赤髪
燃えているような真っ赤な髪の毛に金色の目は輝いていた。
「さすがだな」
「なんのこと?」
「ぼさけるなよ」
こいつ何を言っているのかしら……
「風芽と契約してんだろ?」
ビッキッ。
頭に来たわ……。
こいつ、何様?はあ?知らん人が風芽様を呼び捨てにすんなだっつてんの。
一気に部屋の温度が下がる。
ゆきの能力だ。ゆきは名前どうり、雪をつまり氷や雪、いぶきなど全て使えるのだ。
部屋の中に風がおこる。
これはシドの能力。風、木、多分……大地の力を使えるんじゃなかったっけ?
まあいいっか。ゆきは風芽様しか興味ないもん。
「これが、お前らの能力か」
こいつ、どうしたのかしら。頭がおかしいんじゃないのかしらね。
ん?シドが引いている目で見て来ている気がする……。
今、ゆきが何を考えているか、分かったのだろうか……
でも、興味はあんまりないかな。だって、ゆきは風芽様以外どうでもいいから。
この赤髪も風芽様を危険にさらす人物なら、排除しないとね…!
「なんか、勝手に戦う空気になっているけど、俺はちげえから。……風芽に伝えとけ、“次は会おう”ってな」
それだけ言うと、赤髪の男の子は移動魔法で消えた。
「逃げたわね……」
「……そうだな」
「なによ!?言いたいことがあるなら言えばいいじゃない!」
「やべえこと考えてただろ」
「どうかしら」
知らんぷり知らんぷり……
よくわかったわね…
微かに残った魔法陣が消えないうちに出所を調べる。
「ダメだわ。調べられないようにしている」
「……じゃあ、さっきも赤髪が何者かも調べられないな」
「そうね……風芽様に報告する?」
「まさか!するわけないだろ」
「心配かけちゃうからね」
「まあな」
「じゃあ、こちらで調べとくわね」
「負けないからな」
会話しながら、本に傷はないか確認する。
━━なかった。 暴風と氷の魔法がぶつかり合ったというのに、本棚一つ、紙一枚、乱れていない。
まるで図書館そのものが、知識を守るために結界を張っているかのようだった。
相変わらず、すごい能力よね……
どんなに暴れても本に傷を負わせることはないなんてね……
(……風芽様を危険にさらす存在なら、ゆきが……何とかしないとね)




