魔法
前世で、だけど。
「ええ!?天才ですか?」
「…!?……急に?」
「はい。え!?本を読んだら魔法が使えるなんて……チート、でも持っているんですか?」
「そんな訳ないでしょ」
ただ、本を読むと自然と頭に入るっていうかなんていうか。
「もし、この世のみんながお嬢様と同じ、本を読めば魔法が使える、という頭を持っていたら魔法を教える人の職業が無くなってしまいますね……。」
「流石にそんな事はないよ」
お嬢様………。愛莉じゃなくなっている…。やっぱりお嬢様のほうが呼び慣れているのだろうか。他人行儀のようで寂しくなった。
ななの怪我の所が治癒魔法で治ったを見て、魔法を止める。
「一旦、外見の怪我はもう無さそうだけど、まだ痛い所がある?」
「え!?すごい!あとも残ってない、すごい綺麗に治っている!」
いつも通りのななを見て、痛いそうな所が無さそうで安堵した。
安堵したせいか、ぐぅぅ〜とお腹が大きく鳴る。
その音でみんなが一斉に注目した。恥ずかしくなって顔が赤くなるのを感じる。
時計をみると、針が二時を差し掛かっていた。先見た時はまだ十二時半だったのに……。
「風芽様、ごめんね。長く引き止めて」
ゆきは申し訳そうに言う。シドも申し訳ない表情だった。
「ううん。大丈夫だよ。私はゆきとシドの二人と久しぶりに話せて嬉しかったよ」
素直な気持ちだった。
「また、話そう!!」
「うん!」「はい!」
綺麗に二人の声がかぶる。
「掟について俺たちも探しときますね」
「あ!ゆきのセリフなのに!!」
「ありがとう!でも、絶対に無茶しないでね!」
「はーい」
ゆきとシドにバイバイをして図書館を出る。
すると、ななが不思議そうに私を見つめていた。
「さき、誰と話してたんですか?」
と、言われて私は、魔力が高い人にしか精霊が見えないことを思い出した。
「精霊だよ」
「ええ!?ま、待てください」
「どうしたの?」
「精霊っているんですか?」
「うん」
「まさか、契約してます?」
「うん」
ななはびっくりしすぎてもう言葉が出ないように口を金魚のようにパクパクしていた。
「初耳なことにプラスして重大すぎて……」
「まあ、そう言う事だから」
「はい……」
そして。家路に二人でついたのだった。