第九話 魔術を世に広めよう
いつの間にか俺達の村から半日もしないところに村ができていた。
ここまで近付かれては力のことがバレるのも時間の問題だった。
俺たちは魔物の力と恐れ忌み嫌われたこの力を隣の村の人々に教えることにした。
その結果、隣の村との争いも起きた。
村人「魔物の力を使う様な奴らは信用出来ない。
ここでお前らを殺してしまえばもう魔物の力を持つやつはいなくなるんだ!」
そんな事を言いながら俺達の村を襲ってくる。
「違う!この力はみんなが持ってる力なんだ。あんた達にも使えるんだ!」
村人「そんな事あるもんか。騙されないぞ!みんなで魔物になった奴らを倒すんだ!」
相手が興奮していることもあり、俺たちの意見は全く聞き入れて貰えない。
俺達は魔術を駆使して、できるだけ死人を出さないように注意しながら襲ってきたヤツらを追い返していた。
そんな争いを何回かした後に、村長が停戦を呼びかけてきた。
俺達は元々争う気は無かったので、停戦を受け入れた。
その時、村長は本当に停戦を望んでいたが、村の若いやつの中にはこっちの村に入っちゃえば勝てると思って行動したバカなやつがいた。
そいつはあろう事か村1番の魔術師とも言えるアリーシャを狙ったんだ。
見た目だけならまだまだ若い女の子だからな。
しかし、アリーシャを狙うあたり運も無いし人としても許せない。
そいつを捕まえて村長に突き出してやった。
ケラヌス「お前らは停戦に来たのか?騙し討ちに来たのか?」
村長は顔を青くして、捕まった村人を見てからこういった。
村長「ワシを含め村の連中は停戦を望んでおる。
こんな卑劣なやつはもう我が村の者ではない。」
ピリッポス「ならばコイツは誰が処分するんだ?
まさか、お前らが連れ込んだのに俺達に全て任せるなんていうんじゃないよな?」
今回は事が事だけに、いつものように手加減してやるつもりもない。
村長「こちらで責任を持って処分しよう。」
「わかった。信じよう。」
村長「それから停戦なんじゃが、ワシらにも魔物の力の使い方を教えてくれると言うのは本当なのか?
そもそもワシらに使えるものなのか?」
クロエ「誰でも使えますよ。
私たちが教えるのは村の代表4人までです。
覚えるまでに1年以上かかりますよ?
他の人たちはその4人から教わってください。」
村長「4人だけか…この4人を選び間違えると大変なことになるな。
慎重に村の利益を考えられるもの。
1年以上となると忍耐力も必要じゃな。」
村長は誰を送るか悩み始めたようで1人でブツブツ言っている。
別に気にはしないが、自分の村でやってくれんかね?
こうして最初の村が魔術を覚えると周りの村は我先にと魔術を習いに来た。
俺たちは手分けして近くにある村全てに魔術を教えていった。
俺達の村から近隣の村、その先の村へと魔術は広まっていった。
俺達の偉業は多くの村に伝えられて、いつしかここは賢者の村と呼ばれるようになっていた。