赤ずきんと謎メイド
季節ハズレのハロウィンのお話。
ある日、ちょっと疎遠のおばあさんが病気だと聞き、なんとなくお見舞いに行くことにした赤ずきん。
うろ覚えの道を通って薄暗い森を歩く赤ずきん。
しばらくして明らかに怪しい家と、やけににこやかな謎のメイドに遭遇する。
「ようこそおいでくださいました。さあ、中へどうぞ」と誘われ家に入った赤ずきん。
「おばあさんのお加減はいかがですか?」と問う赤ずきん。
しかし謎のメイドは、
「赤ずきん様、夕餉でございます」と食堂へと誘なう。(どう見ても茶の間だが…。畳が新しいな)
食堂(メイド談)には、程よく脂ののった秋刀魚の塩焼きとぴかぴかの新米が!
秋刀魚と新米ですっかり満腹の赤ずきん(おかわり2回)。
新しい畳の香りを嗅ぎながらくつろぎ出したところへ、謎メイドが現れ
「露天風呂へどうぞ」と微笑んだ。
(…何か忘れてるような)と思いつつ、露天風呂へと向かうのだった…
すっかり露天風呂を満喫した赤ずきん。
茶の間に戻るとなぜか謎のメイドは姿を消し、ちゃぶ台の上に「寝室へ」との手紙が。
(メイドさん、お客さんに無言で退勤?)と思いつつも、廊下の奥の「寝室」と大きく書かれた扉を、恐る恐る開けた赤ずきん。
「とりっく おあ とりーと!!」
なんと寝室には、満面の笑みを浮かべたおばあさんが!!
しかも、なんとも訛りの強いハロウィンの決め台詞を言い切って満足そうにしている。
「わしの変装もなかなかのもんじゃろ?」
完全に困惑する赤ずきん。
おばあさんは完全なドヤ顔で
「さっきまでメイドがいたじゃろ?あれは、わしじゃ。」
(特殊メイクか何かだったのか?というかなんでこんなこと…?)
「お前さんの事だからお見舞いも手ぶらでくるじゃろうと思ってな。いたずらの方にしておいたんじゃよ。」
そう、まさに赤ずきんは手ぶらでお見舞いに来ていた。
やられた!!今度からは、絶対菓子折りを持ってこよう!と赤ずきんは心に決めたのだった。
そう、全てはおばあさんのハロウィンのいたずらだったのでした。
久しぶりに会ったおばあさんと赤ずきんは、遅くまでおばあさんお手製かぼちゃ饅頭を食べながら語り明かしたのでした。
…最後までお付き合いいただきありがとうございました!Happy Halloween!!
以前リヴリーで書いた短編です。