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狂ってしまった歯車  作者: elly
三章 図書館の精霊
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図書館の秘密4

「それに比べて……シドと言ったら気付きもしないで、何なら太った?しか気付かないんなんて」


 私に抱きついたまま、ゆきは横目でシドを見ながら言った。

 思わず苦笑いする。


「だってしょうがないだろ。お前が背伸びたなんて、分かんないだからよ」

「言い訳ばっか。風芽様は気づいたのに?」

「なら、俺はお前が太ったしか見えないが?」


 なんだか……また険悪の雰囲気になってきたような………。


「本っ当シドと風芽様の間は天地の差があるよね」

「ふん。じゃあ、お前と風芽様の性格は雲泥の差だな」

「なんですって」

「まあまあ。二人とも落ち着いて。そんな顔は二人に似合わないわよ」


 私に言われた()()とシドはシュンと明らかに元気をなくした。「まあ、でもこっちからすると二人とも可愛いんだよね」はっ、心の声が……。二人に聞こえてませんように……。


 恐る恐る顔を上げると、そこには、嬉しそうにコソコソと話している二人がいた。


「聞いてた?聞いてた?」

「ああ、聞いてた」

「良かった〜怒って無さそうで」

「ああ、良かった。まあ、風芽様が怒る訳がないけどな」

「そんなこと分かってるって」


 なんでだろう。こういう時はすごっく気が合うのは……。


 二人の間の険悪の空気はいつの間にか無くなっている。


「風芽様…」

「どしたの?シド」

「つい引き留めたのですが…風芽様は急いでいませんでしたか?」

「ああ!」


 シドに言われて私は()()を探していたことを思い出した。なんてことだ……。すかっり頭から抜けていった。


 突然声を出した私に二人はびっくりしながらも不思議そうに私を見つめた。


「もしかして……何か探している?」


 ギクッ


 ゆきに当てられるとは思わず、その言葉に体が反応してしまった。


「………」

「………」


 それを見て二人とも肯定だと分かったのだろう。


「分かった。ゆきも一緒に探す」

「おい、抜け駆けするなよ。じゃあ、俺も探すよ」

「二人に手伝ってもらうのは、申し訳ないよ」

「でも、その探しているのは、この図書館のどっかにある気がするんですけど、それなら俺たちも一緒に探したほうがいいと思いますよ?」

「うっ」


 鋭い……。そして、たまーにちょっと意地悪だ。負けた私は「その通りでございます……」と答えた。


「なら、手伝ってもらってもいい?」

「もちろん!」


 シドとゆきが口を揃えて答えた。


 やっぱり、二人は仲良しだな……。


 私は二人に手伝ってもらうため、ななのことを話した。そして、探すのを手伝って欲しいと頼んだとところ、意外にも早く済んだ。


「その人って、髪をポニーテールに結んでいますか?」

「え?」


 突然の事に、戸惑いながらも「そうだけど……」と答えると、今度はゆきが反応した。


「じゃあ、その人って髪を外すと肩ぐらいの長さ?」

「うん。そうだったはず……」


 ゆきとシドは顔を見合わせた。視線で会話をして頷くと、私を見た


「ゆき、その人何処にいるか、知ってる」

「多分、人違いではなかったらあそこにいますよ」

「あそこって?」

「まあまあ、取りあえず()()たちについてきてよ」


 私は二人に言われるまま、ついていくことにした。



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