第1話:『転生魔女、学園の不適合者として目覚める』
紺野春菜は、いつものように教室でうたた寝をしていた。目覚めたとき、目に映るのは――見知らぬ空、そして見覚えのない制服だった。
「え……ここ、どこ……?」
視界に映るのは、塔のような建物と、空を舞う光る魔法陣。頭を抱える春菜の耳に、冷たい声が響いた。
「新入生、遅刻は許されないわよ」
振り向くと、優等生の美しい少女――ミリエルが立っていた。手には杖、目は鋭く春菜を見つめている。
春菜は自分の手を見る。手のひらから微かな光が漏れ、知らぬ間に小さな魔力が流れていた。
「な、何これ……魔法……?」
校舎内に案内された春菜は、教師や生徒たちの視線が一斉に自分に向くことに気づく。噂の“不適合者”――そんな声が、耳に届く。
最初の試験は、記憶魔法による「過去の断片を見つける課題」。春菜は必死で他人の記憶を追うが、何度も失敗し、焦燥に駆られる。
その夜、学園祭前夜。校内で奇妙な儀式が行われ、火花と爆発音が響いた。倒れた生徒、壊れた魔法陣。春菜は自分の能力で断片を追い、儀式の失敗原因を突き止める。
「これ……私にしか見えない……真実……」
仲間の疑念、ライバルの嫉妬、そして国家を揺るがす陰謀の影。春菜は弱者と呼ばれながらも、自分だけの力で“見えぬ真実”を示した。
翌朝、校長は春菜を静かに見つめ、言った。
「不適合者……かもしれない。しかし、お前には、他の者にはない力がある」
春菜の心は震えた。弱くても、ここから始められる――。
こうして、転生魔女・紺野春菜の、学園での戦いと成長の物語が幕を開けた。