第10話「特訓、後、姉妹スキンシップ」
*
『んじゃ、まずはこの世界を救うためにも、この世界に紛れ込んだ敵、この世界に本来存在しないハズの人類種である“亜人種”、“鬼人”を排除するミッションスタートってことで!』
【転生の女神】スターラ様に、唐突にそんなミッションを課せられた俺達兄妹。
「え、デーモンって、悪魔?この世界に悪魔が紛れ込んでるってこと!?」
「そんな…っ、悪魔だなんて…、【魔王】以上に恐ろしそうな存在ですわ…!?」
案の定、“デーモン”という言葉の響きから、陽火と月火は勘違いをしてしまっていた。
俺は、二人の勘違いを正すために、口を開いた。
「あー、二人とも、亜人種である“鬼人”は、所謂悪魔なんかを指す“Demon”とは全く違う存在だからな?」
「え、そうなの?」
「そうなのですか、お兄様?」
「ああ。“鬼人”ってのは、広くは俺達と同じ人類種に属する人類の一つで、俺達“人間種”とは異なる“亜人種”に属する存在だ」
並行世界には、様々な人類種が存在している。
俺達“人間種”に、体内に魔力を持つ“魔人種”、ケモ耳の生えた“妖獣人類”や“獣人種”、耳の長い“神人種”、そして、今回話題となっている“亜人種”だ。
「で、この“亜人種”の中にも四種族の人種が存在していて、その中の一種族が“鬼人”と呼ばれている人類種、ということになる」
「へ〜、そうなんや…」
「しかし、お兄様は何故そのことをご存知で?」
「え…?」
月火に言われて、はっとなったが、確かに、俺は何故そんなことを知っていたのだろう…?
その時、俺の脳内に、様々な記憶の映像が、走馬灯のごとく映し出されては消えて行った。
その映像の中で、猫耳の少女や、耳の長い少女、口から牙のような八重歯を覗かせた少女などなど…、前世において、俺の妹だった少女達の姿が、ハッキリと確認出来た。
始めてスターラ様と話した時にも見えた、前世の記憶の走馬灯がよりハッキリと見えた。
ああ…、そうだ、思い出した……!
「俺にはかつて、“猫獣人”や“エルフ”、“吸血鬼”といった種族の妹がいたことがあって、先程の知識は、それらの記憶の集積から得られた知識なんだ」
「なるほど…、そういうことでしたか」
「え!?ってことは、今後、ネコ耳の妹や“吸血鬼”な妹とも会えるってこと!?」
冷静な態度の月火に対し、何故か陽火はやたらとテンション高めで、俺の前世の妹の話題に食い付いてきた。
「いや、それはどうか分からんぞ?前世で“猫獣人”だったからと言って、“猫獣人”に転生しとるとは限らんわけやし。現に、俺自身がそうなわけやし」
“猫獣人”の妹がいた、ということは、つまり俺も前世で“猫獣人”だった時があったわけだ。
だから、“猫獣人”だった妹が、現世でも“猫獣人”かどうかは分からない、ということになる。
「でも、可能性はあるっちゃろ!?くぅー!やとしたらメッチャ楽しみなんやけどっ!!“猫獣人”の妹とか絶対カワイイに決まっとーやん!!」
猫好きな陽火だから、“猫獣人”の妹と聞いて、妄想が止まらないのだろう…
だが、ハッキリしているのは、俺の前世の妹達は全員間違いなく美人でカワイかった、ということだ!
「わたくしも、ネコ耳な妹さんのことは気になりますが、それよりも今は、目下の“鬼人”について考えましょう」
話題がそれかかっていたところを、月火がそう言って軌道修正した。
「それでお兄様、“鬼人”と言うのは、一体どんな種族なのでしょう?特徴とか、能力とか教えて頂けませんか?」
「そうだな…、見た目は普通の人間と変わらない。唯一の違いは、額から角が生えている点だが、これは術で隠すことも出来るし、その気になれば折ることでも、人間の中に紛れ込むことは可能だろうな」
「となると、見た目で敵の正体を暴くことは不可能、というわけですわね?」
「まぁ、そうなるな」
「だとしたら探し出すの無理じゃん!女神様もせめて何処にいる誰が“鬼人”だって教えてくれたら、こっちだってやりようあったのに、ヒントすら無く排除しろ、なんて無理ゲーにも程があるっちゃろ!」
陽火の言う通り、確かにスターラ様から与えられたミッションは、色んな意味で無茶振り過ぎる。
だが、様々な前世の記憶が蘇りつつある今の俺には、“鬼人”の正体や目的について、朧気ながら見当が付いていた。
「ですが、お兄様には何か策があるみたいですわね?」
と、月火が俺の思考を読んだのか、そんな風に言った。
「ああ、まぁ、策というか、“鬼人”の正体が誰で、その目的は何なのか、という点について、なんとなくの見当が付いてるってだけやけどな?」
「え!?誰なの!?誰が“鬼人”なの!?」
「まぁ、落ち着け、陽火。その前に、まず“鬼人”を含めた“亜人種”の能力について、簡単に説明しておく」
“亜人種”は、この世に存在する人々の恨みや妬みといった、負の感情によるエネルギー“呪力”を使った“呪術”を扱う人類種だ。
「呪術といっても、所謂“呪い”とは別物だ。術的な効力を持つ“呪い”は、むしろ魔術に近く、ここでいう呪術とは別物になる」
「この世に存在する負の感情を力に…、というのは、むしろ精霊術に近いものを感じますわね?」
月火の言う通りで、自然界に存在する精霊力を使う精霊術と、人間の負の感情による呪力を使う呪術とは、ある意味で正反対の力とも言える。
「そういうこと。
そして、この呪術にも属性があって、四種族ごとに扱える属性が異なる」
例えば、“亜人種”の一種である“吸血鬼”は、炎の呪術を扱う種族となる。
「じゃあ、“鬼人”の扱う属性は何なの?」
「“鬼人”の扱うのは雷、“雷の呪術師”ということになる」
「雷…、奇しくもお兄様の最も得意とする精霊術と同じ属性ですわね」
「なるほどね〜…
で、肝心の“鬼人”の正体は何処の誰なん?」
「それに関しては、“鬼人”の種族的特性を考えたら、自ずと分かる」
「種族的特性…?」
「ああ、“亜人種”ってのは、基本的に長命、もっと言えば不老不死に近い性質を持っとるんやけど、種族ごとにその不老不死性が異なるんだ」
例えば、“亜人種”の一種、“サキュバス”は、他人の生命エネルギー、性力を奪い、それを生命力の残機とすることで、不老不死に近い存在となる。
「では、“鬼人”はと言うと、負のエネルギー感情を大量に抱いた人の魂を取り込み、それを魂の残機とすることで、不老不死に近い存在となるんだ」
「負の感情を…、それって、まさか…!?」
どうやら、陽火も月火も、俺の言いたいことが分かったようだ。
「つまり、お兄様は、この国の総理大臣である鳩破某が“鬼人”で、国民達の不評を買うような政治を行っているのは、そうすることで国民達の負のエネルギー感情を増大させて、その魂を丸ごと取り込もうとしていると、お考えなのですわね?」
「そういうこと」
「あの野郎、そんなこと企んどったんか…っ!!」
「いや、まだそうだという証拠は無いけんな?」
そう、あくまで可能性の話であって、九州国の総理大臣である鳩破茂郎が“鬼人”であるという確証は無い。
しかし、総理大臣に就任して以降、あからさまに国民の感情を逆なでするような愚策しかしてこなかった奴の政治手腕を考えると…
「しかし、どうやってそのことを証明しますの?」
「幸いというべきか、親父が農水大臣として総理に近い位置におるけん、事情を話して探りを入れてもらおう」
「それしか無い、ですわよね…」
前世では世界を救ったこともある俺だが、今の俺は親を政治家に持っているとはいえ、一高校生に過ぎず、そう簡単に大人の世界に潜り込めるものではない。
だから、上手い具合に親父に事情を説明して、総理の身辺を探ってもらうしか無いわけなのだが、しかし、どう説明していいものやら…
「もういっそ、“鬼人”だろうとそうでなかろうと、関係なくさっさと暗殺しちゃうのは?どうせアイツがトップにいる限り、この国がまともになることは無さそうなんやし」
陽火が物騒な事を言う。
「歴史が変わる時は、たいてい血が流れるものっちゃん!鳩破にしても、暗殺される覚悟があるけん、総理になったわけやろうし」
「いや、今の九州国、いや日本全体で見ても、そこまでの覚悟をして総理になる奴なんておらんと思うぞ?」
「それに、お兄様でしたら『雷鎧武装』で、白昼堂々誰にも見られずに暗殺することも可能でしょうしね?」
「だとしても、相手が“雷の呪術師”である“鬼人”やったら、さすがに気付かれる…、あ、いや、そうか…、気付かれたら、それはそれでありなんか…」
精霊術師と呪術師という違いはあれど、同じ雷の属性を扱う者として、雷系の術の発動兆候はなんとなく感知出来る。
雷の特性として、先行放電というものがあるが、これは落雷よりも前に雷雲から地面へと向かって流れる雷のことで、雷系の術を放つ際にも、先行放電は発生する。
しかしこれは、人には感じ取れるものでは無いほどに一瞬のものなので、普段術を使う際には気をつける程のものではないのだが、同じ雷系の術師同士の対決ならば、相手の術が到達する一瞬前の先行放電の到達を感じ取り、この先行放電から、術の性質や相手の狙いなんかが読めたりするため、雷系の術師同士の戦いでは、1秒未満の判断により、勝敗が決してしまうこともある。
「それなら、鳩破総理暗殺計画採用ってことで!」
「いやいや、暗殺はせんから!!
ただ、相手が“鬼人”かどうかを判断するやり方としては悪くないなって話で!」
「そこから先の計画や、鳩破某に近付くための策などは、それこそお兄様達のお父様の力を借りるのはありかもしれませんわね。
…いずれにしても、今からわたくし達がやるべきことは、まず陽火さんの精霊術の力を覚醒させ、その力を使いこなせるようにするための特訓ですわっ!!」
*
それから、月火と陽火は動きやすいようにと、お揃いのジャージ(学校指定のもので、濃い赤色に体の横に黒い縦線の入ったデザインのシンプルなもの)に着替えると、三人揃って、俺達の家から歩いてすぐの戸ノ上山の中腹にある広場へとやって来た。
中腹までは、飛行用の精霊術である『エレキウィング』と『ファイヤーウィング』を使って、空を飛んで行った。
陽火は当然まだ精霊術を使えないので、俺と月火が左右から支えて運んだ。
「おおー!空を飛ぶってこんな感じなんや…!めっちゃ気持ちいい!!」
「ふふ♪陽火さんも精霊術を使えるようになれば、自身の力で空を飛べるようになりますわよ?」
「よーっし!あたしめっちゃ頑張るっ!!」
陽火はノリノリのようだ。
俺としては、出来れば陽火にはあまり危険なことに首を突っ込んでもらいたくないのだが、スターラ様の発言だったり、これからの事を考えると、陽火だけが安全圏にいるというわけにはいかないようだし、いっそそれなら、自衛のためにも精霊術は使いこなせるようになっていた方がいいのかもしれない。
ということで、なるべく人目につかない戸ノ上山の中腹までやって来たわけだ。
ここは、頂上までの登山道の途中にある広場で、そこそこの広さがあって、周囲も開けているため、ピクニックをしたり、軽い運動をしたりする分には、全然問題無い広さがある空間となっている。
一つだけ懸念していたのは、他の登山者がいたりしないかということだったが、幸いなことに、山の上の方で比較的涼しいとはいえ、お盆の時期でそれなりに気温が高い昼過ぎということもあって、日光を遮るものの無いこの場所に、俺達以外の登山者はいなかった。
そこで、軽く準備体操をしてから、月火の指導のもと、陽火の特訓が始まった。
「では、陽火さん、準備はよろしいでしょうか?」
「イェス!マム!」
「コホン、ではまず精霊術を扱うに当たっての基本ですが、目に見えない精霊力というものを身体で感じ取ることが必要となります」
「精霊力を身体で感じる?」
「はい。これが出来ないと精霊術師にはなれないのですが、陽火さんの場合は、無意識で風の精霊力を感じ取れているようですから、そこまで難しいことではないかと」
「そうなん?」
「ええ、恐らくは。
ではまず、わたくしがお手本を見せます。このように“精霊石”を手で持ち、目を閉じて意識を“精霊石”に集中させます」
月火はそう言うと、左腕にはめていた“精霊石”の埋め込まれたバングルを外して、右手に持った。
「ふむふむ」
「すると、全身に精霊力が集まってくるのが感じられます…、まぁ、見た目には分からないと思いますが」
「う、うん…」
月火の言う通り、端から見れば、美少女が石を手に持って目を閉じているだけにしか見えない。
「そして、頭の中で術をイメージすると、自ずと詠唱呪文が浮かんできます、このように」
そこで月火が目を開き、左手を前に出すと、術を詠唱した。
「炎の精よ、集いて我が力となり、敵を討てっ!『ファイヤーシュート』」
すると、月火の右掌から小さな火球が放たれ、広場の地面に当たって消滅した。
「おおっ!」
「とまぁ、だいたいこんな感じですわ。慣れてくれば、意識を“精霊石”に集中させなくとも、術を発動出来るようになりますし、“精霊石”も手に持つのではなく、このようにバングルにして腕にはめたり、ネックレスなどにして首からかけておくことでも、術を使用出来るようになりますわ。
ここまでの説明で、精霊術の扱い方について、なんとなく分かったでしょうか?」
「うん!なんとなく!」
「まぁ、習うより慣れろと言いますし、実際に陽火さんもやってみましょう。先程、女神様から頂いた“精霊石”を手に持ってもらってよろしいですか?」
「はい!」
月火に言われ、陽火はスターラ様から頂いた“精霊石”を右手に持った。
「では、そのまま、目を閉じ、意識を“精霊石”に集中させて下さい」
「えっと…、こう……、かな?」
陽火は目を閉じて、右手に持った“精霊石”をぎゅっと握りしめて、意識を“精霊石”へと向けた。
「はい、そうすると、やがて“精霊石”が熱を持ったような感覚があり、その後に、全身がその熱で覆われていくような感覚に包まれるハズです。その感覚こそが、精霊力となります」
「ん………」
陽火はじっと集中して、しばらく微動だにしなかった。
その状態が数分程続いたかと思うと、やがて、俺達にも予想だにしなかった変化が、陽火に現れ始めた。
「あ…、“精霊石”が何か暖かくなり始めた…!」
そう言った陽火の右手が、ほんのりと淡い緑色の光で覆われ始めたのだ。
「え!?」
「な、何ですの、あの光は…!?」
驚く俺達の前で、徐々にその光は目を閉じたままの陽火の全身を覆っていった。
「おお…っ!!きたきた!!全身がぽかぽかしてきたっちゃん!これが精霊力!?」
「え、ええ…、恐らくは…、ですが、これは……!?」
「ん?何かおかしなことでも…、って、わぁ!?何これ!?景色が緑色になっとーやん!?どーなっとーと!?」
そこで目を開けた陽火は、自身を覆う淡い緑色の光に驚きの声を上げた。
「恐らくですが…、その緑色の光は精霊力の集まった光、だと思われます…」
「え、そうなん?でも、さっき月火ちゃんが見せてくれた時はこんなんなってなかったくない?」
「ええ…、普通は精霊力は人には見えないものなんです…、それが見えてしまっているということは、それだけ莫大な量の精霊力が、陽火さんの周りに集まっている、ということかと……」
「ええ!?ちょ、これ、大丈夫なん!?」
「精霊力自体は悪い物ではありませんので、身体に影響などは無いかと思いますが…、いかんせん、このような事態は初めてですので……」
精霊力が集まり過ぎて、可視化されるなんて状況は、俺も月火も見たことも聞いたことが無い…!
まさか、これがスタッフ様の言ってた、陽火のチート能力なのか…?
「と、とりあえず陽火さん、そのままの状態で、術を放ってみましょうか?
放つのは、精霊術の基本、わたくしが先程見せた『ファイヤーシュート』の風属性版、『ウィンドシュート』です」
「了解っ!」
「先程、わたくしが見せた術を思い出しながら、それの風版としてイメージしてみて下さい。そうすれば、詠唱のための呪文が脳内に自然と思い浮かんでくるハズです」
月火に言われた通り、陽火が脳内で、風の精霊術のイメージを膨らませていく。
やがて、詠唱呪文が脳内に浮かんだのか、左手を前に出して、ゆっくりと、脳に浮かんだ言霊を口にした。
「えっと〜……、風の精よ…、集いて…、我が……、力となり…、敵を討て…っ!『ウィンドシュート』!」
直後、ドンッ!!という物凄い突風が、広場を駆け抜け、地面に生えていた草が根こそぎ吹き飛び、さらには、その風の通り道に生えていた木数本を根元からなぎ倒していったのだ…っ!!
「「え…っ!?」」
「お…、おおっ!?な、なんか、とんでもないことになっとっちゃけど!?本当に今のが基本の術なん!?」
俺と月火は、あまりの衝撃映像に呆然としていた。
術を放った当人も、予想外の威力にパニックになっていた。
陽火のチート能力の一つ、“精霊力のオーバーフロー”。
通常の精霊術師よりも、遥かに多くの精霊力を収束し、通常ではあり得ない威力の精霊術を発動出来る、恐らくは世界でも陽火だけが使える、唯一無二の精霊術…!
「と、とりあえず、これで陽火さんも精霊術師の仲間入り、ですわね…」
「あ、ああ…、そうやな…
やけど、とりあえずしばらくは、術のコントロールというか、威力を抑えるための訓練をせんといかんな…」
「ですわね…」
それから、俺達は陽火の精霊力をコントロールするための特訓を行ったが、いかんせん、俺達にとっても、前例の無いケースなので、初日の今日はなかなか上手くいかず、一時間程としたところで、これ以上やると、山の形が変わりかねないというのと、体調面から熱中症になってもいけないということから、今日のところは特訓を切り上げて帰宅することとなった。
*
「はぁ〜…、精霊術って難しいんだねぇ〜……」
ちゃぽんと、湯船に浸かりながらあたし、陽火はそう言った。
「いえ、最初からいきなり術を扱えただけでスゴいと思いますわ。というか、陽火さんの場合の“難しい”は、一つ上のレベルの難しさといいますか…」
ざばぁっと、洗い場で自身の身体にお湯をかけてから、湯舟に入り、あたしの隣に座った美少女、月火ちゃん。
そう、今あたしと月火ちゃんは、家のお風呂で所謂裸の付き合いというやつをしている!
もちろん、お互いに水着なんかは付けていない、正真正銘の一糸纏わぬ姿で、だ!
「ふぅ〜…、汗をかいた後のお風呂は気持ちいいですわね〜♪」
改めて、あたしは月火ちゃんの身体をじっくりと見た。
バストは巨乳だと自負をする自分より少し大きく、推定サイズは95!デカい!!
それでいて腰はキュッ!と引き締まっており、お尻も安産型で柔らかそう!
まさに、お兄ちゃんの理想をそのまま具現化したような、お兄ちゃん好みの巨乳美少女だ。
「…?陽火さん?じろじろわたくしの身体を見て、どうかしましたか?」
「ふへ!?あ、いや〜!月火ちゃんの身体って、実にお兄ちゃん好みのエッチな身体しとーな〜って…」
「うふふ♪ありがとうございます♪ですが、それを言うなら、わたくしとほぼ同体型の陽火さんも、お兄様好みのエッチな身体をしている、ということになりますわよ?」
「うぐ…っ、ま、まぁ…、それは認めるけど……」
そう、自分で言うのも何だが、あたしも結構な巨乳美少女だと自負しているし、月火ちゃんともほぼ体型は変わらないと言っていい。
つまりは、あたしもお兄ちゃん好みの理想的な巨乳美少女だということになるのだが…、
「…あたしとお兄ちゃんは、血の繋がった、兄妹やし……」
ぶくぶくぶくと、湯舟に口を付けながら、ため息をつくあたし。
「ふふ♪やはり、陽火さんも、お兄様のことを異性として愛してらっしゃいますのね♪」
「………」
月火ちゃんのその言葉に、あたしは否定も肯定もしなかった。
同じ妹として、月火ちゃんには隠しても仕方が無いと思ったから、あたしは何も言わなかった。
「分かりますわよ、その気持ち…
わたくしも、前世ではそうでしたから」
あたしは黙って月火ちゃんの話を聞いていた。
「お兄様は優しい方ですから、優しくされる度に、その胸はお兄様への愛しさでいっぱいになり、胸を締め付けられるような苦しみに苛まされてきたのでしょう。
ならば、いっそお兄様と距離を置き、嫌われてしまえばいいと、それがお兄様への塩対応の理由だったわけですわね?」
全部図星だった。
やはり、月火ちゃんも、前世で同じ想いをしたから……、
「いえ、わたくしはそんなことはありませんでしたわよ?」
「あるぇっ!?」
まさかの返答にあたしは思わず素っ頓狂な声をあげてしまった。
「わたくしとお兄様は、前世の頃からラブラブでしたし、何だったら、わたくし達は生まれ変わってもずっと愛し続けると互いに誓いあった程ですから♪」
「でででっ、でもっ、さすがに一線までは越えとらんよねっ!?前世では血の繋がった兄妹やったっちゃろ!?」
「そんなもの、真実の愛の前では関係ありませんわ♥」
「ええ〜……?」
これは、あれか…、文字通り世界が違うから、倫理観も異なるとか、そんな感じのアレなのか…?
「いえ、さすがにわたくし達の世界においても、近親相姦はタブーでしたわよ?」
「ですよねー…」
「まぁ…、実際は、一線を越える前に、お兄様はわたくしを置いて先に逝ってしまいましたが……」
「あ……」
そう、前世のお兄ちゃんは、月火ちゃんの世界で、【魔王】というラスボスと相討ちして、月火ちゃんの世界を救ったのだという。
「…ですから、こうして生まれ変わって、お兄様と再会出来たことは、本当に運命なのだと思いました」
「月火ちゃん…」
「何せ、お兄様に初めてを捧げると誓った前世から、わたくしはずぅうううっと処女のままなのですから♥」
「そんなにお兄ちゃんのことを愛してくれとるんやね…」
「ですが、やはり後悔はありました。あんなに辛い思いをするならば、周りの目など気にせず、わたくし達は、自分達の愛に素直になれば良かったと…」
「月火ちゃん…」
「ですから、陽火さんも、後悔無きよう、自身の想いに結論を出して下さいね?
それがどんな結論であっても、陽火さんが真剣に考えた上の、偽り無き答えであるのなら、わたくしは尊重致しますし、応援致しますわ」
「……うん、ありがとね、月火ちゃん」
あたしの想い…、あたしは、お兄ちゃんのことが好き。
兄妹でも…、ううん、兄妹だからこそ、あたしはお兄ちゃんの良いとこも悪いとこも全て含めて、大好き。
だけど…、それは許されない恋であるのも事実。
今はまだ、この問題にどう答えればいいのか分からない。
だけど、もう逃げるのだけはやめよう。
あたしは、これからお兄ちゃんや月火ちゃんと共に世界を救う旅に出る。
そうなれば、否が応でもお兄ちゃんとずっと側にいることになる。
これまでみたいに、自分の想いを誤魔化すことは出来なくなる。
だから、真剣に悩んで、答えを出さなくちゃいけないんだ……!
*
「それはそうと、陽火さん?」
あたしが決意を新たにしたところで、月火ちゃんがあたしの肩に手を置いて、こう続けた。
「そろそろ、お互いの体を流し合いませんこと?」
「ふへぇっ!?」
突然また突拍子もないことを言われたので、あたしはまたも変な声をあげてしまった。
「ちょっ、月火ちゃん、それはっ!?」
「あらあら♪別に恥ずかしがる必要は無いじゃありませんか♪わたくし達は姉妹なんですから、互いの身体を流し合うくらいは普通ではなくて?」
「え、そ、そうなんかな…?」
「ええ、ええ、そうですわ♪ですから、ささっ!陽火さん!共に身体を流し合いましょう♥」
と、月火ちゃんに流される形で、浴槽を出たあたしだったが、内心でガッツポーズしているあたしがいたのも事実だ。
真剣な話をした後で、急に言われたものだから、テンパりはしたものの、月火ちゃんから言われなければ、あたしの方から提案しようかと思っていたことでもあった。
だって、月火ちゃんの裸に合法的に触れられるんだぜ!?
テンション上がらないわけ無いじゃないっ!!
そんなこんなで、あたしは内心の興奮を隠しつつ、冷静を装って、洗い場の椅子に腰掛けた。
すると、月火ちゃんは手に石鹸を持って、あたしの背後に回ってこう言った。
「では、まずはわたくしから洗って差し上げますね♪」
「は、はい!よろしくお願いしましゅっ!!」
思わず緊張から噛んでしまったあたし。
目の前の壁にかかった鏡には、一糸纏わぬ姿の月火ちゃんが映っている。
蒸気で火照った身体が、とても艶めかしく、女のあたしでも思わずドキドキしてしまう程にエロチックだった。
「ふふ♪そんな緊張なさらず、姉妹なのですから♪」
「い、いや〜、そ、そうは言われても……、ふへへ♪」
ヤバい、緊張と期待から変な笑いが出てしまった!
「うふふ♪どうやら、陽火さんも、期待してくれているみたいですわね♥」
アカン…、この妹には、あたしの心の中が全て見透かされてしまってる…!
と、ともかく!
あたしは気持ちを落ち着けるため、目を閉じて深呼吸をしながら、素数を数え始めた。
「2、3、5、7、11、13、17、19…、」
「では、いきますわね♥」
「23、29、さんじゅっいっち!?」
そのカウント途中で、ふにょん♪という、タオルやスポンジではあり得ない、柔らかくてとても弾力のある優しい感触が背中に伝わってきたので、あたしは思わず「3の倍数と3が付く数字のときだけアホになる」ネタを披露した時のような声をあげてしまった。
「ふへっ!?ちょちょっ!?月火ちゃんっ!?」
「うふふ♥どうですか、陽火さん、わたくしのおっぱいタオルは、気持ちいいですか?」
ふにょんぽにょんと、あたしの背中を上下するこの柔らかい感触は、やはり月火ちゃんのおっぱい!?
「えっ!?ええっ!?なっ、それっ、月火ちゃん、大胆過ぎっ、ひゃんっ♥」
「ふふふ♥姉妹なのですから、別に肌と肌が触れ合うくらい、普通でしょう?」
「いっ、いやいやいや!?さすがに姉妹でもこれは普通やないと思うっちゃ!気持ちいいけど!はぁんっ♥」
もちもちぽにょぽにょと、月火ちゃんの柔らかいおっぱいと、不意打ち気味に触れる硬い突起の感触はとても気持ちがよく、全身が性感帯になったかのように、あたしの身体はびくびくと反応してしまっていた。
「うふふ♥あんっ♥陽火さんも気持ちいいんですのね♪んぅっ♥では…、もっと気持ちよくなってもらいましょうね♪えいっ♥」
あたしの反応が面白かったのか、月火ちゃんはますます調子に乗り、自身のおっぱいを上下させながら、両手を前に出して、あたしのおっぱいを掴んできたのだ!
「きゃんっ!?そんなっ、あぁんっ♥♥」
「んっ♥うふふ…、陽火さんのおっぱいも…、とても柔らかくて…、わたくしの掌が吸い込まれるようで、とても気持ちいいですわぁ…♥そ、れ、に…、ここ♥すっかり硬くなってますわよ♥」
と、月火ちゃんがあたしのおっぱいの先っぽの方をツンツンしながら、耳元で囁いてくる…!
「あんっ♥ちょっ、つきひちゃ…っ、ひゃうぅうううっ♥♥♥」
その硬くなったあたしの先端を、月火ちゃんが指で摘まんだことで、あたしの全身に電気が走ったような感覚があり、力の抜けたあたしは月火ちゃんにもたれるように頭を、月火ちゃんのおっぱいに押し付けてしまった。
「あらあら♥今ので感じてしまわれたのですね♪うふふ、陽火さん、とっても可愛らしいですわぁ…♥♥」
「はぁ…、はぁ…、はぁ……、も、もしかして…、月火ちゃんって…、結構ドSだったりする…?」
「うふふ♪それはどうかしら♪
さ、それより次は陽火さんの番ですわよ、わたくしの身体、陽火さんのコレで、しっかり洗って下さいね♥」
コレと言ったタイミングで、月火ちゃんがモニモニとあたしのおっぱいを揉みしだいた。
「んん…っ♥わ、分かったっちゃ…♥でも…、覚悟しときぃよ?」
「うふふ♥それは楽しみですわ♥」
そうして攻守交代したあたし達だったのだが…、
(※ここから先は自主規制につき、一部内容を抜粋した文章だけでお楽しみ下さい)
「ほら、陽火さん、お手々が留守ですわよ…?」
「え、で、でもそんなトコ触っちゃっても…?」
「触らなければ、わたくしの身体を綺麗にすることは出来ませんわよ?」
「そ、そうやけど…、」
「陽火さん、こうするんですのよ…、あんっ♥」
「ひゃんっ♥つ、月火ちゃっ、それぇえ〜っ♥♥らめぇええええっ♥♥♥」
「うふふ♥イヤよイヤよも好きの内、ですわぁ♥あぁんっ♥♥」
(※以上、自主規制終わり)
それでも結局、あたしが一方的に攻められて、ひたすら感じさせられるのだった……
え、何があったかって?
さすがにこれ以上は恥ずかし過ぎて、あたしの口からは言えないよ………
「ふぅ…♥うふふ♥陽火さん、とっても素敵でしたわ♪お兄様と再会出来たことも運命ですけど、陽火さんのような素敵なお姉様と出会えたこと、女神様に感謝いたしますわ♪」
「はぁ…、はぁ…、はぁ…♥んん…っ♥月火ちゃ…、もぅ…、あたし…、感じ過ぎて……、ムリぃ〜……♥♥」