プロローグ
俺は夢を見ていた。
――行きますわよ、お兄様!これが最後の戦いですわ!
――この炎に誓いますわ、わたくしは永遠にお兄様を愛します
――生まれ変わっても、きっと巡り会って、必ずお兄様と結ばれんことを……
俺の目の前にいるのは、白い騎士服を纏い、全身に紅蓮の炎を纏わせて戦う高貴な見た目の少女。
これは、最近になってよく見るようになった夢だ。
この世界とは違う、異世界、パラレルワールド。
夢に出てくる白い騎士服の少女は、自然界に存在する精霊の力、“精霊力”を使った術、“精霊術”を扱う“精霊術師”だ。
どうやら、俺の見ているこの夢の世界では、この精霊術と呼ばれる術を使って、この世界とはさらなる別の異世界からやって来た侵略者、“魔人”と呼ばれる、“魔術”を扱う人類と、生存圏をかけた戦争をしているらしい。
そして、今見ている夢は、その戦争の最終局面、魔人達の頂点、【魔王】と呼ばれる存在との戦いに、目の前の少女と、その少女にお兄様と呼ばれた少年、つまりは俺が向かおうとしている場面らしい。
――お兄様…っ!?一体何を…っ!?
それから場面は代わり、いよいよクライマックスという場面。
俺と、白い騎士服の少女が【魔王】を追い詰めたところで、【魔王】は死なば諸共と、この世界そのものを滅ぼそうと最後の力を解放しようとしている。
――駄目ですっ、お兄様っ!!その力を使ってはっ!!
――その力を使えば、お兄様は…っ、
目の前の少女が泣き叫びながら、俺へと手を伸ばすが、その手を振り払い、俺は単身【魔王】に接近し、そして………、