても、私は見えないものを見せる。誰よりも……真実を掴むんだ」
こうして、不適合者の少女は初めて学園祭の危機を救い、仲間との絆を深め、成長の一歩を踏み出した――。
だが、物語はまだ序章に過ぎなかった。学園の陰に潜む影、国家の陰謀、そして自分の転生の秘密――すべてが次の挑戦を待っているのだった。