魔法
「お母様、お父様。私にやらせてくれませんか?」
そう決意して言うと、お母様とお父様は疑問を浮かべた表情で私を見た。
「やるって何を?」
「もちろん、回復魔法を私がユウタにかけるんです」
「でも、愛莉。あなた、魔法なんて習ってないじゃない」
お母様が言うことは、その通りだ。
私は魔法を習っていない。今世も。
「図書館で魔法の本を読んで、少し独学したのです」
(嘘じゃない。今までもそうだった……。──けど、私が前世だけでなく、今までの記憶を持ってるなんて、見せる訳にはいかない)
私の予想だと……誰かが、掟を破った……だけでなく、何かを上書きをした。
……だから、私たちに、思い出すはずの記憶が思い出せなかった……。
そんな気配を、私はずっと感じている。
(それほどの大きな力の持ち主に気づかれる訳にはいかない。絶対に……)
「だから、ダメ元でも試させてくれませんか?」
「そうね……でも、無理してない? 大丈夫?」
二人の方を見ると、お母様が胸元の前で手をぎゅっと握ていた。お父様が唇をかすかに噛んでいる。
例え……絆が違うとしても、心配してくれるお母様とお父様のためにも、本来の二人の子供を元にしたいな……
そんな決意も、心の中では生まれたのだった。
「うん」
そうお母様に返事をして、私はユウタが横たわっているベットに近付いた。




