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「なにしてくれちゃってんのク……バ……母さんさぁ!」

「うるさいわねぇ」

 とは、十中八九で案内役をしてくれやがった俺の母。そんなやり取りの間に三人は遠慮がちだったり遠慮なさげだったりで「お邪魔します」とご入室である。

「うるさくもなるわ! なにが「電話してるみたいだったから」だよ! じゃあ待てよ! 部屋の外でさ!」

「うるっさいわねぇ」

「そもそもなんで勝手に家上げてんの!? そこでまず言ってよっ俺にっ、来たなら来たときにさぁ」

「だってあんたそん時にも電話してたじゃない」

「たしかにね!? でもそれはそれじゃん?」

「とにかく、案内したわよ。ほらこれ座布団。飲み物とお菓子はすぐ持ってくるから」

 俺の部屋のドアを開けた張本人たる母さんは、俺の手に座布団三枚を乗せ、三人に「ごゆっくりね」と言い残して背を向けた。

 言いたいことはまだあるけど、俺はひとまず苦虫千匹噛み潰して見送った。

「ク――」

 ソババアと言いそうになってるんだよねさっきも。いや普段は言わないよ? けどさぁ、息子の部屋に息子の友人(女子:美人:三人)を軽いノックだけで突然放り込む母親には言いたくもなるって。

「あの、す、すみません。ごめんなさい。ご迷惑なら、すぐ出て行きますので」

「あーいや。鈴木さんたちにどうのはなくって、てかわるいな放置して。ご迷惑なんてことは……」

 いやあるな。正直めっちゃあるな。こちとら何の準備もしてないから部屋はいつものまんま、服は半日着たままのジャージ、あんま換気してないけど臭いだいじょぶそ? やばいやばいやばいちょいエロ系漫画どうしてたっけそこらへんに放置してないよな?

 状況を理解し始めた俺の脳みそ君がフル稼働。

 てかなんで俺の部屋に超絶美少女たる佐藤さんと鈴木さんと高橋さんが?

「ご迷惑では、ないんだけど、なんでこんなところに? いるんだ? え、俺の裏人格が約束とかしてた感じ?」

 この状況を説明するにはそのくらいの馬鹿げた発想が必要だ。言いながら適当に座布団を配置する。「まぁとりま座って」と言うしかないやんこんなんもう。

「約束はしてない。でも「今日も家にいる?」って訊いたら「いる」って返してきた。だから……わたしが来た」

「高橋さん? そんなドヤっても俺にしか通じてませんよ?」

「充分。むしろそれが一番」

「はあ? じゃあまぁ高橋さんはそれでいいとして、佐藤さんと鈴木さんはなんで? 高橋さんの付き合い?」

 俺は他ならぬ高橋さんに組んだ足の膝を叩かれた。グーで。

「なんだよ」

「サンタがバカなこと言うから」

 俺は意味が分からず眉間に皺を刻む。どういうことかと考える間に鈴木さんが口を開いた。

「ありがとうございます高橋さん。でも今日のところは、はい、高橋さんにお誘いいただいてお邪魔させていただきました」

「そゆこと。度胸あるよね」

「なんで他人事? 佐藤さんも当事者意識持ってこ? なにしに来たんだよ」

「クリパ?」

「そりゃ最高だな。野郎共に本気でフクロにされそうなことを除けば」

 念のため、で男五人のドキドキクリスマスパーティーをキャンセルしたというのに、自宅に三大一般苗字美人を全員集めてクリパだなんて、俺だって中指立てずにいられないぞそんなやつ。

「一応あの、ちゃんとした理由もありまして」

 鈴木さんが口元に手を合わせるみたいにして、若干の恥じらいと共に言った。

「プレゼントを、お渡ししたくて……来ちゃいました」

 はいかわいい。

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