19, アドバイス
「本当に心配したのよ? 私達が新婚旅行に行っている間に王城から手紙が来たんだから!」
「ごめんなさい、ノエル……」
「まぁ、もう耳にタコができるほど言われていると思うから、これ以上私は何も言わないわ」
新婚旅行から帰ってきた翌日。
なかなか会えていない間にリゼットが怪我を負ったらしいと聞いて本当に心配していたのだけれど……思っていたよりは元気そうで安心した。
むしろ……なんだか幸せそうな雰囲気さえ感じられる。
「エドガー王子とうまくいっているみたいね」
「え、どうしてわかったの?」
「だって、なんだか幸せそうな雰囲気を感じるんだもの」
私は最近はたくさんの人から「新婚独特の幸せな雰囲気を感じます」なんて言われるほど毎日楽しく過ごしているけれど、そんな私から見てもリゼットからはホワホワとした雰囲気が出ている。
「最近、夜は彼と一緒にのんびり話をするのが日課になっているの。それに、軽口をたたいたり、冗談を言い合ったり……結婚前からは想像できないほど仲良く過ごせているわ」
「ふーん……」
エドガー王子との仲を楽しそうに話している彼女は、まさに恋する乙女のようだ。
この前リゼットと話したときにも感じたけれど……
「ねぇ、リゼット」
「何? ノエル」
「やっぱり貴方……エドガー王子のことを好いているでしょう?」
「え……! ど、どうしてそう思ったの!?」
彼女の反応で、私は自分の考えがあっていることを確信する。
「だって、前に初恋の彼について私が聞いた時、反応が鈍かったじゃない」
「確かに……その時にはもう……」
それだけ言って顔を赤くするリゼットは、姉だからというひいき目はあれど可愛いと思う。
「私……そんなにわかりやすかったかしら? もしかして、エドガー王子も気づいているのかも……どうしよう、自分ではあまり好意が表に出ていないと思っていたのに、この気持ちに気づかれてしまったら、この関係性も終わってしまうわ」
リゼットは小声でブツブツとそんなことをつぶやいているが、彼女の好意が伝わってしまっても何も問題にならないのではないかと私は思っている。
彼女の対して過保護なまでに行動制限をかけるエドガー王子の方こそ……彼女のことが好きで仕方ないとしか思えない。
そもそも女嫌いの王子が、女であるリゼットと話す時間を設けているなんて、それしか理由は考えられない。
でもきっと、今の彼女のそれを伝えるのは私の役割ではないだろう。
いつも通り、そっと声をかけるだけにしておこう。
「まだ彼と仲良くやっているということは、好意がばれていないということでしょう? 今まで通りで平気よ」
「確かに……そうね」
納得したように頷く彼女をみて安堵する。
今はまだその時ではないかもしれないけれど、いつか二人の想いが通じ合うといいな……なんて考えていると、リゼットは思い出したかのように口を開いた。
「そういえば! 聞きたいことがあるのだけれど……」
「どうしたの?」
「ノエルは、今までフラン様にどんなプレゼントを渡したことがあるか聞いてもいいかしら?」
いきなり夫の名前が出てきて驚くも、そういえば王子の誕生日がもうすぐであることを思いだした。
「それは、エドガー王子への誕生日プレゼントかしら?」
「そうなの! 本当にノエルは鋭いわね」
「うーん、プレゼント……こればっかりは人によるとしか言えないわね……フラン様は絵を描くことが好きだから、私は毎年画材を送っているの」
参考にならない答えしか返せないことに、若干の申し訳なさを感じる。
「なるほど……確かにエドガー王子に画材をプレゼントしても、使い道に困ってしまうわよね」
「ごめんなさい、あまり役に立つことが出来なくて」
「そんなことないわ。いつも助けてもらっているもの。このくらいは私一人で考えるべきね……」
そう言ったまま考え込んでしまったリゼットに対して、私は少しアドバイスをした。
「一人で考えるよりは、誰かと……そうね、男性と考える方がいいと思うわよ。男性の好みは男性の方が知っていると思うし……うーん、エドガー王子のことを知っている人で、リゼットとも仲が良い人となると……」
そんな人いるかしら? と思ったところで、私の頭の中に該当する人が一人だけ思い浮かぶ。
「それって……」
「「団長!!」」
どうやら彼女も同じ意見のようだった。
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