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狂ってしまった歯車  作者: elly9521
三章 図書館の精霊
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赤髪

 燃えているような真っ赤な髪の毛に金色の目は輝いていた。


「さすがだな」

「なんのこと?」

「ぼさけるなよ」


 こいつ何を言っているのかしら……


「風芽と契約してんだろ?」


 ビッキッ。


 頭に来たわ……。

 こいつ、何様?はあ?知らん人が風芽様を呼び捨てにすんなだっつてんの。


 一気に部屋の温度が下がる。


 ゆきの能力だ。ゆきは名前どうり、雪をつまり氷や雪、いぶきなど全て使えるのだ。


 部屋の中に風がおこる。


 これはシドの能力。風、木、多分……大地の力を使えるんじゃなかったっけ?

 まあいいっか。ゆきは風芽様しか興味ないもん。


「これが、お前らの能力か」


 こいつ、どうしたのかしら。頭がおかしいんじゃないのかしらね。


 ん?シドが引いている目で見て来ている気がする……。

 今、ゆきが何を考えているか、分かったのだろうか……


 でも、興味はあんまりないかな。だって、ゆきは風芽様以外どうでもいいから。


 この赤髪も風芽様を危険にさらす人物なら、排除しないとね…!


「なんか、勝手に戦う空気になっているけど、俺はちげえから。……風芽に伝えとけ、“次は会おう”ってな」


 それだけ言うと、赤髪の男の子は移動魔法で消えた。


「逃げたわね……」

「……そうだな」

「なによ!?言いたいことがあるなら言えばいいじゃない!」

「やべえこと考えてただろ」

「どうかしら」


 知らんぷり知らんぷり……

 よくわかったわね…


 微かに残った魔法陣が消えないうちに出所を調べる。


「ダメだわ。調べられないようにしている」

「……じゃあ、さっきも赤髪が何者かも調べられないな」

「そうね……風芽様に報告する?」

「まさか!するわけないだろ」

「心配かけちゃうからね」

「まあな」

「じゃあ、こちらで調べとくわね」

「負けないからな」


 会話しながら、本に傷はないか確認する。


 ━━なかった。 暴風と氷の魔法がぶつかり合ったというのに、本棚一つ、紙一枚、乱れていない。

 まるで図書館そのものが、知識を守るために結界を張っているかのようだった。


 相変わらず、すごい能力よね……


 どんなに暴れても本に傷を負わせることはないなんてね……


(……風芽様を危険にさらす存在なら、ゆきが……何とかしないとね)



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