異変
熱を帯びた赤髪が、夜の闇に紛れて揺れた。
──主人様が言っていた人。まさか、こんな形で見つけるとは。
あいつが覚えていないのなら、こちらから近づくしかない。
「風芽――今度は、逃がさない」
◇◇◇◇◇◇
図書館から帰るのが遅くなって、怒られて、反省した翌日。
「お母様、お父様。おはようございます」
「おはよう」
食卓につき、お母様とお父様に挨拶すると、弟のユウタが居ないことに気がついた。
「お母様、ユウタはまだ来てないんですか?」
「ええ。来てないわね」
(おかしい……いつもは早いのに……)
「じゃあ、私が呼びに行きますね」
「なら、お願いしてもいい?」
「はい! いってきます」
そうして、食卓の部屋を後にしたのだった。
(まだ、寝ているのかな? まあ、早起きの人が寝坊してもいいのよね……。逆にいつもは早すぎるし……。でも、この心騒ぎはなんなの……?)
そんなことを考えていると、いつも間にかユウタの部屋の前に着いていた。
コンコン
「姉ちゃんだよ。起きてる?」
声をかけても中は静かのままだった。
(いつもは声をかけたら、どんな時でもすぐに開けてくれるのに……)
心騒ぎとともに焦りが生まれる。
「どうしたの? もう、開けちゃうからね?」
焦りで、ちょっと乱暴にドアを開けた。
目に飛び込んで来たのは、ユウタは血を吐いて、地面にうつ伏せで倒れていた姿だった。
……その姿が、もう二度と動かないかもしれないという嫌な想像が脳裏に浮かんでしまう。
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