図書館3
「ていうか、透明魔法…じゃなくて、ディアファニーズ魔法以外は?」
「……?」
急にどした?
「だから、話の続き。尾行の」
「ああ〜。それか。それで、一番簡単がディアファニーズ魔法だけど、私はあまり使わないかな〜」
「なんで?一番簡単なんでしょ?」
「そうだけど、一番の理由はめんどくさいから!」
「よく、自信満々に言えるよね。姉ちゃんって」
ユウタに納得されたような顔をされた。
「その納得顔って何に?」
「顔が怖いっ」
「うるさいな〜」
両手ぐーにして、ユウタの頭をぐりぐりした。
「痛い痛い」
「失礼なことを言うからでしょ」
「ごめんって」
謝られて、びっくりして手を止める。
その隙にユウタは私から距離をとる。
「姉ちゃん?」
「あんたって謝れたんだね…」
「こっちの方が失礼じゃない?俺もやり返そうかな〜」
「ごめんごめん」
この人、力以外と強いんだよな
「言ったのは私だけど、透明…ディアファニーズ魔法は尾行に使わないほうがいいかもね」
「なんで?」
「魔力が削れるから。万が一に備えて魔力を蓄えた方がいいと思う」
「なら、尾行に一番おすすめなのは?」
「教えない〜」
「またまた、急だな」
「教えたら次、私が出掛ける時に絶対使うでしょ?」
「…バレてた?」
「うん」
「やっぱ、姉ちゃんには勝てないな〜」
それはそうと━━
「今回尾行した理由は?」
「姉ちゃんが心配だったから…」
かわいいやつめ。
「じゃあ、大丈夫だから帰れば?」
「……絶対?」
「ん。一人の方が集中できるから」
「でも…」
「お ね が い」
「くっ。分かったよ…。それに、これ以上わがまま言ってたら嫌われそうだしね」
「でも、いっしょに居たかったな〜」と言いながらユウタは私から背を向けた。
帰ると思ったら、ユウタは引き返した。
なんだろう?と思っていたら、ユウタは私の耳元でコソと言った。
「俺に『わっ』ってしたとこから、沈黙魔法をかけていたでしょ」
「分かった?」
「うん。魔力を感じた。それに、図書館であんなに喋って注意されないから沈黙魔法じゃないかなって」
「すごいすごい」
私はユウタの頭をわしゃわしゃした。
ユウタはそれを幸せそうに感じている。
なんだか、犬みたいだな