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魔術創世記  作者: 雨照
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第三話 いつでも使えるように

仕事は相変わらずでワイルドボアや鹿を村に持ち帰り、ゴブリンやキラービーを見かけたら駆逐する毎日だ。

ゴブリンやキラービーは群れている事が多いし、村に近付かれたら狩人以外のみんなには危険すぎるからな。

見つけたらなるべく倒しておく必要がある。

幸いあれ以降は危険な目に会うことも無かった。

俺は毎晩、魔物の力を使うための訓練を行うようになった。

と言っても人に見られても言い訳できるような訓練しかできない。

あの力が発動した時に感じだ不思議な力を自分の意思でもう一度感じ取れるようになるのが最初の目標だ。

あの見えない壁も鋭い石も自由に使えるようになったら狩の安全性が格段に増す。

そう思って毎晩瞑想していた。

自分の中の何処にあの力があるのか探すように。

あれから魔物の力を使うことも感じることも無く1年ほど経った。

あまりにも結果が出ないので、俺の中にあった魔物の力はもうなくなってしまったのかもしれない。

魔物の力については諦めかけていても、1年も続けた瞑想はもう俺の中で完全に習慣化してしまっている。

ある日、その日もいつも通りに瞑想していた。

俺はついにあの不思議な力を身体の中に感じ取ることが出来た。

腹の底からグワッと、いやグルンって感じか?

何故だかは分からないが急に来た感じだ。

きっかけはなんなんだろう?

いつもと同じつもりでもきっと何かが違う。

その日はいつもより感覚が鋭くなっていたように思う。

力を感じられるようになったら次は身体の中を自由に移動させる練習だ。

これも今まで通り瞑想を続けることできっと形になるだろう。

不思議な力を自分の思ったところに移動させることは割とすぐにできるようになった。

そこからは狩の休憩時間に不思議な力を身体の外に出す訓練を始めた。

それから数ヶ月で不思議な力を身体の外に出すことが出来るようになった。

ただ、最初のうちは煙のように出てきて消えるだけだった。

それを何回か繰り返すと俺の中の力は空っぽになったようで、急に身体がダルくなった。

森の中で動けなくなるのはマズイ。

かと言って家の中でこんな事をしたら村のみんなにバレる。

練習する場所は森の中でもなるべく村に近いところにしよう。

不思議な力を掌から出す練習を繰り返してわかったのは、限界まで力を使った次の日には前の日よりも力を使える回数が少し増えているということだ。

力を使える回数もそれなりになってきたところで、前に使った見えない壁と鋭い石を作り出す練習を始めることにした。

まずは石を掌から飛ばす練習だ。

初めは普通の石が掌からこぼれ落ちるような感じだった。

こんなんでは攻撃にならない。

どうしてあの時はあんなに強く早く石が飛び出していったのか。

色々考えながら試していたら、よりしっかりと出したいものを頭に思い浮かべることが出来た時程、自分の思い描いたものに近いものが作り出されていた。

そうして何ヶ月もかけて俺は鋭い石をより完璧に扱えるようになった。

同じように見えない壁の練習もした。

こちらは中々思うような成果は得られなかった。

どんなに頑張っても見えない壁のイメージが固まらないのが原因だと思う。

頑張って頑張って、何とか壁を作ろうと繰り返しているうちに、いつの間にか石の壁ができてしまった。

そして、俺は見えない壁を諦めて石の壁を自分の意思で作り出せるように何度も繰り返して練習した。

ワイルドボアの突進に対してなら石の壁でも十分に役に立つ。

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