図書館の秘密1
まずはななを探さないとなー
何処に居るんだろう……。
そう、掟については知られないようにした方がいいと思って、ななに「ちょっと一人で集中したいから、ななは自分の気になる本を読んできていいよ」と言ったのだ。
こうなるなら、何処にいるか聞けば良かった………。
……あれ?ここは…
考えて歩いたら、気付かないうちにこの図書館の死角に来てしまった。周りに誰もいない。
「……風芽様…?」
何処からか聞き慣れた声が聞こえた。
「この声は…シド?」
「はい。風芽様、お久しぶりです」
あ!懐かしいな…。
最初は気付かなかったけど、ここは、風芽の時に自分の秘密基地として使わせてもらった所だ……。と言っても勝手に使った場所だけどね。
ここは図書館の死角で滅多に人が来ない。それに、机と椅子もある。だから、一人で何かをやるには最高の場所なんだ。
「久しぶりシド。元気だった?」
「はい。お陰様で」
と言いながらシドは姿を現した。
「あら、カッコよくなって」
「そうでしょうか。自分ではよく分からないのですが、風芽様がそう言うなら」
「ええ、雰囲気が元気ボーイからクールなイケメンみたいになっちゃて〜。髪が伸びるとそんなに変わるんだね〜」
全くね〜元々イケメンなことは知ってたけど、雰囲気が前世の風芽で会っていた時と真反対になるなんてね……。
びっくりした……
「髪を切るのが面倒で」
「イケメンはどうなってもイケメンと言うことね。まあでもこっちの方が図書館の妖精の中でも立場が上の指導者にみたいかも」
「そうなんですね…。」
シドは何かを考えるように黙り込むと突然顔を上げて言った。
「じゃあ、もう髪を切りません」
「え!?まじで言ってる?」
「はい」
そんな真面目な顔で見られたら、こっちがなんだか罪悪感が………。
「そっか……。どっちも似合ってたけど……」
思わず本音をボソっと呟いてしまった。
あ……今本音が漏れた。心臓がドキドキしてきた。聞こえてないよね……?
顔を上げると、シドの瞳がキラキラと輝いていて、まるで宝石みたいに眩しかった。
「本当ですか?」
「へ?」
「本当にどっちも似合っていますか?」
「ええ……似合っていたわよ……」
戸惑いながらもその問いに答える。
「嬉しいです」
これがまた本当に嬉しそうな顔で言うもんだから、こっちもつられて嬉しくなる。
「シドが好きな髪形でいいだからね。本人が幸せならそれが一番いいんだからね」
思ったことを正直に伝えるとシドは、
「分かりました。心に留めておきます」
「えぇ……心に留めなくていいのに……」




